2020.07.22

経費削減とは?|会社の削減ポイントとなる費目12選|具体的な事例から削減方法・アイデアを紹介

経費削減とは?|会社の削減ポイントとなる費目12選|具体的な事例から削減方法・アイデアを紹介

当然のことながら、企業の利益を生み出すには、「売り上げを上げる」か「コストを落とす」の2つしか方法がありません。双方をバランスよく行うことが、どの企業でも求められます。

しかし、「コストを落とす」ことがないがしろになってしまっている企業も、少なくないのではないでしょうか?特に、好況期にはついつい売上成長だけに目がいき、コスト管理がなおざりになってしまうケースが見受けられます。

経営状況によらず、企業のコストを常に最適化するには、適切な支出管理と、コスト削減のノウハウが必要不可欠です。特に経費削減は、正しいノウハウを知り、実践するだけで、比較的容易に真水の利益を創出することができます。

本記事では、特にコスト削減に取り組みやすい、12の費目を厳選し、具体的な削減案をわかりやすく解説します。

TEXT BY Leaner Magazine編集部

経費削減案を“費目別”に検討すべき理由

経費削減をしようと思い立ったときにまず初めに行うことが、コストの「見える化」です。企業内のコストの種類やサプライヤー、支出元の部署を特定することにより、削減余地を探すことができます。しかし、「見える化」の際に多くの企業がぶつかる壁が、「支出ははっきり把握しているのに、削減余地がわからない」という悩みです。

削減余地がはっきりしない最も大きな原因の1つが、「勘定科目を用いて支出管理をしている」ことです。

勘定科目は、財務会計の概念であり、企業の財務状況を把握する際に便利なコストの集計カテゴリーです。

勘定科目の例として、以下のような科目があります。

  

  • 仕入:商品の購入代
  • 水道光熱費:水道、ガス、電気など
  • 通信費:固定電話、インターネット回線費、携帯電話など
  • 旅費交通費:通勤定期代、高速料金、出張旅費など
  • 広告宣伝費:テレビCM広告やインターネット広告の費用
  • 接待交際費:飲食費、贈答品の費用など

  

これらの勘定科目をそのまま経費削減に用いると、実はあまり上手くいきません。なぜなら、勘定科目とは会計を処理するために複数の費用をまとめた「カテゴリー」であり、具体的に費用が何に支払われたのかまでは、特定できないからです。

したがって、経費削減をする場合は、より細かい粒度である「費目単位」でコストを把握する必要があります

例えば、勘定科目の販管費に含まれる「通信費」を考えてみます。この場合、「通信費」とひと口に言っても、インターネット回線もあれば携帯電話料金もあり、それぞれにいくら支払われていて、どれくらいの余地があるのかどうかは、勘定科目では判断できません。

ただ、「通信費」を「固定電話、インターネット回線、携帯電話、サーバー費」のように費目単位に分けて集計することで、どこに無駄があるのかを可視化することができます

また費目単位で経費削減策を検討することにより、費目ごとの特徴に応じて削減案を実施できるため、効率よく、且つ大きな削減効果を期待できるでしょう。

  

経費削減でまずはじめに取り組むべき費目12選

数多くある費目の中でも、多くの企業にとって比較的コスト削減に取り組みやすい費目を12個ご紹介し、それぞれの削減アイデアをお伝えします。

  

1. 複合機・コピー機

複合機・コピー費は、ほとんどの企業で日常的に使用する経費の1つです。主な削減案とは、大きく3つあります。

  

①相見積もり・価格交渉

1つ目が、相見積もり・価格交渉です。

複合機・コピー費の場合、印刷枚数や機器台数に応じて適正価格が異なります。そのため、まずは自社の印刷状況を「見える化」し、そのうえで「相見積もり・価格交渉」を実行する、という2つのステップを踏む必要があります。

自社が使用する適正な印刷枚数・機器台数などを概算した上で、相見積もりをとりながら、市場最安価格の獲得にむけて、価格交渉をしましょう。

②カラー印刷の抑制

カラー印刷は、一般的にモノクロ印刷の約5倍のコストがかかっています。カラー印刷を社内で抑制することは、大幅なコスト削減につながります。具体的な手順としては、まず現状の利用状況(印刷枚数や、カラー・白黒の比率など)を可視化します。そのうえで、使用基準を策定し、これが実現できているかどうかをモニタリングします。

③ペーパーレス化

ITツールの活用などにより、ペーパーレス化を行うことで、そもそもの印刷量を減らすことができます。社内用資料など、難易度が低いものから取り組むとよいでしょう。

  

複合機・コピー費の詳しい削減アイデアの手順や、主要なサプライヤーについてはこちらを参照してください。

  

2. クレジットカード手数料

クレジットカード手数料は、一回一回の取引金額は小さいものの、会社全体で合計すると実は金額が大きな費用の1つです。基本的には、支払い時に発生する手数料を削減することが一般的です。主な削減案は、2つあります。

  

①アクワイアラ(クレジットカード加盟店契約会社)への手数料率交渉

一般的に、支出額が大きい企業ほど手数料率が低くなる傾向にあります。そのため、支払い金額が増加する度に、手数料率交渉を行うことが重要です。

②決済代行会社の切替・手数料率交渉

現行の手数料が決済代行会社の手数料の市場価格よりも高い場合には、この方法が有効です。

  

クレジットカード手数料の詳しい削減アイデアや、主要なサプライヤー、またクレジットカード市場の仕組みを知りたい場合は、こちらを参照してください。

  

3. 固定電話

メールや携帯電話が普及しても、ビジネスにおいて必要なのが固定電話です。固定電話料金の削減アイデアは、主に3つあります。

  

①既存サプライヤーとの価格交渉

固定電話は、使用台数に応じて適正価格が異なります。そのため、必要な使用台数を確認してから、交渉をする必要があります。

②新規サプライヤーへの切り替え

相見積もりを取って、サプライヤーを切り替える方法があります。

③モバイル内線化

モバイル内線とは、スマートフォンなどの携帯端末を内線化し、固定電話として使用することです。これにより、社内での通話が無料になるなど、通信料の削減につながることがあります。

  

固定電話の詳しい削減アイデアや、主要なサプライヤーについては、こちらを参照してください。

  

4. 電気代

電気代はコストが大きく、比較的コスト削減に取り組みやすい費目の1つです。主な削減アイデアは、3つあります。

  

①電気料金比較サービスの利用

電気料金比較サービスとは、全国の600社以上の電力料金見積もりを代行してくれるサービスです。昨今、電力自由化の流れを受け、新電力など安価なサプライヤーが台頭してきています。これらを比較することで、簡単に最安の電力会社から調達できる可能性があります。

②電力使用料の見える化・デマンドの抑制

電気代の基本料金は、過去1年のピーク消費電力(デマンド)をもとに決定されます。社内の電力使用状況を「見える化」し、デマンドを抑えることで、基本料金を削減することが可能です。

③省エネ対策

電球の変更、社内規定の改定や人感センサーを使用するといった対策を講じることで、省エネ対策になります。省エネ成果を計測することにより、補助金が支給されることがあるため、コスト削減にもおすすめです。

  

電気代の詳しい削減アイデアや、主要なサプライヤー、また補助金制度については、こちらを参照してください。

  

5. 携帯電話

多くの企業が法人携帯を支給しています。特に従業員が多い企業にとっては、大きなコストの1つです。主な削減アイデアを、2つご紹介します。

  

①相見積もり・価格交渉

携帯電話は、契約台数によって単価が大きく変わります。そのため、定期的にどのプランなのか、社内の利用状況はどうなのかを確認し、最適なプランを契約できるように交渉に挑むとよいでしょう。

②MVNOの利用

MVNOとは、無線通信インフラを他社から借り受けてサービスを提供する事業者のことを指します。多くの場合、大手通信キャリアよりも単価が安く、切り替えによるコスト削減が期待できます。

  

携帯電話の詳しい削減アイデアや、MVNOのサプライヤーを知りたい方は、こちらを参照してください。

  

6. インターネット回線

インターネット回線は、すぐにコスト削減が可能な費用の1つです。主な削減アイデアは3つあります。

  

①オプションや必要要件の整理

契約プランを長い期間見直していない場合、自社の利用状況と適合していないプランになっている場合があります。プランも日頃更新されるため、定期的な要件の見直しが必要です。

②分散発注を是正し、既存のサプライヤーと価格交渉

特に、拠点やグループ会社などが複数存在し、それぞれが別々に調達を行っていると、スケールメリットを生かした調達ができていない場合があります。調達量をまとめてから、交渉してみましょう。

③新規サプライヤーへの切り替え

他のサプライヤーに切り替えることで、回線料金を削減できる可能性があります。スペックの要件などを見直した上で、相見積もりを行いましょう。

  

インターネット回線の詳しい削減アイデアや、相見積もりを取るべきサプライヤーを知りたい方は、こちらを参照してください。

  

7. 消耗品

ボールペンやクリアファイルなど、事務所には様々な消耗品が存在します。社員数が多い会社ほど費用が大きくなりやすいので、見直しを行うとよいでしょう。消耗品の削減アイデアは主に2つあります。

  

①相見積もり・価格交渉

基本的には、Amazonビジネスや大塚商会など、通信販売会社に対して価格交渉をすることが一般的です。割引率を上げる交渉をしてみましょう。

②分散発注の是正

発注の際に割引率を上げる方法として、分散発注をやめ、調達を集約することが挙げられます。1回の発注量を増やすことで、単位あたりの消耗品の単価を小さくすることができ、割引が効きやすくなります。

  

消耗品の詳しい削減アイデアや、相見積もりを取るべきサプライヤーについては、こちらを参照してください。

  

8. 什器・備品費

椅子やテーブルなどの什器・備品費は、「カタログ定価×割引率」によって費用が構成されています。

 

①相見積もり・価格交渉

まずは、消耗品同様、複数のサプライヤーに相見積もりの交渉をしてみましょう。

②中古什器・備品の活用

新品にこだわらず、中古品も含めて検討してみましょう。単価を削減することができる可能性があります。

③設置費用等の人件費の引き下げ交渉

見積もりに、設置費用として人件費が相当額含まれる場合に有効です。場合によっては、社員で設置・運送することを提案することで、コストを減らすことができる場合もあります。

  

什器・備品費の詳しい削減アイデアや、相見積もりを取るべき新規・中古サプライヤーについては、こちらを参照してください。

  

9. 名刺

名刺は定期的に発注する材の1つであり、中長期的なコスト削減に有効です。名刺のコスト削減アイデアは主に2つあります。

  

①契約の見直し

発注枚数やデザイン・納期を見直すことにより、より安価に発注を依頼することができることがあります。自社の契約条件を見直してみましょう。

②相見積もり・価格交渉

名刺はネット印刷を用いるのがメインです。各ネット印刷会社の特徴を把握した上で、相見積もりを取ってみましょう。

  

名刺の詳しい削減アイデアや、相見積もりを取るべきサプライヤー、名刺の相場価格について気になる方は、こちらを参照してください。

  

10. クラウドサーバー

クラウドサーバー費は、IT企業を中心に大きなコストとなっている企業が多いのではないでしょうか。主な削減アイデアは2つあります。

  

①使用していないサーバーのダウングレード・停止

複数のクラウドサーバーを使用している企業では、管理が複雑化しており、業務目的が終了した後も、起動したままになっている場合があります。使用状況を定期的に見直すことが重要です。

②クラウドコンサルティング会社を利用する

クラウドコンサルティング会社は、複数のユーザー企業から発注を請け負うため、クラウド提供会社に対して強いバイイングパワーを持って発注することができます。結果的に、直接クラウド提供会社と契約するより安価に仕入れることができます。

  

クラウドサーバーの詳しい削減アイデア、クラウドコンサルティング会社などについては、こちらを参照してください。

  

11. タクシー費用

タクシー費用は、価格交渉によるコスト削減が実質不可能なコストです。よって、基本的には社内向けの経費削減策が主になります。2つの削減策があります。

  

①組織ごとの上限額設定

業務内容によって、タクシーの利用頻度は異なります。そのため、部門・組織ごとに上限金額を設定することが有効でしょう。

②使い過ぎに対して「アクション」を取る

適正水準を満たさない部門・社員へ注意を促し、また業務フローを聴取し見直すことで、オペレーションを改善しましょう。

  

タクシー費用の詳しい削減アイデアについては、こちらの記事を参照してください。

  

12. PC機器

PC機器は、一見コスト削減余地がなさそうにも思えますが、着手する切り口によっては削減が可能です。主な削減アイデアは3つあります。

  

①単価交渉

PC機器は、PC本体のスペック・契約条件によって適正価格が異なります。これに留意し、相見積もりをとるなどし、単価の値下げ交渉をしてみましょう。

②利用形態を見直す

PC機器には、購入・リース・レンタルの3種類の利用形態があります。それぞれの利点・欠点を見比べて、自社に最適な形態に見直します。

③機能を見直す

多くの企業では、部門や役職によって必要な機能が異なります。それぞれに必要な機能だけを取捨選択することで、コストを抑えることができます。

  

PC機器の詳しい削減アイデアについては、こちらの記事を参照してください。

  

12費目の経費削減案を見直してみよう

経費削減は、企業の利益を最大化するために欠かせない取り組みの1つです。

効率的な経費削減を行うためには、費目単位でコストを分解しそれぞれに対して、有効な削減策を練ることが必要です。

まずは、本記事で紹介した費目を見直してみてはいかがでしょうか?

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