2021.02.24

広告宣伝費をわかりやすく解説|勘定項目や割合・種類、テレビCMやインターネット広告、CPAや広告のGRPまで

広告宣伝費をわかりやすく解説|勘定項目や割合・種類、テレビCMやインターネット広告、CPAや広告のGRPまで

自社の広告宣伝費への予算分配や費用の削減について課題感を持っている方々は意外と多いのではないでしょうか。

広告宣伝費は、テレビCMや新聞・雑誌広告、屋外・POP広告や交通広告など多岐にわたります。また、それぞれの広告宣伝費は延べ視聴率や、広告サイズ、発行エリアを考慮することで、費用対効果を高めることができます。

今回の記事では、それぞれの広告形態の仕組みやメリット・デメリット、料金について解説し、費用対効果を高めるための施策について紹介します。

TEXT BY Leaner Magazine編集部

  

1. 広告宣伝費とは?

広告宣伝費(広告費)は、事業成長に必要な支出であり、勘定項目としては販管費に含まれます。企業は自社の広告を制作し、掲載することで認知度の上昇を図ります。

具体的にはテレビCMや新聞・雑誌の広告、インターネット広告などの種類があります。これら広告によって、不特定多数の人やターゲット顧客に対して、会社名や商品名を広めて購買欲求を高めることができます。

  

広告宣伝費の種類

広告宣伝費には、広告に関する様々な支出が含まれます。支出は具体的に、以下のように大きく分けて3つに分類できます。

<マスコミ4媒体に関連する広告宣伝費>

  • テレビ広告
  • 新聞・雑誌広告
  • ラジオ広告

<プロモーションメディア広告宣伝費>

  • 屋外・POP広告
  • 交通広告

<インターネット関連の広告宣伝費>

  • リスティング・アフィリエイト広告
  • SNS広告

  

株式会社電通の調査レポートによれば、2019年の日本における総広告費は6兆9,381億円にのぼります。特に近年は、「インターネット関連の広告費用」が増加しており、その費用は初めて2兆円を超えました。

一方で、広告宣伝費で最大の支出規模を占める「マスコミ4媒体に関連する広告宣伝費」は、5年連続で支出総額が減少しています。

  

2. 媒体別広告宣伝費の内訳

以下、広告宣伝費について主要媒体ごとに詳しく解説します。

   

テレビ広告

テレビ広告は、主にテレビメディア等で放映されるCMを指しており、スポットCMタイムCMに分かれます。

スポットCMとは、時間帯や曜日などを大まかに指定したうえで、その範囲内でランダムにテレビCMを流す方式です。

スポットCMの放送枠はさらに、SBとPTに分けられます。SB=ステーションブレイク(通称ステブレ)は番組と番組の間に設定されたCM枠です。一方、PT=Participating commercialは番組時間内に設定されたCM枠を指しています。

これらスポットCMの放送枠は、購入できる期間を自由に設定できるため、例えばある商品のキャンペーン期間中のみCM枠を購入し、新商品等の宣伝を行うことができます。

スポットCMの料金は「GRP」と「パーコスト」の掛け算によって決定します。GRPとは、延べ視聴率のことを指しています。また、パ―コストは視聴率1GRPあたりの値段を指しています。

スポットCMの放送枠の料金(1回15秒ほど)=「GRP」×「パ―コスト」

広告ダイレクトによれば、スポットCM放送枠の1本(15秒)あたりの料金相場は、関東エリア(地上波)であれば、30万円~100万円になります。また、地方エリアであれば、5万円~20万円前後の料金になります。

タイムCMはスポットCMと違って、特定の番組のスポンサーとなり、その番組のCM枠でCMを放送するやり方です。

番組自体にすでにファンがついていることも多く、企業が商品を売りたいターゲット層と合致する視聴者層を持つ番組のスポンサーとなれば、、高い広告効果を得られる確率が高まります。

タイムCMのコスト構造は、スポットCMと同様、「GRP」と「パ―コスト」によって決まります。しかし、値段面ではスポットCMより圧倒的に高く、ひと月で100万円以上が基本となります。

   

新聞広告

新聞は、読者数は年々減少していますが、依然として社会的信用度が高いメディアです。そのため、新聞広告には企業の社会信用を高める効果が期待できます。

新聞広告の料金相場は広告サイズ、地域、朝刊、夕刊などによって細かく設定されています。例えば、朝日新聞などでの1回掲載の場合、記事中での雑報広告には150~400万円前後の料金がかかります。

また、記事から独立した箇所(記事下広告)などでは、300万円~2000万円になります。さらに、最もサイズの大きい、新聞1ページ分のカラー広告だと、料金相場が4000万円前後に登ります。

新聞各社の広告料金については、以下の新聞広告ナビのサイトなどを参照されると良いでしょう。

新聞広告の掲載料金がよくわかる|新聞広告ナビ (shinbun-navi.com)

   

雑誌広告

雑誌広告の特徴は、新聞に比べて対象読者の属性(性別・年齢・ライフスタイル・志向)がより細かく絞り込まれている点です。新聞は、幅広い世帯で消費されることを想定して発行されていますが、雑誌はより限定された読者層を対象としています。例えば「結婚式を控えたカップル」や「30~50代の子育て主婦層」、「金融業界に勤めるビジネスパーソン」など、読者層は多岐にわたります。

従って、雑誌広告を利用することで、自社商品が狙いに定めたターゲット層にダイレクトにアプローチできるというメリットがあります。ただ、その分狙いが外れると効果が弱くなるので、広告掲載先の媒体を慎重に選定し、費用対効果を高めることが大切です。

雑誌も新聞同様にサイズ、掲載場所によって細かい料金設定がされています。相場としては、4色1ページ文の広告だと、100万円以上の値段がかかります。

   

ラジオ広告

ラジオ広告は、AM局とFM局に分けられ、CM放送枠の秒数も放送局ごとに細かく分けられています。また料金形態は、テレビCM同様にスポットCMの形態を取っています。

ここで大事になるのは、AM局とFM局の違いです。

まず、FM放送で使われている電波はノイズが入りにくく、混線しにくい点が挙げられます。その代わり、波長が短いこともあって、県レベルの狭い範囲でのラジオ配信がメインとなります。

一方で、AM放送で使われている電波はFM放送と比べてノイズが入りやすい代わりに、より広い範囲での放送が可能となります。

従って、宣伝したい商品・サービスが県内限定であったり、狭い範囲を狙った者である場合にはFM放送のCM枠を活用し、そうでない場合には、AM放送のCM枠を活用することがお勧めです。

詳細については、ぜひ以下のサイトをご参照ください。

ラジオCM料金一覧 | ラジオCMの事ならラジオCM料金プロ (radiocm-pro.com)

  

交通広告

交通広告とは、公共交通機関や交通施設、バスやタクシーなど移動車両内のスペースを利用して展開される広告のことです。電車内の中吊り広告や駅のポスター、バスラッピングなどが交通広告にあたります。

特に、大勢の人が使用する電車は高い効果が期待できる広告です。例えば、JRの中吊りポスターの場合、平日2日枠でシングル(B3サイズの横置き)で200万円前後、ワイド(B3の用紙を2枚横につなげたサイズ)で400万円前後が相場になります。さらに、平日枠と日曜日を含む土日月枠で料金体系が異なります。

また、これ以外には、駅構内の広告やバスラッピング広告などもあります。

駅構内広告とは、ホームに設置してある看板や駅に貼られているポスターを指します。利用者が多い駅になればなるほど料金が高くなっていきます。例えば、よく駅のプラットフォームに設置される向かい看板の場合、山手線で1か月広告掲載すると、1000万円ほどの値段がかかります。

バスラッピング広告とはバスの車体に書かれた広告のことを指します。移動するバスは人々の目につきやすく、インパクトが強いことが特徴です。

   

屋外・POP広告

屋外・POP広告とは、大都市の主要駅前などに設置させれている大型スクリーン・デジタルサイネージにて放映される広告や看板広告などを指します。

大きな画面で表示される広告は多くの人々に強い印象を与えることができます。特に、都心部や繁華街に設置された看板やスクリーンに掲載される広告は、多くの消費者をターゲットとした大型キャンペーンの宣伝に活用されています。

これら屋外・POP広告の相場は、広告場所の「集客力」「消費者層」によって金額が変わります。例えば、新宿アルタでの屋外広告は、15秒間のCMを7日間で56回放映できる広告枠を購入することができ、その料金は120万円ほどになります。また広告掲載枠に加えて、映像制作費も別途かかります。

交通広告や屋外広告の料金相場については、以下の交通広告ドットコムなどを参照されると良いでしょう。

新宿アルタビジョンの広告 | 交通広告ドットコム (transit-ad.com)

   

リスティング・アフィリエイト広告

リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果ページに表示される広告のことです。GoogleやYahoo!などの検索エンジンは日々多くの人々に利用されています。特に近年はスマートフォンが普及して、デスクトップとモバイルの双方で検索数が増えています。そのためリスティング広告がユーザーの目に触れる機会は格段に増えており、広告価値の上昇傾向は今後も続いていくでしょう。

リスティング広告は、検索結果の上位に表示されるので、高い広告効果が期待されます。 また、料金体系はクリック課金方式になっています。クリックによって初めて課金され、相場はおおよそ1クリック10円〜500円、敷居の低い広告といえます。

また、同様のクリック課金方式のインターネット広告として、アフィリエイト広告が当てはまります。アフィリエイト広告とは、広告主が、設定した成果(クリック、商品やサービスの購入や申込み)が発生した場合に、それらサイト運営者に対して報酬を支払う広告です。

但しリスティング広告と比べ、アフィリエイト広告の場合は月額固定費など一部手数料を請求されるアフィリエイトサイトもあるので、注意が必要です。

    

SNS広告

SNS広告は、FacebookやTwitterといったSNSで拡散させる性質を持った広告です。これら広告では、エンゲージメント課金方式が採用されています。

エンゲージメント課金方式とは、1エンゲージメント獲得あたりにかかる料金のことで、SNS上のユーザーがシェアやフォロー、クリック、リツイート、返信などの行動を起こしたことで課金される方式です。

   

3. 広告宣伝費の予算管理・コスト削減方法

   

a. 広告宣伝予算の固定費化を防ぐ

広告宣伝費の予算管理を正しく行うためには、広告宣伝費の固定費化を防ぎ、収益性という指標に対してコミットさせることが大切です。そのためには、管理会計の枠組みの中で、広告宣伝費を適切に予算配分し、予実管理を徹底することが鍵となります。

特に重要となるのが、事業所の損益分岐点の計算です。損益分岐点は、商品の売上が販管費等のオペレーティングコストを上回り、事業部門として利益が生じるポイントを指します。

広告宣伝費への予算配分を考える際には、商品の需要予測を行ったうえで、売上予想に基づいて損益分岐点を設定し、広告宣伝に使える予算レンジを決めます。

そして四半期の終わりに近づくにつれて売上予想と実績の差分を計算し、広告宣伝費の配分を修正することがお勧めです。

   

b. 費用対効果を測定し、効果が高いものに集中して投資する

広告の種類によって変わりますが、テレビCM等、制作コスト・難度が高い広告は代理店等に外注されることが多いです。

但し広告を代理店に外注していたとしても、社内で行う効果測定・モニタリングのための費用を確保し、費用対効果の検証を怠らないことが大事です。

また、インターネット広告もCPA(Cost Per Action)などの指標を活用して、費用対効果を追いかけることが大事です。CPAとは「新規顧客の獲得」などActionに対して、単位あたりどれくらいのコストがかけられたのかを算出した指標です。

インターネット広告はTwitter広告やFacebook広告、Google広告とバリエーションが多いです。そのため、自社に合った媒体を選定しながら広告宣伝費を集中投下するなど、様々な施策を試行錯誤していくことができます。

   

b. 値下げ余地・オプション交渉の方法について理解する

広告宣伝費のコスト削減を達成にするためには、コスト構造を理解し、値下げ余地やオプション交渉の余地について事前知識を持つことが大切です

例えば、テレビCMの広告宣伝費が、「GRP(延べ視聴率)×パーコスト」で求まり、基本的にGRP(延べ視聴率)をベースに価格決定がなされることを知っていると、価格の話をする際に、GRPに着目するべきであることが分かります。

GRPに着目すると、広告主は「アクチュアル保証」をしてもらえる可能性があります。アクチュアル保証とは、例えば、広告の買い付け時にGRP(延べ視聴率)が7%であったのに、実際にCMを流した際に5%しか記録できなかった、ということがあったとき、。CMで獲得できなかったGRP2%の差分を別枠で補償してもらうか、返金してもらう、といった措置のことです。

またテレビCMのような「アクチュアル保証」を行えない広告形態であった場合も、可能な限り、広告作成にかかる価格情報の開示要請を事前にしておくことで、割高になりやすい広告費用の適正価格化を図ることができます。

こうした情報開示に関する知識は、広告作成を社内で行わずに外注している企業にとって、特に有用です。企業によっては、新聞・雑誌や交通広告の広告枠を購入後、広告のデザインをある程度内製化できているところもありますが、多くの場合はデザインコンサルや広告代理店への外注に頼っています。

これら外注先の選定に際しては、RFI(情報提供依頼)やRFP(提案依頼書)、RFQ(見積依頼書)を事前に送付し、戦略的な契約交渉を実行することが大切です。

RFQやRFI、RFPの詳細や実行プロセスについては、以下の記事をご覧ください。

RFQ(見積依頼書)は調達・購買戦略に欠かせない!RFIやRFPとの意味の違いやテンプレート、書き方のポイントとは? | Leaner Magazine|リーナーマガジン

また、広告宣伝にかかるデザイン業務をアウトソーシングする際に必要となる、外注先への具体的な要件提示や値下げ交渉のプロセスについては、以下の記事にて詳細を解説しております。

外注費は経費削減できる?外注するメリット・デメリットからコスト削減まで解説 | Leaner Magazine|リーナーマガジン

    

4. 終わりに

広告宣伝費は、売上の上昇に大きく貢献してくれる費用です。一方で、広告の選択肢は多種多様であり、どのような広告を選べば良いのかわかりにくい場合も多いです。

広告宣伝は、外注先に丸投げするのでなく、費用のコスト構造を理解し、適正価格の肌感覚を持つことが大切です。その上で自社で効果測定のための予算も確保し、売上状況に応じて費用をコントロールすることで、収益性を改善できます。

今回の記事を通じて、それぞれの広告の費用構造やメリット・デメリットを理解し、正しい広告宣伝予算の組み方を実行していただければ幸いです。