2020.12.22

機械警備・常駐警備とは?費用の内訳、削減アイデア、会社の比較まで

機械警備・常駐警備とは?費用の内訳、削減アイデア、会社の比較まで

機械警備と常駐警備は、セキュリティ管理上必要な支出の1つです。

今回の記事では警備費用を常駐警備と機械警備に分けて、それぞれの特徴と計算方法、具体的な仕事内容について紹介します。そのうえで、警備コストを抑えるために警備会社とどのように見積もり、価格交渉をおこなえばよいのかを解説します。

またセコムとALSOK(綜合警備保障)、CSP(セントラル警備保障)など、警備についても詳しく説明します。

TEXT BY Leaner Magazine編集部

常駐警備と機械警備の違いとは?

会社の警備は、常駐警備機械警備の2つに分けられます。

常駐警備とは、警備員がおこなってくれる巡回や施設点検を指します。一方で、機械警備は監視カメラやロボット、センサーによる自動セキュリティシステムなどを指します。

従来警備というと、人が施設や工場に常駐して行うものでした。しかし、設備や通信技術が発達したことで、ひとつの監視センターから複数の場所をチェックできるようになりました。いまでは、常駐警備と機械警備を併用している会社がほとんどです。

会社のセキュリティ上の費用は、むやみに削るべき項目ではありません。但し、警備体制や契約によっては、コストが市場価格と比べて割高になっていることがあります。

そのため、常駐警備と機械警備それぞれのコストを理解し、自社の警備コストが適正かどうか知ることは重要です。

    

常駐警備とは

最初に、常駐警備のコスト構造を紹介します。

常駐警備は警備会社に業務委託することがほとんどです。その際の費用は「直接人件費」「直接物品費」「業務管理費」「 一般管理費」の合計になります。

常駐警備費用=直接人件費+直接物品費+業務管理費 + 一般管理費

1つ1つの費用をより詳細に見ていくと、直接人件費は「現場の人員」と「労務単価(一人当たりの人件費)」の掛け算で決まります。

また、直接物品費は警備に必要な物品にかかる費用です。防刃ベストや懐中電灯、警笛があてはまります。

業務管理費は、警備員の教育・管理コストが主に含まれます。

その他の一般管理費は、警備会社が自社を維持運営していくための様々なランニングコストを含んでいます。

    

常駐警備の経費削減方法

常駐警備の経費を削減するためには、「直接人件費」「直接物品費」「業務管理費」「一般管理費」のそれぞれの適正価格を知る、あるいは予想することが重要になります。これらを予測し、足し合わせることによってどれくらいの原価がかかっているのかを把握できます。これを「原価積算」と呼びます。

     

適正価格の調べ方・計算方法

まず直接人件費の適正価格は、「労務単価(一人当たりの人件費)」の参考単価を調べることでわかります。警備員と清掃員、保全技師の参考労務単価は、国土交通省によって『令和2年度建築保全業務労務単価について』を参考にすることで把握できます。そして直接物品費の適正価格は、人件費の約1~3%になります。

つぎに業務管理費は、直接人件費と直接物品費の合計金額の約20%になります。

最後の一般管理費は、これまで算出した直接人件費・直接物品費・業務管理費の合計金額の約10%が適正価格になります。

    

コストダウンの方法

それでは計算方法がわかりましたので、コストダウンの具体的な方法を解説します。

最初にチェックすべき点は、自社の常駐警備費用全体が市場価格よりも割高になっていないかどうかです。前の章で紹介した原価計算方法にもとづいて適正価格を把握し、割高になっている場合には警備会社と価格交渉をします

それぞれの費用の正確なベンチマークを利用したい場合には、Leanerなどのツールを活用して、適正最安価格を把握することがおすすめです。

次に行うべき削減方法は、契約状況を可視化し、常駐警備と機械警備のバランスを見直すことです。警備仕様や契約年数など、いくつかの契約項目を見直すことで、費用を削減できることができます。

また、常駐警備と機械警備の予算分配を見直すことで、費用対効果を高めることもできます。

実は、施設警備を行う上でカギとなるのは警備員の配置ポストの適正化です。常駐警備で巡回する警備員をむやみに減らすことは、セキュリティ上良くありません。しかし、機械警備を拡充することで警備員の負担を減らすことができます。

警備状況や拠点数によりますが、機械警備は常駐警備にくらべてランニングコストを低く抑えることができます。そのため、常駐警備と機械警備のバランスを見直すことで、警備費用全体をコストダウンできる場合があります。

    

機械警備とは

機械警備の費用は「初期費用」「利用料」で構成されます。また利用料は「拠点数」「拠点単価」の掛け算で決まります。

機械警備 = 初期費用 + 利用料(拠点数 x 拠点単価)

初期費用は、センサー等の機械警備装置を設置するときの費用です。拠点単価は、セキュリティシステムを遠隔管理する監視センターのランニングコストや緊急時に駆けつける警備員数によって左右されます。

常駐警備とくらべると、機械警備は初期投資が大きくなることが特徴です。しかし、機械警備の方が拠点あたりのランニングコストを低く抑えられることが多いため、長期的にみるとコストダウンが見込めます。

    

機械警備の経費削減方法

機械警備の経費を削減する主な方法は、拠点単価を低くすることが重要になります。

拠点単価は、警備会社に見積もりを依頼することでわかります。このとき、常駐警備と同様にLeanerなどのツールを利用して適正価格を把握した上で、見積もりを依頼すると良いでしょう。

もし拠点単価の見積もり価格が適正価格と比べて割高だった場合、価格交渉を行います。特に警備を依頼したい拠点数が多い場合にはバイイングパワーが強まり、割引交渉がうまく行くことが多いです。

また複数の企業から「相見積もり」を取ることも必要です。相見積もりとは、複数の企業に同じサービスの見積もりを依頼することを指します。これによって、条件面・価格面で自社にあった契約を様々な企業の中から決定することができます。

相見積もりの詳細についてはこちらをご参照ください。

相見積もりとは?意味やメリット、マナーなどポイントを解説 | Leaner Magazine|リーナーマガジン

   

警備会社の大手3社

この章では警備業界の大手3社(セコム、ALSOK、CSP)について紹介します。それぞれ常駐警備と機械警備の両方を提供しています。

   

セコム

セコムは、国内最大手の警備会社です。他の警備会社に比べて、提供している警備サービスの数が多い点が特徴です。

サイバーセキュリティの重要性が叫ばれる中、セコムは情報セキュリティに強いことも魅力です。さらに万引き防止システムの提供など、家電量販店やスーパーマーケットとの取引も多いです。

   

ALSOK(綜合警備保障)

ALSOK(綜合警備保障)は国内有数の警備会社です。近年は他社に先駆けて、ロボットによる警備サービスを提供している点が特徴です。ALSOKの警備ロボットは、顔認証機能による不審者の検知や異常音検知をおこなうことができます。

また機械警備は初期導入コストが高くなることが多いですが、ALSOKは初期費用が他社に比べて低い点が魅力です。

   

CSP(セントラル警備保障)

売上規模で、セコムとALSOKに追随しているのがCSPです。CSPは、法人向けの警備サービスを多く提供している点が特徴です。

特に、平成9年にJR東日本と業務提携してからは、交通インフラに関連する警備サービスの提供が増えました。CSPは駅構内の警備・監視システムに加え、交通系ICカードを活用したビルの入退館サービスなども提供しています。また、画像解析を活用したセキュリティサービスに強い点も魅力です。

    

終わりに

警備費用は、会社の拠点数が増えるにつれて増加します。しかし、拠点ごとに警備仕様が異なったり、割高な契約内容のままで契約を更新していることも少なくないです。

ぜひこの記事を通じて、常駐警備と機械警備のバランスや業務委託契約の内容について見直されてはいかがでしょうか。