2019.12.27
効果的なコスト削減プロジェクトを自社で行う6ステップをプロが解説

利益創出の基本は「売上の増加」と「コスト削減」なので、コスト削減はどの企業も実現したいもの。
でも、コンサルに依頼する資金はないし、できることなら自社で取り組みたいと思っている方は多いのではないでしょうか?
みなさんは、コスト削減プロジェクトを進めるにあたって、どのようなステップを踏んで、どのようなことをする必要があるかご存じですか?
きっと、「そんなの知らないよ」という方が多いのではないかと思います。
この機会に、自社内で効果的なコスト削減プロジェクトに取り組んでみませんか?
本記事では、「コスト削減プロジェクトの進め方」を解説します。
TEXT BY Leaner Magazine編集部
企業単位でコスト削減に取り組む意義とは?
企業単位でコスト削減に取り組むと、大きな経常利益を創出することにつながります。
たとえば、営業利益率5%の企業において「1億円のコスト削減」を行うことは、「20億円の売上を立て続ける」ことと、同じインパクトの利益効果があります。
また、売上を作ることとは違い、コスト削減はすぐに効果が出ます。不確実性の低いアプローチなので、今すぐにでも取り組むべきです。
コストのなかでも間接費・経費は、事業との関連性が低い様々な細かい費目の集まりであるため、1つ1つの費目の金額は小さく感じるものの、総額は想像以上に大きくなります。
そのため、取り組み体制を整えて部門や担当者が果たすべき責任や必要な権限を明確にし、全社のプロジェクトとして間接費のコスト削減に取り組むことで、コスト削減実現可能性が大幅に向上するんです。
コスト削減プロジェクトを進める6つのステップ
コスト削減プロジェクトを進めるには、以下の6ステップを踏む必要があります。
- 現状の可視化
- 対称・目標の決定
- 実行主体の明確化
- 施策の実施
- Quick Winの創出
- モニタリング
それぞれの進めかたについて、詳しく説明します。
①現状の可視化
1つ目のステップは、現状の可視化です。
コスト削減プロジェクトの実施にあたり、まずは、現状「どの費目に・誰が・どのくらい」使っているのかを明確にするため、現在発生している全ての間接費を「対称・主体・量」の3つの要素から可視化する必要があります。
次に、各費目のコストの構成要素(コピー費なら、枚数とカウンター料金)を分析し、トレンド(金額の変化)、期待できるコスト削減額、施策の実行難易度や効果のトレードオフの関係を見ながら、取り組み内容を決定していきます。
②対称・目標の決定
2つ目のステップは、対称・目標の決定です。
現状が可視化できたら、どの費目をどの程度削減したいかを検討します。
目標の数値は、現場の声を経営層へあげて意思決定する形式で、施策を1つ1つ何があるか確認しながら整理し、施策ごとに効果を見積もることで設定します。
この際、目標の水準は前年踏襲ではなく、ゼロベースで見直す必要があります。社内で一定に揃えること、可能であれば他社、類似企業の水準を参考にすることも重要な取り組みになります。
③実行主体の明確化
3つ目のステップは、実行主体の明確化です。
コスト削減の対象費目と目標水準が決まったら、対象となった費目ごとに実行責任者を明確化します。
コスト削減プロジェクトは部門横断での取り組みとなることが多いため、責任の所在を決めるこの際には実行責任者に決定権限を付与することが必要になります。
しかし、部門横断型プロジェクトといっても、社員は各々自分が所属する部門があるため、取り組み過程で部門間での軋轢が生じることが多いそのため、リーダーシップを取ってプロジェクトを管理するマネジメントも関与し、必要に応じてサポートできる体制をつくっておくことが重要になります。
④施策の実施
4つ目のステップは、施策の実施です。
削減対称費目と目標が決まり、実行主体を明確化できたら、費目ごとの実行責任者を中心として、「相見積もりを取る」「価格交渉を行う」など数ある施策の中から対象費目に最適な施策を決定し、施策内容をより具体的に分類します。
施策実施の際には、分類された施策ごとに誰が責任をもって取り組むか、実行主体を明確化する必要があります。
⑤Quick Winの創出
5つ目のステップは、Quick Winの創出です。
「Quick Win」とは、「早期に効果を出す」という意味です。コスト削減には効果創出までに時間のかかる施策も多くあります。
しかし、プロジェクトを成功に導くためには、取り組み難度の低いカテゴリで早期に結果を出し、コスト削減で利益創出に向けた勢いをつくり出すことが必要になります。
⑥モニタリング
6つ目のステップは、モニタリングです。
Quick Winで勢いをつけ、コスト削減を実現した後には、リバウンドを防ぐために各施策の実行状況、KPIをモニタリングすることが必要になります。リバウンド防止により効果的な方法として、モニタリングの経過を各部門・関係者に共有することで、牽制が働き、施策の実行を促進することができます。
モニタリングを行う際、非常に重要になるポイントは、「指標・頻度を決めること」「その運用に沿って関係者に共有すること」「進歩している部門・施策については、経営者自らが賞賛すること」の3つが挙げられます。
結果を賞賛することで、現場担当者は「やったことが評価される」という安心感のもと取り組みを行うことができます。
無駄な経費を削減して筋肉質な会社になろう
自社でコスト削減プロジェクトを進める方法をご理解いただけましたか?
コスト削減は「節約」のイメージがあり、後回しにされがちなアプローチですが、売上高を高めることと同等の利益効果が期待できます。
コスト削減プロジェクトは、「すぐに効果が出る」「実現の確実性が高い」という特徴を持つため、自社で取り組みやすくなっています。実施の際は、体制を整え施策を細かく分類し、責任や権限の範囲を明確化して取り組むことで、成功確率をぐっとあげることが可能です。
本記事で紹介した6つのステップをもとに、コスト削減プロジェクトに取り組んでみてはいかがでしょうか。
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