コスト削減を成功させる「目標設定」3ステップ

コスト削減を実施するにあたり、重要なのは「目標を決める」ことです。目標設定を怠れば、社員の意識も高まらず、期待に値する結果を残すことはできません。

しかし、目標を設定しても、期待通りの結果を達成できないことも。その原因は「費目別に適切な目標が設定できていない」ことや「目標はあるものの、実行主体が明確でない」ことなどが考えられます。

この機会に、目標の正しい決め方を理解し、コスト削減目標を達成しませんか?

本記事では、「コスト削減目標の決め方」を解説します。

TEXT BY Leaner Magazine編集部

コスト削減目標は「事務職」が決定するべき?

全てのプロジェクトがそうであるように、コスト削減も、ゴールなくして達成はあり得ません。コスト削減に本気で取り組む前に「最終的にどのくらいの金額を削減する必要があるのか」を設定する必要があります。

では、誰が目標を決めるのが適切なのでしょうか? 経費や間接費を包括する事務職(総務)が担当すると考えている人が少なくありませんが、結論からいうと、目標設定は全社的に行う必要があります。

「対象費用の選定」や「目標水準の決定」など部門を横断して行うものについては経営判断が必要ですし、その後の具体的な施策や取り組みを実行するのは、カテゴリーごとの責任者です。

つまり、目標設定は全社的に行いますが、プロジェクトの実行者は各部門の責任者ですし、実際に経費を使用するのは社員です。全社的な取り組みなくして、コスト削減プロジェクトの成功があり得ないのです。

達成確率がぐっと上がる経費削減目標の決定方法

経費削減目標を決定するには、3つのステップを踏む必要があります。

  1. コスト構成要素への分解
  2. 施策の決定
  3. 目標の設定

①コスト構成要素への分解

1つ目のステップは、コスト構成要素への分解です。支出ごとに「コストの構成要素」を洗い出し、可視化することで、対称費用を把握します。電気料金の例を出すと、以下の通りです。

合計料金=基本料金+電力量料金+再生可能エネルギー発電促進賦課金

  • 基本料金:基本料金単価×契約容量/電力
  • 電力量料金:電力量料金単価×使用電力量+燃料費調整単価(毎月変動)×使用電力量
  • 再生可能エネルギー発電促進賦課金:再生可能エネルギー発電促進賦課金単価(毎年変動)×使用電力量

電気料金をコストを構成要素で分解すると、総額が「基本料金」「電力量料金」「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の3つの要素から構成されることがわかります。

こうして「どのようにして料金が決まっているか」を把握することが、コスト削減の最初のステップです。

②施策の決定

2つ目のステップは、施策の決定です。各コストを構成要素に分解した上で、要素ごとに施策を洗い出します。

さきほど、電気料金は「基本料金」「電気量料金」「再生可能エネルギー発電促進賦課税」の3つから構成されている説明しました。それぞれの構成要素に対するコスト削減施策は、以下になります。

  • 基本料金削減に対する施策

法人の電気料金比較サービスの利用

現在全国に600社ほどある電力料金の見積もりを行う代理店を利用し、相見積もりを取って電力会社を比較することで、基本料金がより安い会社への切り替えを行う方法。

電力使用量の見える化・デマンドの抑制

電気使用量を「見える化」し、「デマンドを抑える」ことで電気代の基本料金を削減する方法。

  • 電気量料金削減に対する施策

省エネ照明・高効率機器への切り替え

LEDランプやCCFLなどの電力消費効率が良いものに切り替えることで消費電力を抑制する方法。

社内規定の変更・人感センサーによる電力使用量の抑制

社内規定の変更や人感センサーの活用で、消費電力だけでなく点灯時間も削減し、電気代を削減する方法。

  • 再生可能エネルギー発電促進賦課金

省エネ補助金・助成金の活用

既存設備を省エネルギー性能の高い設備に切り替え、エネルギー使用量を計測・蓄積できる装置を設置した場合に出る可能性のある補助金を活用してコストを削減する方法。

電気代の詳しい削減方法はこちら

③目標の設定

3つ目のステップは、目標の設定です。この段階まできてはじめて、具体的な数値目標を決めます。目標を設定するアプローチは3つです。

1つ目のアプローチは、「ボトムアップで施策を棚卸し、施策ごとに効果を推計して積み上げることで設定する」やり方です。

2つ目のアプローチは、「自社内で横比較をし、水準を決定する」やり方です。

たとえばタクシー代などの費用を部署別に比較し、平均値や基準値などの一定の水準に揃えた場合の効果を試算し、目標値を設定します。

3つ目のアプローチは、「他社、類似企業などの水準を参考に試算し、設定する」やり方です。

たとえば、携帯電話の調達単価が同じ規模である他社のベンチマーク水準まで、自社の調達単価水準が揃った場合の金額を試算し、目標値を設定します。

この方法は社内だけでなく、外部の知見が必要になるため、上記2つのアプローチと比べると手間がかかります。

また、一般的に目標は、コスト削減を実施する費目の優先順位を決めるためのもの。目標を精緻化するのに終始する企業も存在しますが、検討することよりも、アクションを起こすことが大事です。

目標があってこそ、コスト削減が成功する

コスト削減目標を決定する方法をご理解いただけましたか?

目標は、「このくらい削減できたらいいな」という理想ではなく、「このくらいは下げられるだろう」という分析結果から出した予測に基いて立てる必要があるため、費目ごとに要素に分解し、それぞれの構成要素に合わせて施策を決定しなければなりません。

また、目標達成には社内の特定の誰かが動くのではなく、全社的なプロジェクトとして取り組むことが重要になります。

本記事が、コスト削減目標を決定する際の道標となれば幸いです。