コスト削減にまつわる現場担当者の苦悩

各企業の課題として必ずあるのが、“コスト削減”。

特に人件費、事務所家賃、消耗品代など、毎月必要になってくる固定費は、積極的に下げたいと考えている企業も多いのではないでしょうか。

しかし、コスト削減を正しく行うことは決して簡単なことではありません。

闇雲にコストを削ぎ落すことは、社員の大きな負担にり、モチベーションを下げ、かえって企業に負の効果を与えることにもなり得ます。

このような状況下でコスト削減に取り組む際、現場担当者にはいくつもの苦悩があります。

皆さんは、どのようにコスト削減に取り組んでいるでしょうか?

ここでは、購買担当者(総務・経理)に焦点を当てた、【コスト削減にまつわる現場担当者の苦悩】をお届けします。

経費削減をしても会社のためだと思われなくて細かい・せこい人間だと思われるのでやりたくない

いざ削減に取り組もうとしたとき、“具体的に何をすれば良いかわからない” と悩んだ経験はありませんか?

どの費目からどのような方法で取り組んだら良いのかがわからず、闇雲にコスト削減を行うと、とりあえず、「○○の廃止」しか策が思いつかず、細かい、1円2円を減らすような方法になりがちです。

また、長期的でなく、短期的な視点でコスト削減を行うと、後々負の効果が生じる可能性が高いです。

以下のような、「コスト削減」ではなく「コスト制限」を行ってしまっている方もいるのではないでしょうか。

「コスト削減」ではない、「コスト制限」の例

・カラーコピー禁止

・お中元等の送り先を減らす

・ガムテープの長さ〇センチ以内

電気は〇時以降は消灯

・基準の気温を満たさなければ冷暖房禁止

このように細かすぎるコスト削減策では、社員が窮屈になり、担当者は社員から「細かい・せこい」と、反発を一手に受けることも少なくありません。

また、 コスト削減は、やり方次第では社員のモチベーションに関わってくるものです。

削減=お金をできるだけ使わないこと、と考えてコスト削減に取り組み、社員が窮屈に感じれば、モチベーションも下がり、業務が非効率になる可能性も高いです。

コスト削減を行って業務が非効率になっては、会社に良い影響を与えるコスト削減策をとっているとは言えない状態になり、本来の目標である“利益の向上”と遠ざかってしまいます。

会社のために策を講じてコスト削減を行っているのに、社員からは会社のためだと思われず、自分たちを苦しめる策ばかり行う細かい・せこい人間だと思われていてはコスト削減に対するモチベーションは下がり、やりたくなくなりますよね。

そこで、使いすぎの費目を特定し、 費用の規模・削減余地・実行の難易度などを総合的に鑑み、優先順位付けをして取り組んでいくことが必要なのです。

社員を窮屈にさせない正しいコスト削減手法を取れば、細かい・せこい人間だと思われることもありません。

コスト削減できても評価されないため、積極的にやりたいと思わない

多くの企業では、コスト削減の効果を定常的/定量的に振り返ることがないため、コスト削減をして大きな利益を創出しているにも関わらず、調達担当の施策による成果かわからないために評価されないことがあります。

このような成果に応じた評価がされない環境では、現場担当者のモチベーションは低下し、「どうせ必死にコスト削減しても評価されないのなら、余分な時間を取られるのは嫌だ」と、消極的なコスト削減策しか実行されません。

また、管理部/総務は周囲の人間から何の業務をしているかを理解されず、コスト削減することで現場からの反発を一手に受けているケースも少なくなく、「コスト削減によりお客様にご迷惑をかけることはないだろうか」などという心配もあり、「むしろ今の状況を極力変えたくない、触りたくない」と考えている人も多いのではないのでしょうか。

コスト削減で成果を出せたとして、振り返りはされず、誰にも評価されない。

コスト削減をしてもしなくても同じであり、担当者がむしろしない方が楽であると感じ、積極的にコスト削減をやりたいと思えないような環境は、健全であるとは言えません。

コスト削減に取り組む際には、担当者が成果に応じて評価されるようでなければなりません。

周囲の人間が担当者に抱く業務イメージと現実との差

今まで担当者がコスト削減策を考え、実行するたびに現場からの反発を受けていたとお伝えしてきました。

しかし、周囲の人間が担当者に抱く業務イメージと、実際の担当者の業務内容との差もあり、そのことがコスト削減を行ううえでの負の要素となっていることも多いのです。

まず、前提として、社長や従業員は管理部 / 総務が“基本的に忙しくない”と思っていることがあります。

しかし、実際は、社長や従業員が思うほど管理部 / 総務は暇ではありません。

間接費・経費の購買を担当している管理部 / 総務は、多くの企業において“なんでも屋”になっており、細々とした業務に日々追われています。

以下がその業務例となります。

管理部 / 総務業務例

・安全衛生管理

・福利厚生

契約書管理

・社内インフラ整備

固定資産管理

・庶務郵便物受取

・社内外慶弔

・秘書業務出張手配

・株主総会関連業務

・各種規定管理

・リスクマネジメント 

などがある中で、コスト削減、経費 / 契約の見直しも行わなくてはならないのです。

「すべての経費費目を見直せば良い」というコスト削減指示が下るケースも少なくありませんが、管理部 / 総務は忙しく、かつ合い見積もりを1回やるだけでも相当な業務負荷がかかります。

このように、周囲の人間が担当者に抱く業務イメージと、実際の担当者の業務内容との差によって、担当者にとってコスト削減は大きな業務負荷がかかるものとなり、マイナスなものとなってしまうケースも存在します。

このような状況のもとでは、管理部 / 総務に大きな業務負荷がかからず、他の業務の妨げとならないようなコスト削減手法を取る必要があります。

コスト削減効果を可視化することの重要性

今までお伝えしてきたように、コスト削減にまつわる現場担当者の苦悩は様々です。

そこで、現場担当者の苦悩を減らすために重要であるのが 、コスト削減額を累計し、“コスト削減効果を可視化すること” です。

今までは、現場担当者が会社のためにコスト削減に取り組んでも、結果は見えにくいことが非常に多かった。

しかし、どれくらい下げられたのかを、誰が見ても一目で分かる状態にすることで、経営陣のアテンションをキープでき、かつ本施策担当者の利益貢献度は目に見えるようになります。

また、担当者が成果に応じて正当に評価されるようになることで、モチベーションが上がると、コスト削減もマイナスなものではなくなり、 さらなる改善のインセンティブに繋がることも望めます。

コストの可視化は、削減効果のみならず、取り組む段階で全社および部門別に行うと、担当者だけではなく、ほかの社員たちのコストに対する意識も高まります。

全社でコスト削減に取り組めば、現場を一番知っている社員たちの声がコスト削減担当者に届き、“無駄なように見えて必要なもの”がコスト削減対象となることを防ぐことができ、削減によって生産性が下がるなどの事態にも素早く対応することが出来ます。

そして、企業全体でコスト意識が高まると、コスト削減効果も大きくなるのです。

最後に

今回は、会社を運営する上で誰しもが頭を抱える間接費のコスト削減について、現場担当者の苦悩に焦点をあててご紹介しました。

本記事を、間接費の見直しに着手する契機としていただければ幸いです。