2021.09.17

発注業務とは?納品・検収の方法、分納方式や預託方式、注意点について解説

発注業務とは?納品・検収の方法、分納方式や預託方式、注意点について解説

発注業務は、調達・購買部門にとって重要な業務の1つです。しかし、発注業務を適切に行うためには、見積依頼から納品・検収の手順まで、幅広い知識をカバーすることが求められます。

この記事では、発注業務を正しく行うための手順について詳しく解説します。また、企業が発注する商品・資材の性質に合わせて、それぞれどのような発注方式が適切なのかについても紹介します。

TEXT BY Leaner Magazine編集部

    

1. 発注業務とは?

発注業務とは、企業が自社の製品・サービスの製造において、必要な原材料・部品をサプライヤーに注文し、入荷から支払まで行う業務です。

発注業務は、基本的に「申込」と「承諾」の2つで成り立ちます。民法上は、原則として口頭であっても「申込」と「承諾」が合致することで契約は成立します。

改正民法522条1項

契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。

しかし、企業間の見解の不一致を避けるためには、適切なプロセスを踏み、必要な書類を状況に応じてやり取りしながら発注業務を完了することがお勧めです。

今回の記事では、発注業務を以下の4つのステップに分けて解説します。

①見積依頼

  ↓

②発注

  ↓

③納品・入荷

  ↓

④検収・検品

     

2. 発注業務の4ステップについて

この章では、発注業務の4つのステップについて1つずつ解説します。

   

a. 見積依頼

見積依頼は、企業がサプライヤーに対して発注を行う前に実行されます。見積依頼を行う際には、調達したい資材のサイズや数量に加えて、納期や要件を社内で決定した上で、サプライヤーに依頼することが大切です。

また、競争環境をつくりだし、最適なサプライヤーを選定するための手法として、複数社に対して見積依頼を行う「相見積もり」があります。相見積もりを行うことで、サプライヤーの選択肢を増やし、自社の利用目的に見合った製品要件や価格で契約を結べる可能性が高まります。

また見積依頼を行う際には、見積依頼書(RFQ)を発行することがお勧めです。見積依頼の作成方法やテンプレートについては以下の記事をご参照ください。

RFQ(見積依頼書)は調達・購買戦略に欠かせない!RFIやRFPとの意味の違いやテンプレート、書き方のポイントとは? | Leaner Magazine|リーナーマガジン

    

b. 発注

サプライヤーへの見積依頼を行い、自社が契約するサプライヤーの選定を終えたら、発注の作業に移ります。

発注書には、法律上決められた様式はありません。しかし、サプライヤーとのトラブルを避ける上で、価格や各種期日を明確にした発注書を作成することは欠かせない一歩になります。発注書には、調達する資材の価格や納期、および支払の期日や条件・方法などが盛り込まれます。

特に発注漏れや遅れといったミスを防ぐために、サプライヤーごとに締切日を確認しておくことが重要です。

    

c. 納品・入荷

発注を終えたら、サプライヤー側からの納品・入荷の作業が開始します。この際には、サプライヤーから納品書が渡され、また受領書など必要書類へのサイン・押印をすることが求められます。

納品書とは、サプライヤーが商品を納入する際に顧客企業に提出する書類のことです。この書類には、商品の明細が記入されています。また、納入先企業では入荷した商品・資材の内容に齟齬がないかどうかを確認した上で、受領書、納品書の控えなどにサイン・押印をして仕入先へと返します。

後に検収を行いますが、この時点で少なくとも間違った商品が届いていないか、数量が正しいかを確認しておきます。納品書の内容が注文内容と一致しているのかを確認しましょう。

    

d. 検収・検品

企業によっては、納品とその後の検収作業が同時に行われることも多いですが、それぞれ意味が異なります。納品時には、主に入荷された商品が、「注文内容・仕様や機能要件が一致しているかどうか」を確認します。

一方検収作業では、商品の数量など、商品が「契約通りに届けられた」かどうかを確認することが主となります。そのため、検収作業を終えて、企業側からサプライヤーに対して発行される検収書は「取引が正常に終了した」ことを意味します。

検収書には法律上の規定等はなく、必ず発行しなくてはならない書類ではありません。しかし、検収書を発行したあとに商品・購入資材に対するクレーム等を主張することは難しくなります。従って、検収作業を行う際には、細心の注意を払って、ミスがないように行うことが重要です。

     

3. 発注方式3選

次に企業がサプライヤーに対して発注を行う際に、選択できる発注方式について解説します。

    

a. 分納方式

分納方式は最もよく用いられる発注方式の1つです。この方式では、発注は1度にまとめて出しますが、サプライヤーからの納入作業自体は直近の生産計画に合わせて小分けに行われます。

この方式を取ることで、企業は自社が保有する在庫量をできる限りへらすことができます。しかし、分納方式を採用する場合、サプライヤーとのコミュニケーションを密に行い、適切なマネジメントを行うことが求められます。

分納方式は、さらに定期発注方式定量発注方式に分けられます。

    

定期発注方式

定期発注方式とは、定期的に発注を行う方式です。例えば月に一回、月末に発注業務を行います。この方式をとる際には、期間ごとにどれくらいの量を発注すればよいのか、過去の需要量や生産量から逆算する必要があります。

但し、過去の発注データや市場の需要予測しだいでは、毎回の発注数が大きく変動する可能性があります。発注数の変動が急に拡大すると、サプライヤー側で対応できないこともありますので、注意しましょう。

    

定量発注方式

定量発注方式は、在庫がある一定量以下になったら発注する方式です。この発注方式を選択する場合、企業側であらかじめ、発注の基準となる在庫量を決める必要があります。

定量発注方式は、オペレーションが単純なため、事務コストを下げることができます。ただし、この発注方式は、季節ごとに需給の変動が大きい商品には向いていません。従って、自社の調達したい商品・資材の性質を考慮した上で、適切な発注方式を選択することが重要です。

    

b. VMI・預託方式

預託方式は、サプライヤーの倉庫内に発注企業向けのスペースを提供し、在庫を保管してもらい、使用分の代金を払う方式です。また、預託方式に類似した発注方式として「Vendor Managed Inventory(ベンダーによる在庫管理)」があり、VMIと呼ばれることも多いです。VMIでは、預託方式を採用する際、発注側の在庫情報をサプライヤーと共有することで、より一層業務効率化を測っています。

VMI・預託方式は、サプライヤー側にとって非常にリスクが大きいので、発注額が大きな大手企業の一部で採用されています。この発注方式に適した商材は、多くの在庫をストックしても、スペース等の制約を受けにくいものが適切です。

例えば、P&G社とウォルマート社のVMIは、紙おむつメーカーと小売店のパートナー取引の例として有名です。この事例ではメーカーと小売店の間で、POSデータが共有され、商品の売れ行きも在庫をメーカーであるP&G社が把握しながら、小売店であるウォルマートに代わって自社への発注を行なう形が取られています。

但し、VMI・預託方式を下請企業に対して適用することは、現在の下請法上、とても難しいです。そのため、この方式を採用する際には、自社とサプライヤーの関係を見極めることが重要です。

    

c. 同期化発注方式

同期化発注方式は、サプライヤーと長期契約を交わした上で、定期的に一定数量の商品・資材を納品してもらう方式です。この発注方式は、数量・納期が契約時に明らかになっているため、分納方式やVMI・預託方式と比べて、発注企業とサプライヤーの双方にとって、事務コストを低く押さえることができます。

一方で、この方式を採用するデメリットは、急な需要の変動が起こった場合に対応しきれない点です。従って、同期化発注方式で調達する商品・資材は、欠品しても大きな支障が生じないものを選択することが通常です。

    

4. 発注業務におけるポイント

    

a. 発注点を把握する

発注点とは、在庫管理を適切におこなうために用いられる指標のひとつで、在庫が一定の数量よりも減少した際、補充を行うべきかどうかを判断する数値として利用されています。発注点は以下のように計算できます。

発注点=「1日あたりの平均出荷量」x「発注入庫までのリードタイム(調達期間)」+「会社が設定する安全在庫量」

発注点を会社として設定することで、発注をかけるべきタイミングを定量的に判断することができるようになります。会社によっては、発注のタイミングが購買部の社員の経験則によって決まってしまう場合がありますが、発注点を設定することで、これら業務が属人化することを防ぐことができます。

     

b. 発注書の保管期間・方法について

発注書を保管することは、会社にとって重要な作業の1つになります。「会社法」「法人税法」において、発注書は原則7年間保存することが決められています。

また事業に関して、欠損金が生じているものについては最大10年間の保管義務が生じる場合もあります。そのため、多くの企業では、関連する帳簿も含め、10年間に渡って、それら書類を保管しているところも少なくありません。

また、2022年1月に施行される改正・電子帳簿保存法についても注意が必要です。

これまで電子データで受け取った書類は、原則として、電子の形で保存しながらも、紙媒体で保存管理することが容認されていました。そのため、多くの企業では、電子で受け取った帳簿書類を紙媒体で印刷し、その他郵送で受け取った書類と一括管理することが行われていました。

しかし、今回の改正では、電子データで受け取った書類を紙媒体で印刷して保存することが容認されなくなりました。一方で、郵送など紙媒体の形で受け取った書類については、それを電子データで保存する際の申請手続きが不要となり、紙媒体と電子データのどちらでも保存できるようになる。

従って改正・電子帳簿保存法の施行にとって、帳簿を紙媒体で一括管理することは難しくなり、むしろ電子データの形式で一括管理することが主流となることが予想されます。

     

6. 終わりに

発注業務を行う過程では、発注書や納品書、検収書など様々な書類をやり取りする必要があります。

また、自社が購入した商品・資材の性質によって、それぞれに見合った発注方式などが異なります。ぜひこの記事を機会に、自社の発注業務の見直しや、発注方式の改善などに役立てていただけたら幸いです。

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