経営陣が行う「間接費の削減」が成功しない3つの理由

「コスト削減の重要性は分かっているけど、何から始めたらいいのか分からない…」。そう考えている経理・総務担当者の方が少なくないのではないでしょうか。

上司から「経費削減しろ」「間接費を削れ」などと指示を受けるものの、方法が分からないために、プロジェクトが無駄足に終わってしまうことがしばしば。

本記事では、間接費の削減が失敗に終わってしまうケースを解説します。

失敗するパターンを理解し、経営を強くする間接費削減プロジェクトの進め方を理解しましょう。

TEXT BY Leaner Magazine編集部

企業の経営を圧迫する“間接費”とは?

間接費とは、製造原材料を除く、あらゆるモノ・サービスの調達費用を指す言葉です。

「間接費」とは、「製造原材料を除く、あらゆるモノ・サービスの調達費用」を指します。

金融庁(企業会計審議会)が出している原価計算基準によると、間接費は大きく3つの種類に分類することができます。

  1. 間接材料費(補助材料費、工場消耗品費など)
  2. 間接労務費(間接作業賃金、間接工賃金など)
  3. 間接経費(電力量、ガス代、通信費、旅費交通費など)

この中でも特に間接経費は、多種多様な費目の積み上げで構成されるため、1つひとつを正確に把握し、適切に管理することが難しいとされています。

一方で、間接経費は企業の業界・業種等に関わらず、事業運営上必ず発生する「共通」の費用です。そのため、第三者の目線を通して管理・適正化しやすいという特徴があります。

具体的には、以下のような費目が該当します。

間接経費の例

  • 事務消耗品費(複合機・コピー費、事務用品費など)
  • 旅費交通費 (出張費、交通費など)
  • 通信費(携帯電話料金、固定電話料金、固定回線など)
  • 水道光熱費(水道代、電気代など)
  • 施設関連費(清掃費、警備費、ビル管理費、廃棄物処理費用など)
  • 各種手数料(クレジットカード手数料、銀行振込手数料など)

参考:原価計算基準

“間接費”のコスト削減において起こりがちな問題

無駄なコストを排除して、健全な経営を行うには、間接費の削減が効果的です。しかし日本では、間接費削減を上手に行えている企業がほとんど存在しません。

具体的には「管理職」と「担当者」に、以下のような問題が発生していることが原因になっています。

管理職の問題

  • 勘定科目別の管理にとどまってしまう(費目別の管理ができていない)
  • コスト削減プロジェクトが終了すると、リバウンドしてしまう
  • 「1費目あたりの金額が小さいから」とコスト削減を後回しにしてしまう
  • どの費目に無駄が発生しているのかを理解しないまま「コスト削減をしろ」と部下に指示をする

担当者(現場)の問題

  • 担当者が変わった際に引き継ぎができておらず、適切な現状把握ができない
  • 費目別の優先度が決められず、非効率な進め方になる
  • コスト削減に成功しても評価されない
  • 費目別に間接費を集計・分析し、コスト削減を能動的に進める余力や人手がない。

間接費のコスト削減は、PDCAサイクルのP、D、C、Aのいずれも問題が山積みになっているのです。これらの問題を集約すると、間接費のコスト削減が失敗に終わる理由は、大きく3つに集約されます。

間接費のコスト削減が成功しない理由①

購買業務は、専担者がいない、あるいは時間が足りない

 欧米では、CPO(Chief Procurement Officer)が指揮をとり、専門の部門を設置して、利益創出に向けた購買業務に取り組んでいます。

一方、日本では専門の部署を設置することは稀です。購買業務は総務・経理が兼任するか、あるいは1〜2名といった少人数で構成されることが多く、結果として発注・処理などの通常業務で手一杯になってしまうケースがよく見受けられます。

しかし繰り返しますが、間接費のコスト削減効果は、そのまま営業利益の増加に直結するもの。ある程度マンパワーをかけてでも、向き合うべき課題です。

たとえば営業利益率「5%」の企業であれば、5,000万円のコスト削減を実施した場合、既存事業で10億円の売上増加を行ったことと同義です。専担者を設置した上で、経営陣とのレポートラインを整備し、権限を委譲しながら、進めることが、間接費の削減を成功させます。

間接費のコスト削減が成功しない理由②

そもそもやり方が分からない

いざ間接費の削減に取り組もうと思っても、実行に移す前の計画段階でつまづいてしまうことも少なくありません。

一口に間接費といっても、通信費、手数料、コピー費、消耗品など、その種類は多岐に渡ります。また、費目ごとに削減の打ち手も異なります。

購買業務は、「専担者がいない、あるいは時間が足りない」といった限られたリソースの中では、発注・検収といった業務で手一杯であり、コスト削減に向けた情報の収集も進展せず、ナレッジがたまりません。

そのため、いざコスト削減を始めようにも、“どこから/どのように始めたらいいかわからない”ということが起こりがちなのです。

間接費のコスト削減が成功しない理由③

取り組みが属人的・対処療法的

優秀な担当者・部門が先導し、自主的にコスト削減を推進している企業も存在します。

ただし、担当者・部門の知ってる範囲に留まっており、対象とする範囲・その打ち手の幅ともに、限定的であるケースが多数なのが現実です。

そのため、全社レベルで課題認識を共有するとともに、ゼロベースで対象範囲・打ち手を棚卸・検討することが肝要です。

間接費は、費用の種類の多さ、専門性の高さなどから、敬遠されがちな領域です。他方、企業のPLに占める間接費の割合は大きく、改善余地も大きいことから、取り組み次第では、早期の利益創出が可能な領域でもあります。

本記事を、間接費の見直しに着手する契機としていただければ幸いです。