2021.07.16
<3分で振り返り> DXプロジェクトを「情報収集」から「実行」に移すためにー2021年度取り組むべき「調達プロセス」と「バックオフィス」改革ー|Leanerセミナーレポート
コロナショックが続く中、企業は社内のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進め、業務効率化や生産性の向上を進めることが求められます。
特にバックオフィス部門では未だに紙やエクセルが多く残っており、業務改善余地が大きいのが実情です。
本テーマについて、2021年4月20日(木)にコクヨ株式会社の渡部氏をお招きし、株式会社Leaner Technologies COOの田中との共催セミナーを開催しました。
本記事では、セミナー当日の様子をまとめてお伝えします!調達・購買部門のDXの進め方に悩んでいる方に、ぜひお読みいただきたいです。
渡部 善之 | コクヨ株式会社
事業推進センター ネットソリューション事業部 @Tovas推進グループ
15年間帳票に関連する様々な業務で上流工程から下流工程までを対応し「帳票親方」と呼ばれています。2018年コクヨ株式会社へ入社し、システム担当から方向転換し営業となった新米営業です。培ったノウハウを利用して様々な角度で帳票に関する業務の問題解決をご提案しています。
田中 英地 | 株式会社Leaner Technologies COO
一橋大学卒業後、2013年にA.T. カーニーに入社。
あらゆる業種・業態の企業を顧客に、新規事業、ビジネスデューデリジェンス、中期経営計画、マーケーティング、BPR、調達改革など、戦略からオペレーションまで幅広い業務に従事。マネジャーへ昇進したのち、2019年6月よりCOOとして株式会社Leaner Technologiesへ参画。
バックオフィス改革から始めるDX
企業のDXはどこから取り組むべきなのか
―日本のDXの現状について教えていただけますか。DXはやはり難しいのでしょうか?
田中:現状、日本の90%以上の会社がDXについて未着手、もしくは散発的な実施に留まっています。
しかし、DXを進めるのが難しいということはありません。DXには、成功に導くための「定石」があります。そこで、まずは業務を分解して整理し、1つのPJを小さくしスモールサクセスを得ることから始めることが望ましいです。
DXプロジェクトを「情報収集」から「実行」に移すために
―DXの進め方について教えてください。
渡部:よくあるバックオフィスの文化として、書類はなんでも手作業で処理してしまう企業は多いと思います。この際、問題は紙文化をやめることではありません。ここで重要なのは、「手作業を減らして別の業務に専念する」ことです。
そこで、スモールスタートを可能にするクラウドサービスを選び、すべての紙を一気になくすのではなく「少なくする」ことから始めていくことが重要です。
調達事業の効率化から始めるDX
DXで最初に取り組むべきは “調達” 領域
田中:調達は、取り組みやすさ及び期待効果という点で、注目度の高い領域です。多くの企業で、モノやサービスを購入する調達コストは、総コストの70%を占めると言われており、経営に対する影響も大きいコストです。DXという観点で見たときにも、「調達」という業務領域は収益改善効果が高く、実現可能性も高い領域だと言われているので、様々な業務領域のDXがある中でも、優先的に取り組んだほうがいいでしょう。
まずDXするべき業務
渡部:特定の業務というよりも、現場の方に話を聞き、特に大変な業務をDX化していくべきだと思います。「DX」というワードが独り歩きしてしまうと現場の方が自分ゴト化するのが難しいです。まずは日々の業務のデジタル化から始めて、「デジタルで業務をするとこんなに楽になるんだ」と実感してもらうことが現場への浸透の近道だと思います。
田中:調達という業務領域に関わらずですが、「メールのやり取り」をデジタル化することは意外と身近なDXに繋がると思います。たとえば調達の領域においては、複数社から見積もりを取る場合、複数社に対して同じフォーマットの見積依頼メールを個別で送り、返答結果を自分でエクセルに転記して比較表を作る、といったことを現場の方は行っています。5社に相見積もりを取ろうと思ったら、同じようなメールのやり取りが5回発生するわけですね。これがクラウド上で一元管理できるようになるだけでも、単純に業務工数は1/5になるわけです。
日々当たり前に行っている業務でも、実はデジタル化・クラウド化するとかなり楽になる業務が多いと思います。
―DXをするとなにが良くなるとお考えですか?
渡部:業務に人の手をかけないことで、他のやるべきことに手がまわせるようになることだと感じています。本来人間がやらなくてもいい単純作業はどんどんシステムに任せて、人間が介在するべき付加価値の高い業務に集中できる環境を作ることができる、というところが本質ではないでしょうか。
田中:渡部さんと同じような回答にはなりますが、現場の方々がやるべきところに集中できるところだと考えています。調達という領域においては、本来はQCDに優れた新しいサプライヤーを探索したり、見積の比較検討を十分行って価格の妥当性を確かめることが重要です。業務プロセスがアナログであるがゆえに、今十分に時間をかけられていない「本業」の部分の時間を増やせることが、DXを進める1つの目的になると考えていますね。
社内でうまくDXを推進する方法は?
田中:小さいことからでもいいので、やれることから始めることです。クラウドで提供しているSaaSの良いところは、初期投資として自社でサーバーを構築したり、細かい要件定義が必要なく、利用料金だけ払えばすぐにスタートすることができることです。やってみて、合わなかったらやめる、ということを気軽に行えるのは、これまでのシステムと比べたときの利点だと思いますね。
渡部:同感です。まず小さいところからやってみて、問題点を見つけ、大きな失敗をしないように対策をとっていくことが重要です。失敗したら失敗したで、「やったことは無駄じゃなかったよね」と社内でなると良いですね。失敗を許容する文化を社内全体で作っていくことも重要だと思います。
―クラウドサービスは現場部署で使ってみるべきか、情報システム部門で進めていくのか、どちらが良いとお考えですか?
渡部:両方で協力していくことが重要ですね。登場人物が多くなると話が進まなくなるので、1つの部門で進めていくのが良いと思います。社内と交渉しながら、1つの部門の1つの業務から、担当者レベルで進めていくのがいいと思います。
田中:関係者は少ない方が始めやすいですよね。複数試したいところがある場合は、小さなチームで複数並行して走ってみて、良さそうなところに目星つけるということを早期に始めた方がうまく進むのかなと思います。コクヨさんの@Tovasで始める場合、始める際の選択肢ってどんなものがあるんでしょうか?
渡部:社外向けに出しているもの、たとえば請求書ですと、転記して発送する必要があります。その際、特定の業務の中の取引先に絞り、トライアルして、徐々に範囲を広げていくやり方が良いと思います。
スモールサクセスの作り方
―実際にスモールサクセスをどうやってうまく作っていくのですか?
田中:感度の高いメンバーを巻き込むことと、なにを持って成功とするかを定義しておくことが重要だと思います。成功のハードルを上げすぎないことも意外と重要なポイントですね。
渡部:「失敗してもいい」という意識を持ってまず挑戦すること。検討に時間がかかってしまうのは良くないので、ちょっと試してみるような感覚で取り組み、小さな成功経験を作るべきですね。
経営層と現場のコラボレーション方法
―うまくコラボレーションする方法はあるのでしょうか?
渡部:現場の方は色々な業務をしながらDXについて考える必要があるので、負担が増えてしまいます。そこで、経営陣の方は現場の方に一任するレベルで、集中できる環境を作ってあげることが重要です。現場の方は、情熱を持って経営層の方と接して進めたら良いと思います。
田中:経営者の方から現場の方へは、「失敗を糾弾しない」「できたら褒める」ことが重要だと思います。特に、DXプロジェクトは多くの企業が初期の段階で失敗しがちです。業務工数が少しでも減った、業務で使う紙の枚数が半分になった、どんなことでもいいので、成功体験を社内に広く周知することは、経営陣が率先してやるべきかと思います。現場の方から経営層の方に関しては、見なければいけない共通の指標を決めて、その中で議論を進めていくとか、情報を揃えて判断の方向を揃えていくことが重要だと思います。
従来のやり方にこだわるメンバーに対してのアプローチ方法
渡部:新しいことをするから負担が大きいというわけではなく、最初のやり始め、やり方がわからないから負担が大きいのだと思います。そのため「一緒にやってみましょう」という形で、やり方をレクチャーする方向に持っていけば良いと思います。その際は、社内だけでではなく、社外のリソース、具体的には我々のようなSaaSベンダーに相談して頂くだけでも、進め方のヒントを得られるかと思います。色々な会社の成功事例をお伝えすることができるのが、サービス提供企業の強みでもあるので、どんどん社外の知見を取り入れていくことが重要です。
田中:導入する際に、現状はどういうプロセスになっていて、どこに問題があるのかということを部門別、時系列別にとってみると、課題認識がある方のお言葉が拾えます。そのお言葉をファクトとすると、従来のプロセスにこだわるメンバーを納得させられると思います。現場の方もどこかしらアナログな業務で煩わしさを感じてるはずなので、今やっている煩雑な業務がこれだけ楽になるんだよ、というところをしっかり見せることができれば、現場も納得感持ってDXを進められるのではないでしょうか?
まとめ
- 感度の高いメンバーを巻き込み、身近な業務から着実にDXしていくことで、スモールサクセスを積み重ねる
- DXに取り組む際には、1つの部門の1つの業務から、担当者レベルで進めていく
- DXを実現すれば、やるべき業務に集中できるようになり、現場の負担も減る
*各社のサービスが気になった方は、ぜひチェックしてみてください。
@TOVAS:コクヨ社が提供する帳票Web配信クラウドサービス
Leaner:Leaner社が提供する支出管理プラットフォーム
*今後もLeanerでは、「コスト削減を、ぐっとスマートに」するためのウェビナーを開催しています。ぜひチェックください!
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