2021.04.14

購買・パーチェシングとは?意味や課題、購買管理業務の進め方や購買・発注方式を事例とともに解説

購買・パーチェシングとは?意味や課題、購買管理業務の進め方や購買・発注方式を事例とともに解説

購買・パーチェシングは、企業で日常的に行われる調達活動であり、製品やサービスのや財務体制を大きく左右するものです。

購買管理やパーチェシング、ソーシングの違いを理解し、それぞれのプロセスを戦略的に効率的に実行することで、自社の収益体制やコスト構造を改善することができます。

本記事では、企業の購買活動の要点を解説し、適切な購買・発注方式それぞれについて解説します。

TEXT BY Leaner Magazine編集部

     

購買・パーチェシングとは

企業の調達活動(プロキュアメント)には、取引業者との交渉業務や社内購買規定の整備など、様々な業務が含まれています。

これら業務は大きく分けて「ソーシング(Sourcing)」と「パーチェシング(Purchasing)」の二つのステージに分けられます。

ソーシングとは、企業の調達活動におけるサプライヤーとの契約交渉・選定プロセスを指します。ソーシングでは、サプライヤー・業界データの収集から始まり、調達先の絞り込みや調達価格の折衝などを主に行います。

ソーシングの詳細については以下の記事をご参照ください。

ソーシングとは?調達・購買プロセスにおける意味を分かりやすく解説 | Leaner Magazine|リーナーマガジン

一方パーチェシングとは、ソーシングによって得られた基準に沿って行われる購買業務を意味します。パーチェシングでは、発注・検収から支払い業務までのルール化、購買データの蓄積・管理が実行されます。

ソーシング活動は新たな調達案件が発生した際に集中的に行われるのに対し、パーチェシング活動は既存・新規のサプライヤーに対して日常的に行われるマネジメント業務です。

   

購買管理とは

ソーシングやパーチェシングよりも、「購買管理」という言葉の方が馴染みがあるという方も少なくないでしょう。

日本企業でよく使われる購買管理(Purchasing Controal)という言葉は、主に日常的なパーチェシング活動を指していますが、”仕入先の開拓と選定”といった業務などソーシングにあたる活動も一部含まれます。

日本規格協会(JSA)は、日本工業規格となるJIS Z8141:2001の中で購買管理を次のように定義しています。

   

「生産活動に当たって、外部から適正な品質の資材を必要量だけ、必要な時期までに経済的に調達するための手段の体系」

購買管理業務の中で、特に抑えておくべき単語が

購買条件(Purchasing provision)
購買方式(Purchasing system)」
発注(Order)・納入

の3つです。

    

購買条件

購買条件とは、企業が調達先と発注契約を結ぶ際の取り決めを指します。この取り決めには、発注品の仕様や品質規格、納入・支払い方法や損害賠償責任までを明文化することが大切です。

また、この購買条件をサプライヤーと結ぶ前に大事になるのが、自社で策定する購買計画です。購買計画を作る際には自社製品の需要や消費動向、想定される各サプライヤーの提供価格からコスト・スケジュールの最適化が行われます。

    

購買方式

購買方式は、 製品・サービスの具体的な買い方のことを指します。購買方式は、主に集中購買分散購買の2つに分かれます。

集中購買は、 発注契約や材料・部品の購入等を本社で一括してとり行う購買方式です。この購買方式では工場や営業所は購買を行いません。そのメリットは、「購買のノウハウが本社に蓄積されること」、「大量に購入するため取引において仕入れ値を有利に設定できること」などが挙げられます。しかしデメリットとして、工場や営業所のコスト意識・モチベーションの低下を招く危険性が挙げられます。

集中購買に対し、それぞれの材料・部品の購入を必要とする場所ごとに分散して購買する方式を分散購買方式といいます。この際、工場や営業所のイニシアティブが高まり、それぞれに最適化された調達を行うことが可能になりますが、スケールメリットがあまり働かず、全社規模で見た際に調達コスト等が割高になってしまう危険性があります。

また、購買方式には国際購買(Worldwide Purchasing)と呼ばれるものも存在します。これは、生産活動で必要とする原材料及び部品について、世界市場から最適な機能・品質・価格及び納期で調達する方法です。日本の部品市場等は、世界有数の質の高さを持っており、国際購買の対象となることが多いです。

    

発注・納入

企業が実際に取引先から商品を購買する際に行う行為が、発注です。また予約制度に近い形で、発注先に事前に注文品目・量の概算を知らせることを内示発注と呼びます。

さらに、大きな企業において用いられる発注方法として分散発注(decentralized order)があります。これは、同一品目を2社以上に発注する方式です。この方式を用いることで、万一、事故や災害による納期遅延が一つのサプライヤーにて発生した際に、サプライチェーン・リスクを低減することに繋がります。また複数のサプライヤーが同時にいることで、サプライヤー間の競争力強化を促し、価格引き下げ努力を期待することができます。 

また、サプライヤーに発注を行う際には、どのように材料・部品を納入してもらうのかを決める必要があります。その際の納入方式は、直納分納の二つに分けられます。

直納方式は、発注者が指示した納入先(発注者以外)へ受注者が直接納品する方式です。一方で、分納方式は、多量の注文量を,発注者の要請に基づき数回に分割して納入する方式です。直納方式は納品量を把握することが容易ですが、分納方式を採択することで在庫低減のメリットを得ることができます。

また、組み立てラインなどが存在する工場においては、毎日一定時刻に所定量を直納してもらう定時直納方式も存在します。

    

購買管理と調達管理の違い

先ほど、日本規格協会(JSA)の定義で確認した通り、購買管理とは単純に資材の仕入れを行うだけのことを指すのではなく、「必要な時に、必要なモノが揃っている状態」を達成することが目指されています。これを実現するために購買条件・計画や購買方式の選択、発注・納入管理などさまざまな意思決定を適切に行うことが大切です。

一方、調達管理は購買管理よりもより広い概念になります。調達戦略を策定するにあたっては、生産計画の中で、必要な材料・部品を供給可能な状態にするだけでなく、サプライチェーン・マネジメント(SCM)など人材や設備等の生産能力に関わる資源を整えることも調達管理に含まれます。

調達の詳細については、以下の記事をご参照ください。

調達とは?意味や購買との違い、企業における調達の重要性やコスト削減に繋げるノウハウを紹介 | Leaner Magazine|リーナーマガジン

    

購買管理の5原則

購買管理活動のノウハウが各企業で蓄積される中で、以下のような5原則が定められました。この原則は、中小企業診断士等の国家試験でも言及されているものです。

    

原則1:適切な取引先の選定

取引先を選定する中で、重要なのは、ソーシング戦略を明確にすることです。社内でRFP(提案依頼書)やRFQ(見積依頼書)などの仕様書を統一し、各取引先(サプライヤー)に対して客観的な評価を行うことで、翌年の購買・調達活動の質的向上を図ることができます。

RFQの詳細については、以下の記事をご参照ください。

RFQ(見積依頼書)は調達・購買戦略に欠かせない!RFIやRFPとの意味の違いやテンプレート、書き方のポイントとは? | Leaner Magazine|リーナーマガジン

    

原則2:適正な品質の確保

製品やサービスの品質管理を適切に行うには、社内の品質保証部門と連携することが大切です。それぞれの調達部品ごとに社内の品質保証部門とコミュニケーションを密にすることで、品質を担保すると良いでしょう。

    

原則3:適切な数量の決定

購買内容の数量を適切にコントロールするためには、サプライーチェーン・マネジメント(SCM)などの手法を適切に理解し、商品の購買需要を予測し、在庫を調節することが大切です。

サプライチェーンマネジメント(SCM)の詳細は、以下の記事をご覧ください。

SCM(サプライチェーンマネジメント)とは?事例から学ぶサプライチェーン最適化のポイントを紹介 | Leaner Magazine|リーナーマガジン

    

原則4:適切な納期の指示

購買・パーチェシング活動において、納期の管理は非常に重要なテーマとなります。

同一の製品を大量に生産する場合は、毎回決まった部品を仕入れることが多いので、納期が安定します。しかし、多品種少量生産の場合、扱う部品の種類が時期・状況によって変化してしまいます。そのため、在庫を適切に管理しながら、部品調達を行わなければ製品等の納期に間に合わなくなる可能性が生じてしまいます。

その際、同時に物流等のマネジメントも重要となります。物流管理やコスト削減については以下の記事をご参照ください。

物流とは?輸送費や倉庫の費用、運送や保管・梱包作業のコスト削減、国際物流や運送会社の比較まで | Leaner Magazine|リーナーマガジン

    

原則5:適切な価格での購入

適正最安価格で原材料や部品を調達することは、企業の調達活動において必要不可欠です。購買部においては、一般的に「より良いものをより安く仕入れる」ことを目標とし、価格交渉や相見積もりを行います。

この仕入価格は最終的な製品価格や企業利益に大きく影響する要素です。品質を維持しながら可能な限り原材料や部品を安く仕入れることが、企業利益を最大化したりするための重要ポイントになります。

また、直接材ではない副資材等についてカタログ購入などの手法を活用することもお勧めです。詳細については、以下の記事をご参照ください。

MRO(副資材)とは?調達の際のポイントやオススメサプライヤーを紹介 | Leaner Magazine|リーナーマガジン

    

戦略的な購買業務を進めるために

     

取り組み① サプライヤーマネジメント

1つ目は、サプライヤーを管理することです。複数のサプライヤーとつながることで、中長期的視点を持ちつつ様々な意図を持ってコミュニケーションを取ることが可能になります。例えば、主力商品に関しては3~4社に分けて購買することでリスク分散を行ったり、短期的なメリットが少なくても、よりサプライチェーンの上流の企業から仕入れを行ったりする、といった具合です。

サプライヤーマネジメントの詳細については、以下の記事をご参照ください。

コスト削減成功の鍵。コンサルタントもまず初めに取り組む方法「サプライヤーマネジメント」とは | Leaner Magazine|リーナーマガジン

     

取り組み② 集中購買・分散購買の使いわけ

2つ目は、集中購買・分散購買の使い分けです。

一般的には各部門でバラバラに発注している場合、一括で発注する集中購買に切り替えることで、スケールメリットが働き、大幅なコストの削減が可能になります。

また企業によっては生産ラインが多様化していることがあり、その際には各工場で適切な調達計画を設け、場合によっては分散購買も選択肢の1つとして考える必要があります。

    

取り組み③ 調達・購買業務をDXする

上記のサプライヤーマネジメントや、集中購買・分散購買の使い分けは、頭では大事だと分かっていながら、それでもなかなか実践しにくいと感じている企業も多いのではないでしょうか。

そうした企業によく見受けられるのが、調達・購買活動にかかるお金の動き・履歴が「見える化」されていない、という状況です。調達・購買活動が可視化されていないため、どんなプロセス・意思決定で購買行動に繋がったのかが明確ではなく、Next Actionや改善行動に繋げられないことが多々あります。

こうした企業では、データの蓄積・利活用と社員の意識改革が重要です。自社の取引先が特定のサプライヤーに集中しすぎていないか、市場水準と調達価格に乖離がないかどうか、など調達にかかるリスクを関連部門が認識することがまずは大切です。

その上で、これらサプライヤーリスクを回避する上で、自社の見積もり・購買履歴をデジタル化して一元管理し、改善行動に繋げられるようにしましょう。また、こうしたデジタル化を伴った社内変革を進める上では、LeanerAribaなど支出管理・見積もりをDXするSaaSを導入してすることもお勧めです。

また、企業のDX戦略の推進方法等については、以下の記事をご参照ください。

DX・デジタルトランスフォーメーションとは?意味や課題、デジタライゼーションとの違い、DXの成功事例を解説 | Leaner Magazine|リーナーマガジン

    

終わりに

購買活動は、企業にとって収益を確保する上で必要不可欠な作業であると言えます。

自社の状況にあわせて、購買計画を作成し、集中購買や分散購買、各種発注制度を利活用することでスムーズな購買活動を実践していきましょう。

RECOMMEND

こちらの記事も人気です。