2021.03.31

サプライヤーとは?意味やサプライヤー選定のコツ、サプライヤーとの関係の築き方を詳しく解説

サプライヤーとは?意味やサプライヤー選定のコツ、サプライヤーとの関係の築き方を詳しく解説

皆さんはサプライヤーとの関係に悩んだことはありませんか?

どの企業でも、仕事をする上で、サプライヤーと接したり、また自身がサプライヤーとなることもあるかもしれません。

本記事では、「サプライヤー」の意味や業界構造について徹底解説し、サプライヤー選定のコツやコミュニケーション方法のポイント、さらにはカウンターソーシングについて紹介します。

TEXT BY Leaner Magazine編集部

 

サプライヤーとは?ベンダーやメーカーとの違いは?

サプライヤーとは?

サプライヤーとは、英語では“supplier”と書き、「仕入先、供給元、納品業者」などの意味を持ちます。企業の文脈では、製品・サービス・事業などに必要な機材、部品、原材料、サービスの売り手のことを指します。

「サプライヤー」と聞くと、製造業における、原材料の卸売業者や部品の下請け企業などをイメージする人が多いかもしれません。しかし、製造業以外においてもあらゆる「モノを売る人」が「サプライヤー」に当てはまります。例えば、旅行業のサプライヤーは、交通手段や宿泊施設を供給する航空会社やホテルなどがサプライヤーとなります。

供給元と供給先が存在する限り、あらゆる企業が「サプライヤー」となり得ます。

 

ベンダーやメーカーとは?サプライヤーとの違い

「サプライヤー」としばしば混同される言葉に「ベンダー」や「メーカー」などがあります。

「ベンダー」とは、日本においては主にIT業界で用いられてきた言葉で、「ソフトウェアの開発設計・システム導入を行う会社」を指します。英語の「vendor」は「売り手」という意味であり、元々はサプライヤーとほぼ同義の言葉です。

また、「メーカー」とは、「製造を行う業者、開発を行う業者」を指します。原材料や部品を用いて製品を作る会社を指すので、材料のみを供給したり、製品を仲介したりする会社は当てはまりません。

3つの言葉を簡単にまとめると、下記のようになります。

サプライヤー モノやサービスの売り手の総称
ベンダー 元々の意味はサプライヤーと同義だが、日本においてはIT業界のシステム開発や導入を行う会社のことを指す
メーカー 原材料や部品を用いて「製品を作る」会社の総称

 

サプライヤー選定のコツとは?

数あるサプライヤーの中から、サプライヤーを選ぶ際に役立つコツを5つ紹介します。

1.RFQを作成し、同条件で横比較する

皆さんの会社では、社内で統一されたRFQのフォーマット・テンプレートは存在しますか?

日本における見積業務の課題として、プロセスや判断基準が属人的であり、再現性が低いことが挙げられます。例えば、担当者ごとに見積もりをする項目が異なっていたり、見積もりをする手段が電話やメール・FAXと多岐にわたります。

※参考:https://mag.leaner.jp/posts/2791/

このようにバラバラな見積もりを行っていると、社内での見積もりデータの蓄積・管理が困難になり、サプライヤーごとに公平な横比較が難しくなります。

このような課題を解決するためには、RFQ(見積依頼書)のフォーマット・テンプレートを作成しておくことが大切です。統一されたフォーマット・テンプレートの社内利用を徹底すれば、簡単にサプライヤーの横比較ができるようになります。

RFQについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

 

2.金額だけではなく、より多面的な視点でサプライヤー比較を行う

皆さんはサプライヤーを選ぶ際に、何を基準にしていますか?

もちろん金額は最重要事項ですが、他にも自社の求める要件を満たしているのかは詳しく調べる必要があります。例えば、品質やサポート体制、企業の評判などを調べてみることが多いです。

最近では、CSRに注力している企業が増えています。CSRとは企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)のことを指し、企業が自社の利益だけでなく、環境問題や差別問題などを考え、社会への貢献をするべきだという概念です。また、グリーン調達も最近話題となっています。グリーン調達についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

こういった社会の風潮も考慮しながらサプライヤーを比較するのも今後より重要になっていくでしょう。

 

3.相見積もりを取って競争環境を醸成する

見積もりは、要件を整理したり、サプライヤーを調査したり、多くのサプライヤーに見積書を出したり、そこから交渉したり…、と多くの手間と時間を要します。そのため、見積もりが面倒になり、“いつものサプライヤー”に発注をしてしまうことも多いのではないでしょうか。

しかし、同じサプライヤーに発注を続けていると、契約条件の改善や値下げの機会を逃すかもしれません。

そこで、複数社に見積もりをとる相見積もりを行うことで、サプライヤー同士の競争環境を作り出します。他社の契約条件を引き合いに出したり、相見積もりをしている事実を伝えるだけでも値引き交渉を有利に進めることができるかもしれません。

相見積もりについて、マナーやポイントについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

  

4.定期的にサプライヤーを見直す

時代の変化や技術革新、政策方針の転換に伴い、料金体系や商品の原価率が大きく変動する業界も多数存在します。

例えば、電気代やMVNOなどは、国の政策方針の影響を受けて新プランが発表されるなどして金額が変化しやすい費用と言えます。また、PCや各種デジタルデバイスは半導体等の性能の向上によって、既存モデルの価格が大きく低減されます。

こういった費目については、新プランの発表などに気づけるように定期的にサプライヤーを見直す習慣・意識を社内で持つことが重要です。

 

5.社内にサプライヤーの知見を蓄積する

サプライヤーの選定プロセスが属人的であると、担当者が変わるたびに、サプライヤーの調査や交渉を一から始めなければならない可能性があります。

そこで、費目別やある程度のカテゴリに分けて、過去の交渉履歴・サプライヤーの調査・業界の調査・市場価格などの知見を蓄積すると良いでしょう。

また、データの蓄積はエクセルや紙媒体ではなく、あとから社内の担当者が誰でもいつでも参照できるようにデジタル化してクラウド上に蓄積するのもオススメです。

蓄積したデータは定期的に見直し、アップデート、社内周知を行うのが良いでしょう。

 

サプライヤーとのコミュニケーションを円滑に行う方法

主に交渉の場面において、サプライヤーと円滑にコミュニケーションをしつつ値引き等の交渉を行うためのコツは入念な事前準備をして交渉に臨むことです。

サプライヤーに求める最重要な条件の1つに、価格があります。ただ、価格に目が行くばかりで一方的に交渉を進めてしまうと、良好な関係が築きづらくなってしまいます。

相手も企業であり、利益を出したいという思いを同じく持っています。どちらの企業にとっても得になるような妥協点を探したり、状況に応じた交渉シナリオを複数用意するなど、事前の準備を入念に行うことが必要不可欠です。事前準備として把握しておくべき有用な視点を3つ、順に紹介していきます。

価格交渉全体でのコツについて、以下の記事で詳しく解説しているので、是非ご覧ください。

  

1.取引品目の特性を把握する

取引品目の特性について理解を深めることは、交渉の鍵となったり、相手企業からの信頼を得ることに繋がります。

品目特性とは、具体的には、「①その品目が固定費または変動費のどちらを中心としたコスト構造をしているのか」「②市場価格の水準がどれくらいか」「③取引パターンはどういったものか」の3つを指します。それぞれ具体的に紹介します。

①コスト構造

ある品目のコスト構造が、固定費または変動費のどちらが中心となって占めているかを調べます。

一般的に固定費中心の品目は、サプライヤー側からすると「固定費を回収できるかどうか」が価格を設定する上で重要になります。すなわち、サプライヤー側は固定費を回収した後であれば値引きに応じやすくなります。発注量の多寡がポイントとなるので、大量購買を通じたボリュームディスカウント・スケールメリットが狙えるところと言えます。

一方、変動費中心の品目は、発注量の多寡がサプライヤーの価格設定にそれほど影響を与えないので、ボリュームディスカウントは有効ではありません。

このように品目のコスト構造に注目することで、ボリュームディスカウントの使用による値引き効果の有無を確認することができ、交渉の仕方を検討することができます。

価格交渉に役立つ、コスト構造に関する知識について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

②市場の価格水準

次に「取引品目に市場の価格水準があるかどうか」や、「そもそも価格比較を行えるサービス・商品であるかどうか」を調べます。

一般的に、品目の個別性が強く、他社や他案件とのスペックや価格水準の比較が困難な場合は、競争原理が働きにくいため、価格が原価とは無関係に設定されてしまうことが多いです。オーダーメイドの機械設備やITシステムがこの品目に該当します。

このような品目は、原価開示を要請し、原価と価格の差を指摘することで交渉を進めることも可能です。しかし、ほとんどの企業は原価情報の開示に応じてくれず、原価を推計することも難しい場合が多いため、このような品目へのアプローチ自体の難易度が高いと言えます。

一方、取引品目が汎用的なもので、スペック・価格を市場の水準と比較することが比較的容易な費用は、常に市場での競争が行われているため、価格水準が原価から大きく乖離しているケースは一般的に少なくなります。

また、市場価格との乖離が大きい場合でも、他社や他案件との差、市場の価格水準との差を指摘することで交渉を進めることが可能です。

このように市場の価格水準の有無や価格弾力性を把握することが、交渉の仕方を見極めることに繋がります。

 

③取引パターン

サプライヤーとの取引について、それが定常的に繰り返し行われているものなのか、もしくは、スポット的なものなのかという点を確認することもお勧めです。

繰り返し発注が行われる取引では、サプライヤーが自社商品・サービスと契約してもらうために、取引開始時の価格は低めに設定し、継続時はそれよりも高めの値段設定にしている、ということがしばしばあります。例えば、「ある機材の導入費用は安いが、保守費用は高い」といった場合です。このようなケースを防ぐために、初めからランニングコストも含めたトータルコストを評価すると良いでしょう。

一方、スポット的に、必要になった際にその都度取引している商品・サービスは、サプライヤーにとって、1回あたりの発注ロットが少なく、必ずしも継続利用・購買が期待できないため、定価に近い価格で取引しているケースが少なくありません。全社レベルでのロット集約を行うなど、1回の発注量をできる限り増やす工夫をすると良いでしょう。

このように取引パターンの違いにより、注目するべき点が異なります。

 

2.サプライヤーの業界構造を把握する

取引品目を提供しているサプライヤーの業界の競争環境を把握することも重要です。

同様の製品・サービスを提供しているサプライヤーが市場に多数存在し、サプライヤーのスイッチングが容易な場合には、サプライヤー間の競争原理を活かすサプライヤーマネジメントを適用しやすいと言えます。

サプライヤーマネジメントとは、サプライヤーに働きかけ、契約を見直すことでコストの適正化を図ることを指し、この場合、交渉においてサプライヤー側に多く妥協してもらうことが多いです。このとき、他社サービスに切り替える際に係る諸経費である、スイッチングコストを慎重に見極めることが大事になります。

一方、サプライヤーの数が限られており、代替が効かないような状況では、交渉において両者の妥協点を探すために自社も価格面・条件面で譲歩する必要があると言えるでしょう。

このようにサプライヤーの業界について調査し把握することで、「できるだけサプライヤーの業界競争が激しい品目について値下げ・条件交渉を持ちかけると良い」などと考えることができます。

 

3.原価推計を行い、コストの削減余地を把握する

人件費が主体となるような品目など、品目の特性上個別性が強い品目は、単純に比較できる市場価格や他事例を見出すことは難しいでしょう。こういったコストは多くの場合、その価格の妥当性について検証されることなく調達されていることも少なくありません。

しかし、こういった品目に有効なのが、地道にコストの要素を分解し、積み上げることによる原価推計です。原価推計に加えて、適切なマージンを反映した適正最安価格を算出することで、現行価格との差を指摘し、交渉を進めていくことができます。

原価推計の方法など、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

  

サプライヤーとのやり取りを効率化するシステム

サプライヤーを選定するには、同条件で複数の企業に見積もりを出し、横比較をすることが重要です。また、サプライヤーとの良好な関係を築くには、交渉の際の事前準備が必要不可欠です。

これらの調達に関するサプライヤーとのやり取りを効率化するシステムに、株式会社Leaner TechnologiesのLeaner(リーナー)があります。

Leanerでは、複数のサプライヤーに一括で見積もりを取ったり、その見積もりの結果を横比較したり、またそれらのやり取りの記録・データを蓄積することができます。さらに、サプライヤーとのチャット機能があり、その記録も保存できます。

チャットで気軽に質問することができ、事前準備に必要な情報を手早く仕入れることができます。また、見積もり交渉の履歴が残ることで、架空発注などのコーポレートガバナンスの問題を抑制することにも繋がります。

このように、工数が多く煩雑な調達業務におけるサプライヤーとのやり取りを、一括で効率的に管理してくれるのがLeanerです。

  

誰もがサプライヤーになり得る!逆の立場になって考えるカウンターソーシングとは?

カウンターソーシングとは?サプライヤーとしての心構えの必要性

サプライヤーとその相手企業の両者がどちらも損をしない状況を作り出し、継続的な取引関係を維持するためには、発注側だけでなく、サプライヤー側の努力も重要になります。

ここで押さえておくべき概念が「カウンターソーシング」です。カウンターソーシングとは、「如何に相手企業からの値引き交渉等の圧力に対抗し、営業取引を維持し拡大していくか」をサプライヤー側の視点から説いた方法論のことです。

顧客企業の「ソーシング」戦略が高度化する中、サプライヤーは、相手企業の圧力に飲み込まれれるのではなく、自社製品・サービスの付加価値を高め、取引先に自社固有のメリットを提供し、サプライヤーとして妥当な価格水準を維持する活動が必要となります。

これまでは、「サプライヤーから調達する側の視点から、サプライヤーとのやり取りや関係性を如何にマネジメントすればよいのか」を解説してきました。そこで、以下の文章では、「サプライヤー」となりうる企業すべてが留意しておくべき「カウンターソーシング」のアプローチを紹介します。

 

カウンターソーシングのアプローチ3選

1.受動的アプローチ

カウンターソーシングのアプローチの1つ目は「受動的アプローチ」です。受動的アプローチとは、顧客から既に要請された調達の見直しやコスト削減にどれくらい対応するべきかを考えて策を打つ方法です。すなわち、顧客が行う「ソーシング」活動・戦略に対し、顧客や競合の状況を考えながら対応していくことを指します。

例えば、顧客から要請されたRFPに対し、要請されてからの短期間で防衛的に対応します。このときのポイントは、顧客の調達ニーズとソーシング戦略を理解すること、顧客が求める提供価値や競合との相対的地位を分析すること、などが挙げられます。

要請されたRFPに対して逐一回答文を作成するのではなく、その要請の裏の真意を読み取ろうとすることにより、どこに交渉のポイントあるのか、すなわち顧客側は何を重要視して交渉に臨んでいるのかを把握することが重要です。これによって、買い手側との交渉を優位に進めることができます。

 

2.強化的アプローチ

「強化的アプローチ」とは、主要顧客を効果的に管理するために社内プロセスをどのように強化するべきかを考える方法です。

顧客の事業における課題を理解した上で、それらの課題をサプライヤーからの調達活動により、いかに解決の支援ができるのかを示していきます。そして、顧客に対して新たな付加価値を提供することで顧客から長期的なパートナー・取引先として認知されることを目指します。

これを実現するためには、サプライヤーは現状の顧客のポートフォリオや営業プロセスを棚卸しして、付加価値を最大化するためのスキルや仕組みを整備することが必要です。そのためには、必要な設備・システム投資を行うことも大事です。

具体的には、顧客側は「収益の拡大・成長」を望んでおり、そこから「コンサルティング営業による付加価値の向上」「効率的・効果的な見積もり提案プロセス」「安定的・柔軟な納入体制の実現」などを主に期待します。

これに対し、サプライヤーは「顧客の販売プロセスや配送サービスにおけるニーズの理解向上」「顧客別・製品別・サービス別の価格を明確化することでのコスト効率の透明性向上」「事業横断的な取り組みを促進するプロセス・指標の組み込み」「パフォーマンス管理指標とPDCAの確立による納入サービスレベルの改善」などに取り組むことにより、顧客の期待を満たす努力を怠らないようにすることが重要です。

 

3.先見的アプローチ

「先見的アプローチ」とは、サプライヤーとしての提供価値(製品・サービス)をどのように再定義するべきかを考える方法です。

このアプローチを取る際には、まず顧客の事業が置かれている経営環境や戦略的方向性を理解する必要があります。その上で、顧客にとって汎用的ではなく、より高い付加価値を生む、ユニークで競争力のある事業エリアにサプライヤーがシフトしていくことを試みましょう。

この「先見的アプローチ」は、前に紹介した2つのアプローチと比べ、自社に求める戦略的変化の幅が大きくなります。そのため、サプライヤーとしての事業戦略の再構築を目指したアプローチであると言えます。

サプライヤーは既存の事業を抜本的に見直し、コスト構造や価格設定戦略をゼロベースで変革するとともに、サプライヤーの事業の根幹となる提供価値についても自社で再定義を行うことが必要となります。

 

サプライヤーについて知ろう

サプライヤーの意味、ベンダーやメーカーとの区別に始まり、サプライヤー選定のコツ、またサプライヤーとの円滑コミュニケーションを取るポイントに到るまで幅広く紹介しました。

また多くの企業は、時と場合によって、自社が「サプライヤー」となり得る場合も多いです。そのため最後の章では、サプライヤーとして値下げ・契約交渉に臨む際にぜひ抑えておきたい概念として、「カウンターソーシング」を紹介しました。

本記事を参考に、皆さんの企業におけるサプライヤーとの関わり方を見直してみてはいかがでしょうか。

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