ワークスタイルラボ 村上氏と語る新しいコンサルティングのかたち。「フリーランスのコンサルタント×SaaS」

コンサルティングファームに所属することでしか「最適な仕事」は得られないと考えているコンサルタントが多くいる日本。フリーのコンサルタント=いけてないというイメージがあるのも事実だ。

村上 岳 (株式会社ワークスタイルラボ/経営企画)、大平 裕介(株式会社Leaner Technologies/代表取締役)が、なぜ今コンサルティングの進化が必要なのか、これから日本のコンサルティング業界はどうなっていくのかについて語った。

「新しいコンサルティングのかたち」。全4回シリーズの第一弾。

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株式会社ワークスタイルラボhttps://www.workstyle-lab.com/

戦略/IT系コンサルタント、各種専門家などの「高度ビジネスプロフェッショナル」と、こうした人材を経営課題の解決に活用したい企業をつなぐマッチングプラットフォームを運営する、国内タレントマッチング業界のパイオニア企業。 同社の運営するプラットフォーム(コンサルサーチ: https://consulsearch.com/ )には、戦略系/IT系のコンサルティングファーム出身者等を中心に、約2300名の高度プロフェッショナルが登録されている。

村上 岳 ■株式会社ワークスタイルラボ 経営企画(左)

株式会社ワークスタイルラボ(以下、WSL)の経営企画。

WSL以前は、株式会社ドリームインキュベータ(以下、DI)にて、コンサルティング業務、及び、インキュベーション業務に従事。その後、株式会社ワークスタイルラボに参画

大平 裕介 ■株式会社Leaner Technologies 代表取締役 (右)

A.T.Kearney 株式会社にて、主にコスト改革(Strategic Sourcing・BPR)、事業戦略策定などに従事し、2018年に当時最速でアソシエイトに就任。2019年2月、株式会社Leaner Technologiesを創業し、代表取締役CEOに就任。

田中 英地 ■株式会社Leaner Technologies COO (インタビュアー)

A.T.Kearney 株式会社にて、消費財、通信、金融機関、製薬会社、広告代理店などを中心に、新規事業、ビジネスデューデリジェンス、中期経営計画、マーケーティング、BPR、調達改革(間接材/直接材など)、戦略からオペレーションまで幅広いテーマに従事。2019年1月当時最年少でManager へ昇進。同年5月A.T.Kearneyを退社し、株式会社Leaner Technologiesへ参画。

なぜLeaner/WSLが生まれたか

田中:なぜフリーのコンサルタントの領域で事業を展開しているのでしょうか?

村上: フリーのコンサルタントが時流として増えてきている一方、クライアントがコンサルタントの活用をより柔軟にしたいというニーズがあることに気づきました。そういった状況で、フリーのコンサルタントとPJを結びつけるということをすれば、従来のコンサルティングファームとは違う形でで、価値をクライアントに提供できるのではないかと思ったのです。

大平:なるほど。それでいくとLeanerもコンセプトとしては近いですね。

僕らはコンサルタントがコスト削減プロジェクトで行っている作業を形式化して、SaaSツールとして提供することができれば、世の中に広く価値を提供できると思い、Leanerを創業しました。

フリーのコンサルタントの働き方・メリット

田中:コンサルティングファームと、フリーのコンサルタントの働き方の違いやメリットはどういったところにありますか?

村上:そもそも人のタイプにもよりますが、年代によっても違います。

20代の若手は、起業準備をしている方が多いです。フリーなら自身の起業の準備をしつつ、週の3日はプロジェクトをやり、その後、残りの4日間は新しく事業を考えたり動かしたり、といった働き方も可能になります。

また、自分のビジネスに近い領域・案件を好んで選ぶというのも、フリーだからこそ出来ることですね。

これが30代以上になると、子供が出来たり、介護しなきゃいけないなど、ライフステージが変わった時に独立される方がいます。

こういった方々の場合、転職が頭に浮かんでも、本当に望ましい転職先って意外と少ないんですよね。年収も下がることが多いですし、コンサルだと1ヶ月の長期休暇が取れることも多々あるのに、事業会社だとそれができなくて、働き方が固定化する。

フリーランスでも、マネージャークラスであれば案件も多岐にわたり、選ぶことができるというのも実情です。収入も自分のプライベートの時間も確保できる、そういった理由からフリーランスの道を選ぶ人もいます。

田中:フリーランスの仕事にはどのような種類があるんでしょうか?

村上:マネージャーないしはシニアコンサルタントの役割が多いです。案件の種類は、IT寄りなのか、戦略寄りなのかの主に2つがあります。

一概には言えないですが、IT関連の案件ですと30代以上のマネージャーまで経験された方、戦略寄りの案件ですとは20代後半の若手のニーズが強い印象です

田中:フリーのコンサルタントに頼むお客様の満足度はどうでしょうか?

村上:もちろん、PJを担当するコンサルタントによってお客様の満足度は異なります。

ただ、面白いのが、優秀な人が、どこの案件でもいい評価が出るかというと、実はそうではなくて。

例えばAさんは、X社では高い評価だが、Y社ではそうでもないこと起こりうる。評価がぶれるのがフリーランスの領域における難しさだと感じています。

評価がブレないように、お互いに対する事前の期待値のブレを小さくするのが、私達エージェントの役割でもあります。

田中:評価のぶれが発生する要因は何でしょうか?

村上:プロジェクトを取り巻く環境が複合的な要素で成り立っているためです。クライアント側が組成しているメンバー、クライアントのお客さんにいるメンバー、そういった方々の関係性の中で評価が決まります。

しかし、評価がずれるといっても非常に良いか、良いかくらいの違いですよ。全く駄目な評価を受ける人はそう多くはいません。

Leaner/WSLが描くコンサルタントの未来

大平:今までは、コンサルティングファームに所属して、組織のナレッジを使いながらコンサルティング業務を行っていました。

コンサルティングファーム内に必要なナレッジと、外部にあっても別に問題がないナレッジがあると思っています。

Leanerが持ってる購買データや経理データは、コンサルティングファームが持っていても、WSLさんでも個人のコンサルタントでも、データの質はあまり変わらない。

購買データがないからストラテジックソーシングやりたいけどできない、といったように、
能力的には問題ないのだけど、データ・ツールが限られているので、ファームの外に出てしまうと、できなくなる業務は一定数あるのだと思います。

Leanerでは将来的にそういった課題のソリューションになりたいと思っています。

例えば以前は、コンサルタントがやっていた営業支援の業務をSalesforceがリプレイスして、さらにSalesforceを支援するコンサルが生まれてきたように。

村上:フリーのコンサルタントの悩みの一つに、「スキルを切り売りしてる感」があります。

フリーになって様々なプロジェクトに入って、スキルが身に付く側面はある一方で、色々な人と話していると「このままずっとやっていける感じがしない」という話を聞きます。

「彼らに対して武器を提供したい」というのも、僕らの想いの1つとして持っています。

自分たちでありとあらゆる武器を開発していくのは多大なリソースがかかってしまうことになるので、そういうときにLeanerさんみたいなサービスとかを武器として持つのが1つのフリーのコンサルタントの戦い方になってくるのかなと。

フリーのコンサルタント×SaaSのマッチング

大平:PJの種類としては、同じお客様から連続して発注頂く仕事が多いのか、ワンショットの仕事ではどちらが多いのでしょうか?

村上:長く続くプロジェクトは、長く続きます。そのあとのリピートはプロジェクトの状況次第ですね。印象としては、1年続くような長期のプロジェクトと3ヶ月程度の短期のPJの2種類に別れている印象です。

大平:なるほど。僕らもSaaSで事業を運営しながら常に思うこととしては、自分達のツール・サービスだけでは解決しきれないものもあるってことなんですよ。

支出の分析ができて課題もわかるけど、これ自分たちでしっかり入ってプロジェクトとして支援していくかというと、SaaSツールの枠組みでは難しい面もある。

SaaSツールがフリーのコンサルタントと共同でお客様の支援ができる仕組みが作れると、


それは「新しいコンサルティングのかたち」だなって。

村上「新しいコンサルティングのかたち」ですね。

フリーランスはキャリアメイクにも有効

大平:SaaSも、カスタマーサクセスはコンサルティングの仕事に近く、BtoBでの経験が出来る人材が求められています。しかし、マーケットではコンサルタントが求められている一方で、外部に出ていかないのは何故なんでしょうか?

村上:若くて優秀な人は、所属している組織で活躍しているから、それ以上の魅力が外側にないと、外に出ていく必要性がないんだと思います。リスクもあるので、難しいですね

あとは素直に、フリーでコンサルタントをやるということの魅力を僕らが伝えきれていない。

田中:3〜4年くらいである程度活躍できることが分かってる人であれば、フリーで自分自身の求めるようなキャリアを築いた上で、またプロフェッショナルファームに戻るっていう選択肢もありますかね?

村上:出戻りはあります。今後も間違いなく、フリーでコンサルタントをやったあとに、事業会社に転職するというルートが増えてくると思っています

田中:これからということですね。コンサルタントとしてキャリアを形成するという視点で、
フリーランスは、どんな意味合いがあるのでしょうか?

村上:僕らがやってるのはフリーのコンサルタントをマッチングする事業ですけど、もっと広く言うとキャリアメイクの支援だと思っています。

例えば、3年くらいどこかのファームでスキルの土台を作る。その上で、フリーのコンサルタントで特定のプロジェクトの経験を増やしエッジを立て、その領域で起業する、というようなキャリアもあり得ると思います。そういうことが支援できるようになると非常に良いと思っています。

コンサル×ツール

村上:困りごとの一つが、単純に今まで使えていたツールが使えなくなる、っていうのはあります。

ファームに所属しなくなるため、戦略案件で市場調査のレポート読みたい時に、SPEEDA等で探せた情報が探せなくなりますし、新聞の記事検索も使えない。

僕らとしては、ファームにいる時以上にしがらみがないので、色々なツールを提供していきたいですね。

大平: どういったツールを提供していきたいという考えはありますか?

村上:僕の個人的な意見にはなりますが、守りのツールと攻めのツールの2種類のツールがあると思っています。

守りのツールは、案件を取った後のツール。SPEEDAのような調査関連ツールですとか、Tableauのようなデータ分析ツールなどがこれに当たると思っています。

攻めのツールは、Leanerさんのツールのようにフリーのコンサルタントがお客さんに対して「これを使っていきましょうよ」って言えるツール。そのツールをきっかけに、クライアントの経営状況をクリアにすることで、さらに案件を拡大していけるようなツール。

Leanerさんのようなコストカットのツールの場合、使い始めてコストを絞った後に、それでもさらにコストを絞りたいみたいになった場合、じゃあそもそも事業体を変えることも検討しますか?みたいに話が広がると思うんですよね。

攻めのツールが増えていくと世のコンサルタントは楽しいですし、フリーでもコンサルタントをやっていこうという人が増える。そうなると、その増加した独立コンサルタント向けのツールの提供が増えてくるみたいな循環が生まれて来ると面白くなるんじゃないかなっていうのは思っていますね。

大平:フリーのコンサルタントで、顧問業をされてる方は世の中に結構いまして、実際に僕らもお客様をご紹介頂くことが増えてきました。

Leanerを自分の顧問先に紹介して、利益が出たら感謝されて、顧問としても定期的にバリュー出せる。そういう”四次元ポケット”的ものがいっぱいあれば、顧問の方々も価値を出しやすくなります。

村上:“そういう戦い方がある”ということをコンサルタントは意外と知らなかったりするので、まず知ってもらうことが重要だと思っています。

コンサルタントとしても何を勉強したらよいのか、どっちの道に行ったらいいのか、意外とイメージがつかない方も多いので、「このツールならいける」という強力なツールが増えてくると、コンサルタントとしてもやりやすいですね。

僕自身も正直、今回WSLに関わることになってフリーのコンサルタントに対する見方が180度変わったんですよ。

「フリーのコンサルタント=いけてない」というイメージは世の中にまだあります。実際は、とても魅力的なオプションの一つだと思っています。イメージを変えていくのがまず第一歩ですね。

大平:そうですね、コンサルタントにとって、フリーランスという働き方、それを支援するためのツールは、いずれも必要だと思います。