2021.02.19

ソーシングとは?調達・購買プロセスにおける意味を分かりやすく解説

ソーシングとは?調達・購買プロセスにおける意味を分かりやすく解説

みなさんはソーシングとは何か、説明できますか?

何となく意味は分かるけど、同じく調達・購買活動に含まれるPurchasing(パーチェシング)と何が違うのか分からない…、具体的にどのような行動について指すのか分からない…という人も多いのではないでしょうか。

本記事では、ソーシングの調達・購買プロセスにおける位置付けから、具体的なステップまで、徹底的に解説します。

TEXT BY Leaner Magazine編集部

         

ソーシングとは?意味や役割を解説

ソーシングの意味

ソーシングとは、企業の調達・購買活動におけるサプライヤーとの契約交渉・選定プロセスを指します。ソーシングにおいて、まず調達予定の製品・サービスの仕様や取引条件などの購買条件を社内で検討し、サプライヤーの業界調査を行います。その上で、業界調査結果に基づいたサプライヤーの選定・契約交渉を行い、最適な契約条件の獲得を目指します。

また、ソーシングは条件の良い契約の獲得が目的となるため、「契約業務」とも呼ばれます。

ソーシングは、「商品選択」「発注」「決済」で構成される調達プロセスにおける”商品選択”のフェーズです。

        

ソーシングの役割

ソーシングを事務的な手続きとして行うのではなく、しっかりとした計画に基づいて戦略的に行うことで、大きなメリットを享受することが出来ます。このように戦略的に行われるソーシングは「ストラテジックソーシング」と呼ばれています。

ストラテジックソーシングに期待される役割として、「調達コストの最適化・削減」「供給の安定化によるリスクヘッジ」などが挙げられます。

ストラテジックソーシングでは、サプライヤーの業界調査を入念に行います。入念な調査ののち、RFI(情報提供依頼)などのプロセスを通してサプライヤーの選定を行うことで、価格の低減余地を定量的かつ定性的に評価することができます。

そして、これらの削減余地に関する情報をもとに、サプライヤーとの契約交渉に臨みます。このようにして、戦略的に、再現性のある形で、コストの最適化やコスト削減が達成できるようになります。

また、複数のサプライヤー候補に対して、統一された評価基準を導入することで、選定プロセスの客観性を確保することできます。このようにして選定されたサプライヤーは、高い安全性および信頼性を期待できるため、供給の安定化にも繋がります。

ストラテジック・ソーシングに取り組む際には、各部署が求める製品の仕様や購買条件を整理し、見積書やRFQ条件を指定する「購買条件整理力」と、経営状況、営業や物流管理、取引などの条件からサプライヤーの信頼度や対応力を判断し、選定する「サプライヤー選定力」が必要になります。

            

ソーシングとパーチェシングの違い

ソーシングとよく比較される用語として「パーチェシング」があります。パーチェシングも、ソーシングと同じく調達・購買活動のプロセスのうちの1つです。

「契約業務」と呼ばれるソーシングに対し、パーチェシングは「調達実行」と呼ばれます。。

パーチェシングは、調達・購買活動のうち、ソーシングを終えた後に行われます。具体的には、発注から納期の調整、検収など一連のプロセスを指します。

ソーシングとパーチェシングは、どちらも調達・購買活動においては欠かすことのできない重要なプロセスです。

              

ソーシングのステップを詳しく解説

ソーシングに含まれるステップは、まず「サプライヤーの調査」と「調達戦略の設計」を行い、次に「サプライヤーの選定」と「見積もり・価格交渉」を経て、最後に「価格の決定」するというように大きく分かれています。

ソーシングに含まれるステップは、以下の4つに分かれます。

  1. サプライヤーの調査
  2. 調達戦略の設計
  3. サプライヤーの選定/見積もり・価格交渉
  4. 価格の決定

それぞれのステップについて詳しく解説します。

1.サプライヤーの調査

まず、取引の対象となるサプライヤーの業界について詳しい情報を仕入れる必要があります。

「その業界はどのような市場環境なのか」、すなわち、「景気の影響を受けて価格が変動しやすいのか」、「どこかのサプライヤーの独占状態なのか」、「何が価格の決定要素になっているのか」など様々な方向から、サプライヤーの業界について調査します。

加えて、サプライヤーごとのコーポレートガバナンス上および財務上の安全性、それから事業としての継続性についても調査を行います。

2.調達戦略を立てる

具体的にサプライヤーとの取引を開始する前に、自社内で調達の戦略を立てておくことが必要です。この段階で、「絶対に譲ることのできない条件」を設定することは、今後の調達プロセスを円滑に進めるために必要不可欠です。

契約交渉が進んでから、自社として譲れない条件が抜けてしまっていることに気づくと、交渉の手間が増えたり、最悪の場合、契約を白紙に戻して、交渉を最初からやり直す必要が生じます。

戦略を立てる際には、過去の発注情報や見積もりに関する情報・データを参照することが重要です。過去の経緯や、データを元に検討することで、どの品目で・どのように交渉ができそうかを見極め、効率的に発注先選定・価格査定を進めることができるようになります。

また、既存の取引に関して、調達の最適化のための戦略を立てる際には、自社の支出データを可視化することが大切です。支出の可視化により、削減余地が大きく、かつ比較的スムーズに交渉ができそうな品目を見定めて、効率的に交渉作業を進めることができるようになります。

さらに、既存・新規の取引のいずれかに関わらず、品目によって、サプライヤーごとの特徴から、交渉の戦略を立てることもあります。

3.サプライヤーの選定/見積もり・価格交渉

サプライヤーの選定作業では、自社が調達先として検討している複数のサプライヤーに対し、見積もりを行ったり、価格交渉をしたりすることでサプライヤーを選定していきます。

a.RFIを送付し、情報を仕入れる

RFI(※)とは、情報提供依頼書を指します。導入を検討している複数のサプライヤーにRFIを送付することにより、「そのサプライヤーは何ができるのか」といった製品・サービスの基本情報から「会社概要」「経営管理体制」「リスクマネジメント能力」といった企業の信頼に関する情報まで、幅広い情報を仕入れます。RFIの回答として、企業のパンフレットや個別案件の事例集などが返ってくることが多いです。

b.自社内で調達仕様を具体的に固める

RFIで仕入れた情報をもとに、今自社が必要としているのは「どのような仕様のサービス・製品なのか」「どのような機能要件を満たしているものがいいのか」など自社に必要な製品仕様をある程度具体的に絞り込んでいきます。そして、ここで決定した要件を、次の見積もりに用います。

c.RFPを送付し、具体的な商品見積を仕入れる

RFP(※)とは、提案依頼書を指します。自社内で決めた要件を伝え、具体的な製品やサービスの提案を依頼します。

RFIでそれぞれの企業の「製品・サービスの基本情報」「達成可能な機能要件」「過去の提供実績」に関する情報を仕入れた上で、「XXができるなら、こういうものがほしいから具体的に提案をしてほしい」と要請し、より具体的な商品見積もりを仕入れます。

返答として、依頼企業にある程度合わせた見積もり金額、商品仕様などが返ってくることが多いです。

d.最終的な見積もりを出すサプライヤーを決定

RFPに対する返答で仕入れた情報をもとに、最終的な見積もりを出すサプライヤーを決定します。この段階では、ある程度サプライヤーとの事前交渉を行いながら、決定していく必要があります。

ここで1つのサプライヤーに絞る必要はなく、選定してきたサプライヤーを比較しながら見ていきます。

効果的な価格交渉について詳しくはこちらの記事で解説しています。

e.RFQを送付し、正式な見積もりを依頼する

RFQ(※)とは、見積依頼書を指します。具体的な仕様・目標価格・設定個数・安全保障などの最終的な見積もりを依頼する要請書のことです。

RFQのフォーマットを統一しておくことで、送付した複数のサプライヤーを平等に横比較することができます。

f.価格交渉・取引条件の最終相談

最終的な価格の交渉や、取引条件をすり合わせます。

(※)RFI/RFP/RFQについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

このようなステップで見積もりと交渉を重ねながら、サプライヤーを選定していきます。

4.最終的な契約先・価格等の契約条件の決定

検討していた中で、最適な調達を行うことのできる条件に決定をします。

条件へのマッチ・価格を見極めるため、それぞれの見積もり内容を比較することで実現します。

ソーシングは1回で終わりではないので、調査した内容やサプライヤーとの価格交渉の履歴はしっかり社内にノウハウとして蓄積させていきましょう。

               

戦略的なソーシングを実現する際の課題

ソーシングに十分な時間を割けない

サプライヤーや他部門とのやりとりがメール、FAX、電話など多岐にわたるため、目の前の案件を捌くのに精一杯で、ストラテジック・ソーシングに取り組む時間がないケースが多く存在します。

ソーシングのプロセスが情報として残っていない

ソーシングの業務プロセスがアナログかつ属人的であるため、組織として情報を蓄積・活用していくことが困難であるケースが多く存在します。

ストラテジック・ソーシングを阻む最大の要因は、「業務プロセスがアナログである」こと。これによって業務の非効率が発生し、または情報が蓄積・活用されないまま流れていってしまいます。したがって、取り組みの最初の一歩は「ソーシング(見積)業務をデジタル化する」ことであるべきでしょう。

             

ソーシングをデジタル化することの重要性

ソーシングのデジタル化に取り組むべき理由は、3つあります。

1つ目は、DXを進める第一歩として有効だからです。

調達領域のDXは収益改善効果が大きく、実現可能性も高いと言われています。その中でもソーシングはデジタル化が遅れている領域であり、DXを実現しやすいと言えるでしょう。

2つ目は、取引の透明性が担保されるからです。

従来は、担当者不在時に今までどのような取引を行ってきたかが不明で、0からソーシングに取り組む必要がありました。しかし、取引に透明性を持たせ、データで管理することで過去データへのアクセスが可能になり、誰でも状況把握が可能になります。また、サプライヤーを選ぶときにより正しく意思決定できるようになります。

3つ目は、担当者の成果が可視化されるからです。

デジタル化に取り組むことで、成果が可視化され、担当者の取り組みを適切に評価できるようになります。

ソーシングにおいては、プロセスをデジタル化し、データを蓄積して活用します。しかしその際、ソーシング業務をデジタル化し、データ蓄積の体制を構築する段階である「プロセスのデジタル化」で躓いてしまう企業は少なくありません。

そのため、業務プロセスをデジタル化するサービスを活用することが望ましいでしょう。

     

戦略的なソーシングで調達・購買活動を最適に

企業間の生存競争が激化する中、ソーシング業務は利益率の向上に直結し、他社との重要な差別化ポイントになり得ます。

本記事で紹介した各ステップを実行することで、戦略的なソーシングを行い、調達コストを最適化することができます。

是非、この機会に調達・購買活動を見直してみませんか?

本記事が、皆さんの調達・購買活動の最適化の一助となれば幸いです。

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