2020.12.17

CAPEX・OPEXとは?意味や違い、損益計算書や貸借対照表、キャッシュフロー計算書での読み方を解説

CAPEX・OPEXとは?意味や違い、損益計算書や貸借対照表、キャッシュフロー計算書での読み方を解説

CAPEX (キャペックス)とOPEX(オペックス)を正しく理解・計算することで、キャッシュフローを健全化し、収益性を改善することができます。 CAPEXは設備投資等のコストを指し、OPEX は事業のランニングコストを意味します。

今回の記事では、CAPEXとOPEXの意味や計算・管理方法を説明します。また、損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書などに基づいて、これら指標をどのように経営に役立てていけば良いのかを解説します。

TEXT BY Leaner Magazine編集部

  

CAPEXとOPEXの違いとは?

「CAPEX」は、英語で「Capital Expenditure」と呼ばれ、事業の生産性や資産価値の向上を図るための投資コスト・設備投資を指しています。一方で「OPEX」は「Operating Expense」または「Operating Expenditure」とよばれ、事業を運営するために必要な諸々の費用のことです。

CAPEXが将来に向けた投資という側面を持つのに対し、OPEXは企業が日々展開しているビジネスに直結しているという側面を持ちます。そのためCAPEXとOPEXの数字と向き合う際には、

  • CAPEXをできる限り削減する
  • OPEXを適正に管理・削減する

の2つを行うことが重要になってきます。

   

CAPEX( Capital Expenditure )の概要

CAPEX( Capital Expenditure)は、企業会計において、不動産や機械設備・IT基盤の価値を高めるための設備投資による支出を指しています。

設備投資の具体例としては、製造業者が生産性を高めるためにプラントや機械設備の購入を行う投資が挙げられます。そのほかにも建物や工場の拡張、サーバーなどのハードウェアの購入、大規模ITシステムの導入も含まれます。また不動産事業においては、建物の資産価値を高めるための投資費用がCAPEXに該当する場合もあります。

   

CAPEXを削減する方法

CAPEXは「投資コスト」と呼ばれることも多いです。CAPEXに分類される支出(設備投資)は設備や不動産などの価値を維持したり、高めることを目的としています。

しかし、投資はリターンが必ずしも約束されているわけではありません。新規ビジネスや商品から収益を生めなかったり、利益の回収が遅れた場合、CAPEXによる支出は企業の財務状況を圧迫させることになります。

CAPEXを削減することは、投資リスクを解消する上で、重要となります。

   

CAPEXをOPEX化する

CAPEXが持つリスクを解消する方法として「CAPEXをOPEX化」することが重要になります。その典型例がITシステムの導入です。

これまで企業がIT設備を導入するときには、CAPEXの支出として、ITベンダー・SIerからシステムを一括購入することが一般的でした。しかしこれら投資コストが収益から回収できるようになるには、数年の期間を要することも少なくありません。

そこで懸念されるのが、数年立った際に、導入したIT設備が時代遅れになっていることです。こうなると投資コストを回収しきれていない状態で、新たな設備投資を行う必要が生じ、財務上損失が出てしまいます。

そうしたCAPEXによる財務上のリスクを回避する手法として、従量課金制のクラウド系ITシステムを利用する企業がふえています。

たとえば、近年普及しはじめているクラウドERP(基幹業務システム)は、月額課金制で最新版のシステムを使いつづけることができます。財務面では、プロジェクトチーム単位でスモールスタートし、途中で解約することも簡単にできるため、ムダな支出を抑えられます。そしてこれら費用はCAPEXではなく、日々のランニングコストであるOPEXに該当します。

税務上でもCAPEXをOPEX化することでメリットが生じます。これは、OPEXに含まれる営業費用等は税控除を受けることが可能だからです。一方で、CAPEXは会社の資産価値を上げるための支出になるため、固定資産税の課税対象となります。

   

CAPEXを管理・計算する際の注意点

CAPEXをOPEX化し、かつコスト削減効果を見込める事業領域は増えています。また費用面を考慮しなかった場合、アウトソーシング・OEMを利用することでCAPEXの比重を落とし、OPEX化することが可能です。

しかし、それでもCAPEXの支出でしか賄えない事業領域は多々あります。くわえて自社のコア事業領域に連なる業務・事業を内製化することは、市場競争力を高める上で重要です。そのためにも自社のCAPEXを注視し、しっかりとコントロールすることはとても重要です。そうした際に、CAPEXを計算・把握するために使われるのが財務諸表です。

財務三表である損益計算書貸借対照表キャッシュフロー計算書は、企業の経営状況を診断する重要な指標となります。なかでも、CAPEXの影響が顕著に現れるのが、キャッシュフロー計算書です。

土地や大規模ITシステムを一括購入した場合、会社の賃借対照表上は資産として表記されます。また損益計算書では、購入費用を資産耐久年数で割り算した減価償却費として計上されます。

しかしキャッシュフロー計算書では、CAPEXの支出分だけ、現預金等が流出します。これは、会社の手元にある資金が減少したことを意味します。

黒字倒産してしまう企業はCAPEXのコントロールがうまくできていないことも多いです。黒字倒産とは、損益計算書の上では経常利益が黒字なのにキャッシュフロー計算書がマイナスになり、会社が資金ショートを起こして倒産してしまうケースです。

これはキャッシュフロー上、その年のCAPEXの支出によって手元の資金が底を尽きていても、損益計算書の上では減価償却費の分だけしか引かれず、経常利益が黒字になるためです。黒字倒産しないためにも、キャッシュフロー計算書をきちんと管理することが求められます。

   

OPEX( Operating Expenditure )の概要

OPEX( Operating Expenditure )は企業の人件費、宣伝広告費、研究開発費、旅費交通費、通信費など日々の営業活動に関わる費用が含まれています。

OPEXの支出は損益計算書の販売費および一般管理費(販管費)に該当するものが多いです。ただし販管費のなかでは、減価償却費や支払金利はOPEXに含まれず、かわりに研究開発費がOPEXに含まれます。

   

OPEXを適正に管理し、削減する方法

OPEXは、企業が展開しているビジネスを支えている支出だと言えます。そのため、経営面では品質や生産活動の低下を引き起こすことなく、OPEXを削減することが重要になります。

一方で企業の売上が伸びてもなかなか経常利益が増えない場合、OPEXをうまく管理できていないことが多いです。OPEXの中でも、事業規模が大きくなると拡大してしまう支出があり、それらを定期的に見直すことはとても大切です。

今回の記事では、企業が成長するに従って拡大してしまう費目として以下の5つの費用を紹介したいと思います。

*人件費

*消耗品費

*物流費

*外注費

*支払い手数料

  

人件費

人件費の見直しについては、まずは業務改革(BPR)を優先し、既存業務のフローチャートを見直しながら人員配置を最適化することがおすすめです。これによって残業代等のコストを削減し、社員の業務量適正化にも繋がります。

  

消耗品費

消耗品費の削減においては、サプライヤーに相見積もりを取ることで大きな削減を見込めます。相見積もりとは、複数のサプライヤーに対して見積もりを取り、その契約内容を同時に比較検討することで、最安価格を獲得する方法です。

  

物流費

物流費を削減するためには、運送業者と価格交渉を行うことで商品の輸送単価を適正価格まで落とすことができます。とくに垂直統合されたサプライチェーンを持っている企業にとっては、物流費が大きな比重を占めることになるでしょう。これは小売業や自動車産業に多く見受けられます。

  

支払手数料

銀行振込や海外送金に伴う支払い手数料も、事業拡大に応じてかさんでくる項目の1つです。

支払い手数料削減の基本は、手数料単価の引き下げです。インターネットバンキングや銀行振込み代行業者の選定・利用を開始することで、会社によっては、数十%のコスト削減を見込めることもあります。とりわけ、貿易など商品の売買に伴う取引が多い総合商社ではこれら費用が相対的に多く、支払手数料のコストダウンに取り組むといいでしょう。

  

外注費

外注費を見直す際には、業務要件を明確化し、サプライヤーと密にコミュニケーションを重ねたうえで、価格交渉を行う必要があります。とくに、外注費が多くの比重を占めているのがIT業界です。これはコア事業に焦点をしぼり、周辺業務をアウトソーシングしていることが多いためです。

   

OPEXを削減する際の注意点

OPEX内のコスト構造や特徴は業界ごとに変わってきます。そのため、業界や事業戦略に沿って、OPEXの数字を見直していく必要があります。

たとえば、製造業のOPEXは工場のランニングコストが多くの比重を占めているため、これらを注力して管理することが求められます。

特に工場の水道光熱費の削減は、比較的打ち手が豊富にあり、照明のLED化や電力・ガスプランの見直し、自家用水システムの導入や節弁などが有効な削減策として存在します。

またビジネスモデル上、OPEXが増えやすい事業もあります。その一例が通信業におけるMVNO(仮想移動体通信)事業者やラグジュアリー業界です。

MVNO事業者は、他社の通信インフラを借りて携帯・モバイルサービスを提供しています。そのため自社による設備投資は少なく、人件費等のOPEXに比重をかけることで事業拡大を目指すことになります。

またハイエンドなサービスを提供するラグジュアリー業界や高級ホテル業界でも、OPEXが高くなる傾向があります。これら業界では、サービスに掛かるランニングコストを抑えることよりも、顧客の満足度やブランド価値の維持を優先します。

そのため、一等地での店舗賃貸料や宿泊設備の水道光熱費、通信費が他の業界とくらべて、相対的に高まります。その代わりに顧客のリピート率やロイヤリティが向上し、ブランド価値の向上につながります。

   

終わりに

CAPEXとOPEXは会社運営上、必要不可欠な企業会計の概念です。事業を長期的に成長させるためには、この2つの数字をしっかりと把握し、慎重にコントロールしていくことが求められます。

CAPEXとOPEXのバランスを理解することで、継続的な事業投資と適切な経費削減を取ることができるようになると言えます。ぜひ、この記事を通じて皆様のCAPEXとOPEXに対する理解が深まれば幸いです。

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