飲食店のコストは、食材やドリンクの仕入れ値だけではありません。人件費や賃料、光熱費など、多くのコストがかかっています。
今回は、原価の低減だけでなく、その他の経費も含め飲食業における経費削減ポイントについて解説します。
TEXT BY Leaner Magazine編集部
飲食店におけるコストの特徴
飲食店でかかる費用
飲食店でかかる代表的な費用は、以下の4つが挙げられます。
- 原材料費
- 人件費
- 賃料
- 水道光熱費
最も目につきやすいコストは、食材やドリンクなどの原材料費でしょう。飲食店では「原価率」が重視されることが多く、一般的に原価率は30%くらいが妥当と言われています。
また、飲食業界で特徴的な指標として「FLコスト」というものもあります。FLコストとは、原材料費と人件費の和の売上に対する割合のことです。これは50~60%が妥当だと言われています。
FLコスト=原材料費+人件費
飲食店で検討するべき経費削減策
ご紹介した通り、飲食店の店舗でかかる費用は大きく4つです。これらを削減するために検討するべき経費削減方法を紹介します。
1.原材料費の削減
まずは原材料を「何を・どこから・何のために」仕入れているのかを整理しましょう。これらを整理することで、どこに見直し余地があるのかを確認することができます。この際、食材の品質が過度に下がらないかも併せて確認しましょう。
次に、1つの原材料の仕入先が分散していないか確認しましょう。一回に仕入れる量が多ければ多いほど、割引が効くことが多く単価の低減が見込めます。「サプライヤーが分散しているなら最も安いサプライヤーに集約する」「調達時期が分散しているならばなるべく一つにまとめる」などの工夫を検討すると、コスト削減に繋げることができます。
また、食材のロスを減らすことも重要です。食材のロスを減らすには、在庫管理を徹底し、ロスを見える化します。廃棄が多くなっている食材やドリンクを特定し、それらの原材料の仕入れを時期ごとに適切な量に調整することで、コスト削減に繋げることができるでしょう。
2.人件費の削減
飲食店経営の大きな特徴は、時期や時間ごとの繁閑差が大きいことです。繁閑差に応じて、人員の配置を時期や時間ごとに変更することで人件費の削減に繋がることがあります。
飲食店においてはアルバイトを上手く活用することで繁閑調整が可能です。たとえば、比較的忙しい忘年会シーズンや新年会シーズンは、短期アルバイトを多く雇ってシフトにたくさん入ってもらい、それほど忙しくないときは人員を減らすことで、労働力が余っているという状況を回避することができます。
人件費の削減について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
3.賃料の削減
賃料削減の基本は価格交渉です。契約状況を確認したのち、建物のオーナーと希望条件について交渉します。賃料の交渉のポイントは、タイミングと期間に注目することです。
オーナーにとっては“誰も借りてくれない”という状態が一番の痛手となります。そのことに留意し、新規借り手が見つかっていないタイミングで交渉に臨む、長期契約を保障することを交渉条件として提示する、といった工夫をすることで、価格を交渉することができるかもしれません。
移転することも削減方法の一つです。移転先を選ぶ上で留意する点は、「立地」「築年数」「面積」です。お店の客層にあった立地になっているか、また築年数が多い建物でも良いのであれば古めの建物も視野に入れてみるのも良いでしょう。また、必要な面積を算出し、その面積に見合った物件を探すことも有効となります。
賃料の削減について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
4.水道光熱費の削減
水道光熱費とは、電気代やガス代、灯油代、電球ランプ代などの、店舗活動に必要なエネルギーを購入するためにかかる費用である光熱費と、水道料金によって構成される費用のことです。
水道光熱費を削減するには、まず内訳を可視化しましょう。水道光熱費のなかでもどの費目が多くかかっているのかを把握することは必要不可欠です。
電気代は、多様なプラン・企業の中から、自社の用途に合わせてサービスを選択することで削減が可能です。沢山の電気会社の選択肢がある現在、電気料金比較をしてくれる代理店を活用すると便利です。代理店を活用し見積もりを取って比較することで、最適な料金プランを選択しコスト削減に繋げることができます。
また節電器具や節水機器を導入することにより電気代や水道代を削減することができるかもしれません。
水道光熱費の削減について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
終わりに
飲食業では、主に原材料費・人件費・賃料・水道光熱費の4つの費目に注目するとよいでしょう。これらのコストを売上から差し引いた営業利益が、10%になることを目指したいですね。
今回紹介した削減アイデアを参考にしながら、コスト削減に取り組んでみてはいかがでしょうか。
本記事が皆さんのコスト削減の一助となれば幸いです。