コスト削減とは?コスト削減の考え方や基本手順などをわかりやすく解説

企業の利益を上げる方法は、「売上を上げる」もしくは「コストを下げる」の2つしかありません。2つを同時に行っていくことが利益を最大化するためには必要不可欠です。

しかし、コストを適切に管理し、削減に上手く取り組めていない企業も多いのではないでしょうか?実際、コスト削減に対して後ろ向きのイメージを持っている企業も多く、まだまだコスト削減のノウハウも広まっていません。

企業がコスト削減に積極的に取り組むことには、大きな意味があります。たとえば利益率5%の企業において、1000万円コスト削減することは、売り上げを2憶円上げることと同等の利益インパクトを企業にもたらします。

本記事では、企業の利益に直結するコスト削減の基本的な考え方から手順・ポイントまで、紹介していきます。

TEXT BY Leaner Magazine編集部

コスト削減とは?

企業におけるコストとは、企業活動を行う際に必要となるあらゆる費用のことを言います。

会社のコストは様々な軸で分類することができます。今回は、原価計算でも用いられる「何に対して支出しているのか」という軸と、「製品製造との関連性」の軸で配賦します。

まず、「何に対して支出しているのか」という軸でコストを分類すると以下の3つに分けられます。

  • 材料費:材料に対して支出したコスト
  • 労務費:労働力に対して支出したコスト
  • 経費:材料費・労働費以外に対して支出したコスト

次に、「製品製造との関連性」という軸でコストを分類すると以下の2つに分けられます。

  • 直接費:製品・サービスを製造するために直接的に使用したコスト
  • 間接費:製品・サービスを製造するために間接的に使用したコスト

例えば、材料費に属する部品を考えてみると、自社のプロダクトに使用されていることが明確なので、「直接材料費」に入ります。一方、同じく材料費に属する軍手や様々な用途に使っているネジを考えてみると、製品を製造するために直接使用されているわけでないため、「間接材料費」にあたります。

以上の分類をまとめると、企業のコストは計6つに分類できます。

・直接材料費 ・直接労務費 ・直接経費
・間接材料費 ・間接労務費 ・間接経費

それぞれのコストには異なる特徴があり、それに伴い削減の難易度も異なります。それぞれの特徴を把握した上で、優先順位をつけながらコスト削減に取り組むことがカギとなります。

     

コスト削減は企業の利益に直結する

一般的に企業がコスト削減に取り組むことで得られる効果は3つあります。

1)企業の利益に直結する

企業にとっての利益とは、売上と企業活動に必要となったコストとの差分です。つまり、利益をあげるには、「売上を上げる」か「コストを下げる」の二択しかありません。

そのうち、売上を上げるには原価や販管費を中心として、大きな費用が必要となることが多いです。一方、コストを下げる際、必要となる費用が相対的に小さく、真水の利益を創出できます。

たとえば、利益率5%の企業において、1000万円のコストを削減することは、売り上げを2億円上げることと同等のインパクトを企業の利益に及ぼします。

アメーバ経営でも有名な京セラの創業者である稲盛和夫氏も、売上と同様にコスト削減を重要視しています。

経営とは非常にシンプルなもので、その基本はいかにして売上を大きくし、いかにして使う経費を小さくするかということに尽きます。利益とはその差であって、結果として出てくるものにすぎません。したがって私たちはいつも売上をより大きくすること、経費をより小さくすることを考えていればよいのです。

出所:稲盛 和夫 OFFICIAL SITE

     

2)不況などの外部要因に強くなる

リーマンショックやコロナショックに代表される経済不況が起きたとき、もっとも必要なものの1つはキャッシュです。経済不況になった時点で、どのくらいの資金的余裕が会社にあるのかが、事業を継続するカギを握っています。

しかし、手元にキャッシュがあるかは企業のビジネスモデルや利益率、事業規模など様々な要素によって決まります。このような状況の中で、同じ業種と差別化できるのが、コスト削減です。

常にコストが最適になっているとき、利益もその分生み出されます。これによって、手元のキャッシュがある状態が生まれやすくなります。コスト削減を行っていると、企業だけでは操ることのできない、外部要因にも太刀打ちできる「筋肉質な経営」が可能となります。

    

3)イノベーションが生まれやすい

コスト削減によって生み出された余剰資金は、新規投資に使うことができます。これにより、社内で新規事業プロジェクトを立ち上げるなど、より多くの投資を行うことも可能になるでしょう。

例えば、ITコストとして大部分を占めているシステム維持・運用費を削減できた場合、その分を原資として需要が高まっているIT投資を行うことができます。これによって、新技術の創造やビジネスの創出を促進することができます。

    

コスト削減を効果的に進めるための4つの基本ステップ

闇雲にコスト削減施策を行っても、最適なコスト削減策を打つことは難しいでしょう。一時的にコスト削減ができたとしても、一定期間経つとリバウンドしてしまうケースも多いのが現実です。

今回は、持続可能なコスト削減が実現できる、正しいアプローチを4つのステップに分けて紹介していきます。

   

ステップ1:支出を可視化する

コスト削減に取り組む際にまず行うべきことが、コストの「見える化」です。

コストを様々な軸に沿って整理していくことで、どこに・どのくらいの削減余地があるのかを可視化していきます。

一般的に、見える化するときにおすすめできる方法は、「何を」「どこから」「誰のために」調達しているのかを把握することです。

企業内のコストの種類やサプライヤー、支出元の部署を特定することで、それぞれの内訳や、どこにムダなコストが発生しているかを特定することができます。

ステップ2:目標設定

自社のコストの内訳がわかったら、次はコスト削減を行うにあたって「目標設定」をします。

目標を設定し、達成までの過程を進捗管理することで、目標に対する現状をモニタリングできるようになります。これにより、目標に対する進捗度合いに応じたコスト削減施策を行うことが可能になります。

目標を設定する際はまず、費目別に「取り組みやすさ」と「削減余地」を試算し、総合的に判断していきます。その上で、「取り組みやすくかつ削減余地が大きいもの」から優先的にリストアップします。

この結果から、リストアップされた費目から削減することで得られる削減額を目標としておくことができます。結果的に、自社のリソース内で最大限のインパクトが出せる目標を設定することができるでしょう。

    

ステップ3:施策実行

取り組むべき費目と削減目標が決まった後は、施策を実行していきます。

コスト削減策は、大きく分けて「サプライヤーマネジメント」「ユーザーマネジメント」の2つに分類することができます。

サプライヤーマネジメントとは、取引企業に働きかけて、契約状況を見直す方法です。具体的には、価格交渉などがあたります。

ユーザーマネジメントとは、社内に働きかけて、コストの使いすぎを是正する方法です。具体的には、自社のコストの支出状況の無駄を排除することや分散している発注を是正することなどが当たります。

より詳しい施策の実行方法については、以下を参照してください。

ステップ4:モニタリングと評価

コスト削減施策を実行するだけでは、削減効果が出ているかがわかりません。削減策を始めたら、定期的にコスト状況をモニタリングし、進捗状況を確認しましょう。これにより、もし問題が起きた場合などに対処できる上、リバウンドを防ぐことができます。

また、コスト削減効果に対して、きちんと社内で評価するシステムを作ることも重要です。コスト削減のプロジェクトに対して、社内には評価基準のイメージがついていない人もいます。そのため、コスト削減担当者に評価基準を伝え、目標が達成した場合はきちんと、評価・表彰することによって、会社全体でのコストに対する向き合い方も変わります。

これによって持続的にコストが最適な状態を作り出すことができるでしょう。

    

コスト削減は間接費から取り組むのがおすすめ

コスト削減では、それぞれ優先順位をつけてコスト削減を行うことが必要です。しかし、どの費目から取り組むべきかわからない企業も多いのが現状です。

そこで、今回最初に取り組みやすいコストの1つとして間接費を紹介します。主に間接費がコスト削減に適している理由をみていきましょう。

   

①間接費はコスト総額が比較的大きい

間接費は、細かい費用の集合体であり、1つ1つをみていくと小さなコストです。具体的には、交通費や複合機、振込手数料などが該当します。

これらは一見コストとしては小さいですが、多くの企業では、売上の1-2割を占めています。(注:内訳は業界・業種や企業規模などにより異なる)

1費目当たりの金額が小さいからこそ盲点となっている間接費削減に取り組んでみてはいかがでしょうか?

    

②:間接費は未着手な場合が多い

様々なコストの中で、原価や人件費に関しては、BPR・RPAによる業務効率化といったコスト削減プロジェクトが走る場合が多いです。

一方で間接費を専門としているプロジェクトは、あまり社内に存在しないことが多いです。

実際、間接費の削減は地味だと思われていることが多く、現場社員・経営陣共々重要性を分かっていないケースがみられます。

また、間接費削減に特化したプロジェクトリーダーや専門家がいないことも社内で未着手である要因としてあります。たとえ、間接費削減に取り掛かろうとしても、アイデアベースの打ち手が多くなり、工数や利益に対するインパクトも明確にならず取り組むことが難しいことが多いです。

現在未着手な間接費だからこそ、まずは着手してみてはいかがでしょうか?

    

③:コスト削減による売上へのマイナス影響が小さい

間接費の削減は、原価や人件費の削減に比べて取り組んだ際の売上への悪影響が小さいです。

原価削減は、基本的に「製品の質を下げること」か「生産量を減らす」の2択に陥ることが多いです。これら2つの削減策は売上に悪影響を及ぼす可能性が高く、慎重に行わなければいけません。

また、人件費削減についても同様です。人件費削減は大幅な削減を行うと、法律の規制に抵触することもあるコストの1つです。また、従業員へ直接影響するため、どのようなリスクがあるのかが未知であることが多いです。

以上の費用に比べて、間接費は直接費のように製品に直結することはありません。そのため、売上にも直接の影響が少ないです。また、コスト削減を行う際ほとんどの工程が社内で完結します。

詳しくはこちらの記事を参照してください。

    

コスト削減の効率的な始め方がわからない方は、Leanerへ

コスト削減の考え方から具体的な進め方まで、おわかりいただけたでしょうか?

コスト削減は専門性があり、まだ手を出しづらい分野でもあります。しかし、正しいアプローチでステップを踏んでいけば、必ず成果が出るものでもあります。

コスト削減を手助けするLeanerでは、コスト削減の工数が多い部分をソフトウェアを通じて解決しています。より効率的にコスト削減インパクトを出したい、という方は是非導入を検討してみてはいかがでしょうか?