物流管理の最新アイデアを紹介|物流のコスト削減とサプライチェーンの効率アップを徹底解説

Withコロナ時代、ヒトの移動が減少する中で、モノの移動はむしろ増えています。

そんな中で、物流費の削減に注目が集まっています。企業が製品を作って顧客まで届ける過程にはまだまだ無駄が多く、効率化を図ることが必要不可欠です。

物流コストを削減することは工場や倉庫などの生産・輸送拠点を持つ企業にとって、喫緊の課題です。特に輸送費の高止まりは、正しい理解に基づいて対処することが重要になります。

本記事では、物流費用のコスト削減アイデアや取り組むべき費用項目を解説し、企業のコスト削減とサスティナビリティ向上のロードマップをお伝えします。

TEXT BY Leaner Magazine編集部

物流コストの特徴

財務管理責任者を悩ますテーマの1つが物流コストです。物流コストは主に「輸送費」と「保管費」で構成され、物流管理システム費などに代表されるランニングコストも含みます。そのため、コスト削減を行う上では構成される個々の費用を理解することが重要となります。

   

1.物流コストの価格構造

物流コストの中心を占めるのが輸送費です。基本的に輸送費は以下のような計算で求めることができます。

輸送費 = 輸送単価 × 輸送料

輸送単価はサイズ、重さ、荷物の種類(書類、生鮮食品、危険物など)によって決定されます。一方で輸送料は、「陸、海、空のどの交通手段を選択するか」そして「利用するトラックやコンテナ船の種類がどういったものか」などによって決定されます。

次にポイントとなる費用が保管費です。保管費は以下のように計算することができます。

保管費 = 倉庫単価 × 保管期間(期) +入出庫料

倉庫単価とは利用する倉庫の種類と占有するスペースなどによって決まります。また保管期間とは保管日数ではなく、保管していた「期の数」を指します。

期とは、一般的に1ヶ月を「月初」「10日」「20日」で3等分したものです。荷物を倉庫に1月1日~1月17日まで預けた場合、「月初~10日」と「10日~20日」の2期の間、倉庫に預けたことになり、2期分の倉庫単価を支払うことになります。

入出庫料はピッキング作業等にかかるコストを指しており、搬入するトラックのサイズと荷物のサイズなどによって決まります。   

   

2.物流コストの現状

物流コストは、ヤマト運輸による運賃の値上げが発表された「ヤマトショック」(2017年)以降、輸送費が高騰したことで、高止まりしています。日本ロジスティクスシステム協会の2019年の調査によれば、物流コストが企業の売上高に占める比率は4.91%(全業種平均)であり、統計を取り始めてから過去3番目に高い水準にあります。

物流コスト高騰化の要因として、物流業界全体で、高齢化によるドライバーの減少や慢性的な燃料費の増加といった問題が起きていることが挙げられます。ドライバーの減少や燃料費増は構造的な問題ゆえに、今後もその影響はしばらく続くでしょう。

   

物流費を削減する具体的な3つの方法

物流コストの削減は、以下の3つが有効打となり得ます。 削減策を実行する際には、生産過程全体への負荷を考慮しながら実行する必要があります。

  (1)単価を下げるために価格交渉をする

  (2)輸送・保管作業を効率化する

  (3)輸送拠点を集約する

それぞれのメソッドについて解説します。   

   

【削減策1】単価を下げるために価格交渉をする 

物流コスト削減の最初のステップは「単価を下げるための価格交渉」です。単価を見直す方法としては、サプライヤーマネージメントが挙げられます。サプライヤーマネジメントとは、「サプライヤーに働きかけ、契約を見直すことでコストを適正化する」アプローチを指します。

詳しくは、こちらの記事を参照してください。

物流コストを構成するそれぞれの費用を下げる際、作業工程を細かく見直しながら単価の妥当性を検討しなければならないケースもあります。しかし多くの場合、コストのベンチマーク比較を行い、価格交渉に移ることで単価の値下げを達成できます。 

単価の引き下げは以下の2段階で実行します。

  

ステップ1: BSMツールを活用してコスト比較を行う

LeanerのようなBSM(Business Spend Management)ツールでは、主に「輸送単価」「輸送料」「倉庫単価」の3つにアプローチします。

  • 輸送単価:荷物のサイズ別・種別の単価、梱包に用いられる資材コスト等についてそれぞれの単価を比較します。
  • 輸送料:輸送トラックのチャーター、路線輸送、海上コンテナ、航空便など様々な輸送オプションをコスト面から精査します。
  • 倉庫単価:各倉庫の単価を占有面積あたりのコスト、倉庫の種別コスト等に細分化して比較検討します。

その他、状況に応じて検討可能な費用を精査することが可能です。

BSMツールについて、詳しくはこちらの記事を参照してください。

   

ステップ2 : サプライヤーと交渉を行う

コスト比較が完了し、改善余地が見込まれる費用を特定できたら、サプライヤーと価格交渉します。その際、例えば輸送単価を引き下げるためには、以下のような情報を開示することが必要です。

  • 発注量
  • 発注金額
  • 仕様(出発地・目的、サイズ、重さ、内容物など)

  

   

【削減案2】輸送・保管作業を効率化する

輸送・保管作業を「輸送」「保管」「ピッキング」の3つのプロセスに分解し、それぞれのプロセスで効率をどれくらいアップできるのか検討します。

まず輸送プロセスでは、荷物の積載率、回転率、実車率の3つをKPIに置き業務改善が図られます。ちなみに、実車率は、タクシー業界で使われている言葉で、総走行距離に対して実際に車両が人や荷物を積んで走行した距離を指しています。 

例えば、車が最初に人や荷物を積んで目的地まで走行し、帰りは空車でもとの場所まで走行した際には、実車率は50%として計算されます。業界ごとに実車率の基準は異なりますが、一般的に実車率51%以下は、効率が悪いものとみなされます。

次に保管過程では、倉庫設備内において保管効率を向上のために積み方や、商品の質を損なわないための保管環境を見直すことになります。

そして倉庫作業過程では、レイアウト変更、ピッキング方法の変更、情報システムの再構築による作業効率の向上を目指していくことになります。

   

【削減案3】輸送拠点を集約する

より抜本的な削減案としては、「全国の輸送拠点を削減する取り組み」が挙げられます。

例えば、全国10か所に分散されている輸送拠点を4拠点に集約することでコスト削減を図れます。拠点を削減する際には「受注後、一両日中に荷物配送を完了できるレベルを維持する」などの基準が設けられます。

これによって拠点の人件費や設備費など、多くのコストを削減できます。また拠点ごとの在庫が整理されることで、在庫リスクを減らすことにも繋がります。

但し、拠点数が減少することで必然的に輸送距離が伸びます。したがって、拠点集約を行った分だけ、輸送距離の増加に伴い運賃が上がることとなります。

そのため、メリットとデメリットを比較した上でコスト削減インパクトのある施策と判断した場合に、実行に移すことが望ましいです。

   

物流サービスの主なサプライヤー7選

   

国際物流企業

Fedex

アメリカに本拠を構える世界最大手の物流企業です。

特に重量貨物などの取り扱いに定評があります。

DHL

ドイツの国際物流企業です。

国内外の運送サービスを複数社体制で提供しています。

UPS

世界有数の小口貨物輸送企業です。

元々はメッセンジャーサービスを提供する企業であり、小口貨物輸送を含め多くのサービスを提供しています。

これら3社はグローバルの輸送大手として君臨しています。事業が成長し、国際物流を利用する必要が生じた場合、これらサプライヤーとの価格交渉を行うことも必要になると考えられます。

しかし、個々の企業の調達規模では、十分なバイイングパワー価格交渉力)を持ちながら交渉できる可能性が低いこともあります。その際には、以下で紹介する海外物流サービスを活用することで、効率的に配送単価を低減できる可能性があります。

   

国際物流の新興企業

ノーパット

ノーパットは、小ロットでの海外輸送や物流事業を幅広く手がける企業です。国際物流大手と代理店契約を結んでいるため、発送自体はグローバル大手の運送企業が担いますが、それでも定価比では30-40%程安く押さられることもあります。

その理由はノーパットのビジネスモデルにあります。例えばロットの小さい荷物の場合、グローバル大手のサービスを利用するにはコストパフォーマンスが釣り合わないことが多いです。

ノーパッドではそれら単価が低い荷物を集約し、バイイングパワーがある状態で国際物流システムに載せてくれます。加えてノーパットでは貿易関連の保険手続きや書類作成も行ってくれるため、国際物流管理業務を一部委託することも可能です。

   

国内大手の物流企業

日本通運

日本国内で業界最大手の物流企業です。近年は海外企業のM&Aを通じて、事業規模の国際化に力を入れています。

ヤマト運輸

日本有数の物流企業です。特に宅急便事業において高いシェア率を誇っています。

日本通運とヤマト運輸は日本を代表する運送会社であり、陸、海、空の運送業務それぞれで豊富なポートフォリオと高い技術力を有しています。しかし、冒頭でも紹介したようにドライバーの高齢化および減少傾向に直面しています。少子高齢化が今後加速することを鑑みた際、物流コストの高止まりは継続すると考えられます。

一方、新しい技術として注目されているのが特定運送区間での自動運転化です。国土交通省主導で、自動運転技術を用いたトラック隊列走行に取り組んでいます。このトラック隊列走行では、先頭車両のみを有人運転し、後続車両は無人運転技術によって動きます。

既に新東名高速道路での公道実証が進んでおり、早ければ2022年での商業化が予定されています。現在の法制度では後続車両にも有人状態である必要がありますが、ドライバーの負担軽減、そして将来的な完全無人化が期待されます。

   

スタートアップ企業の取り組み:ラクスルの「ハコベル」

ハコベル

自動走行トラックの登場を待たずして、物流業界の構造的問題に切り込もうとしているのが、日系ベンチャーのラクスルです。ラクスルは、ハコベルという物流シェアリングプラットフォームを提供しています。

専業ドライバーが個々の企業に属しているゆえに、企業ごとの案件しか処理できず、積載率や回転率、実車率は頭打ちになっています。ハコベルは、IT技術を駆使することで実車率の著しい向上を目指していると言えます。

   

終わりに

Withコロナ時代でヒトの移動が減少した分、モノの移動は増加傾向にあり、物流管理は一層の重要性を帯びています。

Leanerでは相見積もりを提供することによって、単価低減の推進をサポートすることが可能です。加えて、クラウドに集約された支出データに基づいて、サプライチェーンの効率改善に向けた施策を検討することも可能です。

これを機会に、読者の皆様が自社における物流管理のヒントを見つけて頂けたら幸いです。