法人ガソリン代のムダを減らす経費削減方法とは。経費としての特徴から削減アイデアまで徹底解説

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従業員が社用車を利用していたり、車両での輸送コストが大きい企業にとって、定常的に発生する「ガソリン代」。個人の家計においても、節約となるとよく槍玉に挙がる費用の1つですが、法人にとってもできるだけ抑えたい支出と言えるでしょう。

ガソリン代は、ポイントをおさえ、価格交渉を適切に行うことによって、コストを減らすことが可能です。

本記事では、ガソリン代の特徴や、具体的な削減方法などについて解説します。

TEXT BY Leaner Magazine編集部

法人ガソリン代とは?ー支出の特徴

経費としての特徴

ガソリン代は、ビジネス上なんらかの理由で従業員が車両を使用する場合、必ず生じる経費の1つです。

会計上、決まった科目に振り分けるルールが存在しないため、企業によって「車両費」「旅費交通費」「消耗品費」といった勘定科目に仕訳けられます。

支払い・精算の方法としては、給油の都度従業員が支払い・経費精算を行うケースや、「法人ガソリンカード」を契約・発行し、従業員に貸与しているケースもみられます。

特に一定規模以上の企業であれば、経費管理の効率化・割引の獲得を目指し、法人ガソリンカードを発行していることが多いでしょう。

 

ガソリン代市場の動向

そもそも石油業界は、原油価格の高騰・販売量の減少によって国内需要が大幅に縮小しており、給油所数は1994年のピークと比べ半分以下にまで減少しています。

この影響を受け、業界大手5社は直近5年で3社まで統廃合。急速に再編が進んでいる業界で、競争環境は厳しいと言えるでしょう。

また、石油販売事業は元々の利益率が低く、現行の価格から大きな値下げを行うことは、現実的に難しいと言えます。

したがって、その他の車両関連費用と比較すると、割引の獲得による「大幅な経費削減」を実現することは、簡単ではないかもしれません。しかし、ガソリン代が定常的に発生する費用である以上、適切な割引を獲得しムダな支出を抑えることは、中長期的に大きなインパクトを生むでしょう。

 

ガソリン代の価格構造

1回の給油あたりのガソリン代価格は、以下の計算式によって決定されます。

(1Lあたりの定価-割引額)×給油量

 

このうち定価は、その時点での原油価格、また提供される地域によって変動します。都道府県別に見ても、1リットルあたり数円〜十数円程度の価格差があります。ただし、これらを利用者側でコントロールすることは現実的でないでしょう。

給油量は、従業員の移動距離によって増減するため、それが事業上必要な移動なのであれば、減らすことは難しいと言えます。(不正な利用がないかモニタリングするなど、最低限のユーザーマネジメントは実施する必要があります)

よって、経費削減に着手する際に取り組むべきテーマは「割引額をいかに獲得するか」が、大部分を占めることになります。

より安価なサプライヤーを探索し割引契約を結ぶことが、最も簡単で効果的な削減アイデアと言えるでしょう。

 

法人ガソリン代の経費削減方法

前章で述べた通り、法人ガソリン代の基本的な経費削減方法は、割引契約の獲得をめざすサプライヤーマネジメントになります。

サプライヤーマネジメントとは、「サプライヤーに働きかけ、契約を見直すことでコストを適正化する」アプローチを指します。

複数のサプライヤーに対して相見積もりをとったり、価格交渉を行うことによって、より安価な契約条件の獲得を目指します。価格交渉の際には、支店・部署ごとに契約を行うのではなく、本社一括で契約を結ぶ条件で購買力(バイイングパワー)を高める交渉も有効です。

「社内に働きかけて支出を最適化し、使いすぎを是正する」アプローチであるユーザーマネジメントと異なり、従業員の協力を要さず、かつ短期間で成果を出すことができる点が特徴と言えるでしょう。

ガソリン代のサプライヤーマネジメントは、主に「石油元売業者」「GSカード代理販売業者」「協同組合」の3種の事業者に対して、相見積もり・価格交渉を行う必要があります。

 

石油元売業者

石油元売業者とは、一般的に原油および石油製品の輸入・精製・販売を行う業者のことを指します。自ら製油所を所有する精製・元売兼業会社(ENEOSホールディングスなど)や、これらを持たない元売専業会社(キグナス石油など)を一括りにした総称で、それぞれ全国・地方にガソリンスタンドを展開しています。

これらの事業者の多くは、クレジットカード会社と提携し「法人ガソリンカード」を提供しています。「法人ガソリンカード」を利用することで、契約価格での給油が可能になります。

カードの種類によって、すべての油種で利用できるものや、軽油のみで利用できるものなどがあり、利用形態に応じて自由に選択できます。カード契約時に割引を獲得できれば、一般的な店頭価格よりも安価に給油できるのが魅力です。

 

GSカード販売代理業者

GSカード販売代理業者とは、法人ガソリンカード提供会社と販売代理契約を締結することで、サービス提供を行う事業者のことです。独自の提供価格や管理システムを提供することで、付加価値を提供しています。

中小企業など、バイイングパワーがあまりない企業にとっては、こうした事業者を通すことで、直接石油元売業者と契約を結ぶより安価な条件を獲得できる可能性があるでしょう。

 

協同組合

法人ガソリン提供会社と販売代理契約を結んでいる団体として、協同組合も挙げられます。省庁の認可を取得した協同組合が、加盟企業を代表して共同購買を行うことで、スケールメリットを生かし、安価な契約価格でのサービス提供を可能にするしくみです。

多くの協同組合で、資本金や従業員数などの加入条件があるため、主に中小企業向けに利用されるケースが多い選択肢と言えるでしょう。

 

サプライヤーマネジメントによる法人ガソリン代削減の5ステップ

法人ガソリン代を、サプライヤーマネジメントで削減するための5つのステップを紹介します。

Step1:情報を取りまとめる

まず、自社の支出状況を整理し、把握していきます。

車両ごとに以下の利用情報を集計していきましょう。

  • 給油種別
  • 給油地域
  • 給油額
  • 給油単価
  • 給油量

また、これらを全車両で合計することで、会社全体としての支出状況をまとめておきましょう。

 

 

Step2:情報を元に、各事業者に相見積もりをとる

情報を整理できたら、複数の事業者に対して相見積もりを取得しましょう。

この際、石油元売業者とGSカード販売代理業者、協同組合と、それぞれに対して問い合わせを行うとよいでしょう。特に法人ガソリン代は、どの程度バイイングパワーがあるか、どの地域での給油が多いかといった条件によって、適切なサプライヤーが異なってきます。

また、割引条件だけでなく、当該地域で十分な給油所が営業されているかなど、使いやすさの点も併せて確認するとよりよいです。

価格交渉は、1社あたり2〜3回程度、他事業者への切り替えを示唆しつつ行うことが効果的です。各事業者に対して、同条件で抜け漏れなく見積もりをとることで、より良い契約価格を引き出しましょう。

参考:https://mag.leaner.jp/posts/819/

 

Step3:最安価格を用いて、削減余地をシミュレーションする

次に、取得した見積もりの中で、最も安価な単価条件を用いて、削減余地をシミュレーションしましょう。

これは、社内の合意形成をとるために重要なプロセスです。削減余地は、以下の計算式によって算出することができます。

{(定価-現行割引額)×給油量} – {(定価-最も安い割引額)×給油量}

上記を計算することで、どれくらいの経費削減インパクトを見込むことができるのか、周囲に具体的な論拠を持って説明できるようになります。特にサプライヤーを切り替える場合には、従来の法人ガソリンカードを回収したり、新たなカードを配布したりと、現場従業員の協力を仰ぐことになるでしょう。

そのような場合、削減によって得られる成果の見込みを量的に伝えることで、現場従業員の理解を得やすくなります。経営層に施策の有効性を説明する際にも、ぜひシミュレーションを活用しましょう。

 

Step4:サプライヤーと契約する

社内の理解が得られたら、実際にサプライヤーと契約を結びましょう。

事業者によって、手続きのプロセスや用意すべき書類は異なります。詳細は、各社のホームページを確認しましょう。

 

Step5:定期的にモニタリングを行う

切り替え後も、定期的にサプライヤー情報をとりまとめ、契約条件を見直していきましょう。

特に、石油業界は競争環境が厳しく、業界再編の動きが起こりやすい業界です。マーケットの変化や情勢によって、業界の割引水準が変化することもあり得ます。数年に一度、相見積もりの取得を行うことで、最安条件を維持するよう、努めていくとよいでしょう。

また、移動距離に対して過剰な給油や、不正利用が行われていないか、モニタリングするしくみを検討しましょう。法人ガソリンカードの多くで、車両ごとに経費の利用状況が把握できるようになっています。これらを活用することで、異常に対してスピーディに気づくことができ、迅速な抑制アクションをとることが可能です。

さらに、車両管理の一環で出発地や目的地、走行距離などを記録している際には、給油の明細データと照合することで、より細かなモニタリングが可能になるでしょう。

 

法人向けガソリンを提供する具体的なサプライヤーを紹介

法人向けガソリンを提供するサプライヤーは、「石油元売業者」「GSカード代理販売業者」「協同組合」の3種が存在します。

石油元売業者

提供会社:ENEOS株式会社
入会金・年会費:無料
特徴:国内最大・全国約13,300カ所にサービスステーションで利用可能

「ENEOS FC」は、ENEOS株式会社が提供する、法人向けカードです。

入会金・年会費無料で、油種を問わず、全国のENEOSどこでも契約価格で利用することができます。洗車・FC指定オイルの支払いも可能です。

また、ENEOSは、国内最大・全国約13,300カ所にサービスステーションを展開しており、利便性の観点でも、まず検討したい法人カードの1つです。

 

提供会社:出光クレジット株式会社
入会金・年会費:年会費は無料
特徴:条件によって複数のカードプランあり。ETCカードの同時発行可能、盗難・紛失補償も充実

「出光法人専用カード」は、出光クレジット株式会社が提供する、給油や整備を精算・一括管理できる法人向けカードです。

複数のプランから選べるため、利用シーンに応じて最適なカード契約を結ぶことが可能です。利用シーンを限定し、ガバナンスを強化したい企業には適していると言えるでしょう。

 

提供会社:コスモ石油マーケティング株式会社
入会金・年会費:なし(ハウスカードの場合)
特徴:JCBカードと併せて申し込み可能で、その場合お得なポイントがたまる

「コスモコーポレートカード」は、コスモ石油マーケティング株式会社が提供する法人向けカードです。

全国約3,000のサービスステーションで利用でき、給油はもちろん、洗車・オイル交換・タイヤ交換・車検まで、ありとあらゆる使途で利用可能なカードです。

また、JCBと併せて申し込みすることで、ポイントがたまる点も特徴と言えるでしょう。

 

GSカード販売代理業者

提供会社:株式会社イチネン
入会金・年会費:カード会社によって異なる
特徴:イチネン独自の全国統一価格で利用可能。独自の管理システムで経費管理も実現

株式会社イチネンは、自動車リースを基幹事業とし、複数の事業を展開する企業です。

主にENEOSの給油カードを取り扱い、全国のサービスステーションで利用可能な「FCカード」「ビジネスカード」を販売しています。

最大の特徴は、独自の全国統一価格で契約できる点・独自の管理システムを提供している点で、付加価値をつけたサービス提供を売りにしています。

特にバイイングパワーが乏しい中小企業などは、一度問い合わせをしてみるとよいでしょう。

 

協同組合

協同組合は、それぞれの組合ごとに、複数の法人カードの中からより適したものを申し込みできるようになっています。

どの法人カードを選択するかによって条件が異なるため、本記事では代表的な組合のホームページを紹介します。

加入条件についても、業種ごとに異なるケースがありますので、詳細はホームページにて確認ください。

 

最後に

法人ガソリン代について、経費の特徴や市場の動向、削減ノウハウや具体的なサプライヤーに至るまで、幅広くご紹介してきました。

法人ガソリン代は、相見積もり・価格交渉によって、スピーディに削減できる可能性がある経費です。本記事を参考に、ぜひ経費削減に取り組んでみてはいかがでしょうか。