経費削減による期待効果をシミュレーション。かさみやすいコストを計画的に抑えるノウハウを解説

経費削減を実際に行うと、施策ごとにどれくらいの効果が得られるか、イメージできますか?

「経費削減をしなければ…」と思っていても、実際に削減されるイメージが伴わなければ、実行に移しづらいのではないでしょうか。

本記事では、ある架空の企業の財務データを用いて、実際に経費削減の施策を実行し、施策ごとの効果の見積もりを紹介します。

TEXT BY Leaner Magazine編集部

経費削減に取り組む前に、コストの可視化をしよう

経費削減を実施する際、まず大切なことはコストの可視化をすることです。コストの可視化をすることで、どこに削減余地があるかが見つけやすくなります。

コストの可視化をするために、以下のような財務状況で、従業員数1,500人程度の架空のBtoBメーカー企業を想定します。下の表には、コストの中でも削減しやすい「販売費及び一般管理費」、いわゆる販管費のうち、主要な科目と金額を記しています。

販管費の経費削減がしやすい理由はこちら

これらの費目は「勘定科目」ごとに分けられており、詳しい内訳はぱっと見ではわかりません。

たとえば、「支払手数料」という勘定科目のなかには、「銀行振込手数料」「外国送金手数料」「証券代行手数料」「クレジットカード手数料」といった費目が一緒くたに含まれています。ほかにも、「保守費」と一言で書かれていても、そのなかにはエレベーターの保守費用や建物の修繕費用、PC機器の保守点検費用なども含まれています。

このように「勘定科目」を見るだけでは、具体的にどの部分にコストがかかっているのか分かりづらく、削減アプローチを検討しづらいのです。

そこでコストの可視化の際に、より細分化された「費目」にまで要素分解することで、それぞれに合わせた削減アプローチを講じやすくなるでしょう。

先ほどの表にあった勘定科目のうち、いくつかを細分化したもののうち、額が大きいものを並べたのが以下の表です。以後はこの表を用いて経費削減を考えていきます。

費目ごとの経費削減方法と削減余地を紹介

上の表で紹介した主な費目について、削減方法と削減余地を紹介します。

  

外注費用の削減

外注費削減の方針は大きく分けて2つあります。「業務を内製化すること」と「外注先との価格交渉」です。

業務を内製化することによる削減余地を考えます。現状外注していた業務のうち10%の業務を内製化できたとして、そのコストが15%削減出来たとします。

その削減額は、4,373(百万円)×10%×15%=65.6(百万円) となります。

また価格交渉による削減余地は、元々の業務の5%の業務量について、価格交渉で元の5%のコストが削減できたとします。

その削減額は、4,373(百万円)×5%×5%=10.9(百万円) となります。

外注費の削減余地金額はおよそ76.5(百万円)と計算されます。

 

支払い手数料の削減

支払い手数料の削減は、「銀行振込手数料」「外国送金手数料」ともに、金融機関との価格交渉をすると良いでしょう。

たとえば、支払い手数料の元の金額のうち5%のコストを交渉の対象とし、現行価格から5%の割引を獲得できたとします。

このときの削減額は、3,581(百万円)×5%×5%=8.9(百万円)となります。

 

家賃の削減

家賃の削減方法は、借用面積の見直し、移転・解約、価格交渉の3つに大きく分けられます。

賃料削減についての詳しい情報はこちらの記事をご覧ください。

リモートワーク等の導入により、必要なオフィスの席数が3.5割減少したとします。共用スペース等を考慮して、元々の借用面積の30%を手放すことにしたとします。30%の面積減少により、元の賃料の25%が削減されたとすると、

このときの削減額は、789(百万円)×25%=197.3(百万円)となります。

 

エレベーター保守費用の削減

エレベーター保守費用の削減方法は、契約を自社の形態に合わせて見直すことです。

エレベーター保守の契約の種類などの詳細はこちらの記事をご覧ください。

たとえば、自社のエレベーターが新しく、修理のための部品交換等が当分必要ないと判断される場合に、修理費用等も予め含まれるフルメンテナンス契約から、それらの費用は都度払いになるPOG契約に変更したとします。この際、月々の支払い金額が15%減少したとすると、削減金額は、83(百万円)×15%=12.5(百万円) となります。

 

施設管理費の削減

施設管理費の削減の基本は、「原価積算・価格交渉」です。保守費用の内訳を「部品代+人件費+経費・管理費」といったように分解し、それぞれの費用が適切か判断します。原価積算について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

または保守・点検の頻度が適切かどうか見直すことも重要です。たとえば点検費用について、1か月に一回の点検の契約であった場合、2か月に一回の契約にできないか、見直してみましょう。仮に、施設管理費のうちの10%の費用を対象として年間額の15%の点検費用を削減できたとします。削減金額は、70(百万円)×10%×15%=1.1(百万円)となります。

 

携帯電話料金の削減

携帯電話料金の削減は、契約の見直しや、廉価品への切り替えなどによって実現可能です。他にもいくつか削減方法はあります。以下の記事で紹介しているので、是非ご覧ください。

ここでは、全体の携帯電話の50%に当たる台数について、プラン見直し・相見積もりを行うことで、機種料金を削減し、料金の15%を削減出来たとします。この際の削減額は、34(百万円)×50%×15%=2.6(百万円)となります。

 

電気代の削減

電気代の削減は、電気料金比較サービスなどを利用して、最安のサプライヤーに切り替えることによって実現します。また、省エネ機器を使用することで、使用量を抑制することなども考えられるでしょう。電気料金削減の詳細については、以下の記事をご覧ください。

たとえば、省エネ機器を導入したときに「消費電力量」が15%削減されたとします。電気料金のうち、消費電力量に左右される金額が全体の35%とすると、削減金額は、2(百万円)×35%×15%=0.1(百万円)と計算されます。

 

経費削減は費目ごとに削減余地を概算し、進めましょう

上記の経費削減が仮に全て実現できたとすると、削減額は合計で「299(百万円)」となり、実に合計販管費の約1.7%にものぼります。

一部の費目だけでこれだけの削減余地を見込むことができたので、他の費目を含めて見直すことで、更なる経費削減が期待できるでしょう。

紹介した経費削減方法の中には、今日から取り組むことができる難易度の低いものもいくつかあります。是非、本記事の削減例を参考にしながら、経費削減を検討してみてはいかがでしょうか。