2020.12.03
「支出分析」とは?意味やコスト削減に欠かせない理由、ポイントを解説

コストを削減したり、管理を強化する上で、まずはじめに取り組むべきなのが「支出分析」です。
コストを様々な軸ごとに整理して分析することで、問題が明確になり、より良い改善策を考えやすくなります。
しかし、企業が持つ膨大な支出データを1から分析することは非常に難しく、誤った方法で始めると労力が無駄になってしまうこともあります。どのような切り口で分析すべきか、明確に定義してから分析を始めることが必要です。
本記事では、支出分析を行うことによるメリットと、代表的なプロセスをそれぞれお伝えします。
TEXT BY Leaner Magazine編集部
支出分析とは?
支出分析とは、調達に関するデータを収集し、あらゆる切り口で分析をすることです。たとえば、「何を」「どこから」「誰のために」調達しているのか、といった切り口で分析をします。
支出分析をすることにより、自社がかけているコストを正確に把握し、コストの最適化を図ることができます。
支出分析はまず、企業の財務会計データを収集します。一般的にはそれらのデータをエクセルで管理し、あらゆる軸で分析しやすいようにデータを加工します。エクセルでの管理は属人的なものとなりますが、最近ではこれらの過程を任せることができる支出管理ツールも登場しています。
コスト削減に支出分析が欠かせない4つの理由
①網羅的・客観的にコストのむだを特定できる
コスト削減に取り組む際、どのコストから手を付ければよいか、何をもとに判断すればよいのでしょうか。
このような判断基準が分からず、何となくコスト削減に取り組んでしまうと、「社員にとって目につきやすいコストばかりに気を配ってしまう」、という状況が少なくないでしょう。
例えば、比較的目につきやすいコピー費には何度もコスト削減に取り組んでいても、あまり触れられないサーバー費は取り組んでいない、という状況はないでしょうか?これでは、「社員から目につきやすい」といった主観的な要因によりコスト削減の対象を判断しており、最も削減効果の見込めるコストに取り組んでいるかがわかりません。
今までの支出データを分析することで、網羅的にコストの状況を判断することができるため、客観的にコスト削減の優先度を決める際に有効になります。
②社員のコスト削減意識を高めることができる
支出分析をすると、コストが可視化され、常にモニタリングすることができるため、コストを意識しやすくなります。
コスト削減プロジェクトのビフォーアフターを比較しやすくなるため、設定された目標や企業全体で得られたコスト削減効果を、成果として全社員に対して分かりやすく共有できます。これにより、「成果が目に見えづらい」というコスト削減特有の問題を解決でき、成果が見えづらいことによるモチベーション低下を防ぐことができます。
③コストのリバウンドを防ぐことができる
コスト削減は、取り組みをやめると「リバウンド」してしまう場合があります。このような時に、支出状況を適切に把握しておけば、瞬時にリバウンドに気付き、原因を分析することができます。常日頃からコストを把握することが、瞬時にコストを最適化できる秘訣になります。
④サプライヤーの管理がしやすくなる
支出を細かく分析することで、自社が現在どこから調達しているのかが把握できます。これは、サプライヤーを管理するうえでも非常に重要です。
どこから調達しているのかをいつでも確認することができるので、調達で何か問題があったとき、どのサプライヤーとのやり取りに問題があったのかが特定できます。
支出分析に必要な3つのポイント
①「何を」購買しているのか把握する
予算とコスト削減効果を明確にできたら、社内の全費用やまだ見える化できていない費用を、費目単位で集計します。「費目」とは、支出が何に使われていたか、用途ごとに把握するための区分です。
多くの企業は、財務諸表などで用いられる「勘定科目」で支出を把握しています。勘定科目は、会計を処理するための区分として一般的ですが、どんな用途で費用を使ったかまでを特定することはできないため、コスト削減を行う際には適していません。
例えば、勘定科目の1つである「通信費」を考えてみます。この場合、「通信費」とひと口に言っても、インターネット回線もあれば携帯電話料金もあり、それぞれにいくら支払われていて、どれくらいの余地があるのかどうかは、勘定科目では判断できません。
そこで、「通信費」を「固定電話、インターネット回線、携帯電話、サーバー費」のように費目単位に分けて集計することで、どこに無駄があるのかを可視化することができます。
また費目単位で経費削減策を検討することにより、費目ごとの特徴に応じて削減案を実施できるため、効率よく、且つ大きな削減効果を期待できるでしょう。
②「どこから」調達しているのか、把握する
次に、どこから調達しているのか把握しましょう。支払先を特定したのち、確認したいポイントは以下の2点です。
- 同じ費目を、複数の支払い先(サプライヤー)に発注しているケース
- 同じ支払先でも、支払いの時期が分散しているケース
1)の場合、支払先(サプライヤー)を安価なベンダー1つに集約することによって単価を下げ、コスト削減できることが多いです。
また、サプライヤーの製品提供にかかるコストは、大きく固定費と変動費の2つに大別することができます。図の通り、変動費は販売数量に対して比例的に増加する特徴があり、逆に固定費は、販売数量に関わらず一定です。したがって、販売数量が増えるにつれ、1つのサービスあたりにかかる固定費は減っていきます。そのため、1つの支払先における発注数量を増やすことで、支払い単価を下げることができるかもしれません。
また2) の場合、支払い時期をまとめることでコスト削減できる可能性があります。これも一回の発注契約につき発注数量を増やすことができるので、単価を落とすことができます。
このように、支払先を全ての費目に対して特定することで、コスト削減策の手段が幅広くなります。
③「誰のために」調達しているのか、把握する
次に、どの部門・部署が材を調達しているのかを把握しましょう。「誰のために」支出しているのかがわかれば、社内で無駄を抑制したいときに協力を得る必要のある人が、明確にわかるようになります。
また、部門をまたいで同じ費目を、同じ支払先から調達しているケースも見受けられます。このような場合にも、支出を集約することにより、一回あたりの発注数量を増やすことができ、コスト削減が可能となる場合があります。
このように、「誰のために」支出しているのかを「見える化」することで、コスト削減をスムーズに進めることができるようになります。
コスト削減は、支出管理ツールを導入するところからはじめよう
支出分析をし、コストの見える化を行うにあたってオススメしたいのが、「支出管理ツール」です。
支出管理ツールとは、企業の支出をコスト削減で必要なあらゆる軸で整理することができるソフトウェアです。Excelなどを用いた属人的な支出データの管理ではなく、ソフトウェアに任せることによって、効率的に支出分析をすることが可能になります。
まずは、支出管理ツールを試してみてはいかがでしょうか?
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