コスト削減で必要な支出の「見える化」とは?メリットとプロセスを解説

コスト削減に必要な工程で、まずはじめに取り組むべきなのが、コストの「見える化」です。

コストを様々な軸に整理して見える化することで、問題を共有し、改善策を出すことがより容易になります。

しかし、企業が持つ膨大なコストデータを一から見える化することは非常に難しく、誤った方法で始めると労力が無駄になってしまうことも多々あります。コスト削減を間違った方法で始めないためにも、どのような切り口で見える化するべきか、を明確に定義してから始めることが必要です。

本記事では、コスト削減担当者がおさえる必要のあるコストの「見える化」を行うべき理由・メリットと代表的なプロセスをそれぞれお伝えします。

TEXT BY Leaner Magazine編集部

コスト削減に「見える化」が欠かせない理由

網羅的・客観的にコストを見ることができる

どのコストを削減するべきか根拠が薄いままコスト削減に取り掛かると、普段社員にとって目につきやすいコストばかりに気を配ってしまうことが多いかもしれません。

例えば、比較的目につきやすいコピー費には、何度もコスト削減プロジェクトを立ち上げて取り組んでいても、見られることが少ないサーバー費は取り組んでいない、という状況はないでしょうか?これでは、「社員から見える」といった主観的な要因によりコスト削減の対象を判断しており、最も削減効果の見込めるコストに取り組んでいるかがわかりません。

今までのデータを全て見える化することで網羅的にコストの状況を判断することができるため、コスト削減の優先度を決める際に有効になります。

   

社員のコスト削減意識が変わる

コストを見える化すると、常にコストをモニタリングすることができるため、コスト削減プロジェクトのビフォーアフターを比較しやすくなります。

また、設定された目標や、企業全体で得られたコスト削減効果も成果として全社員に対してもわかりやすく共有できます。これにより、コスト削減に対して「努力してもあまり成果が目に見えず、褒められることが少ない」といった問題を解決できます。コスト削減自体が社内でも注目を得る機会も増えるため、コスト削減に対してネガティブなイメージを持っている社員の意識を変えることができ、結果として、コスト削減に全社的に取り組むことができるでしょう。

   

コストのリバウンドを防ぐことができる

コスト削減は、取り組みをやめると「リバウンド」してしまう場合があります。このような時に、支出状況を適切に把握しておけば、瞬時にリバウンドに気付き、原因を分析することができます。常日頃からコストを把握することが、瞬時にコストを最適化できる秘訣になります。

 

コストの「見える化」で必要な4つの手順

①コスト削減で達成したい要件と用いることが可能なリソースを確認する

コストが全て綺麗に「見える化」できたとしても、そのあとのコスト削減アクションに繋がらなければ意味がありません。

そのために、コスト削減で達成したい要件とそのコスト削減プロジェクトで用いることができる費用を精査しましょう。

具体的には、どれくらいの期間で、どのくらいの人員を用いて、どのくらいのコスト削減を行うのかを明確にすることです。コスト削減プロジェクトに必要となる予算(人件費や外注費)とそれに期待するコスト削減効果を明確にしておくことで、プロジェクト自体のROI(費用対効果)が低くなることを防げます。

必要な費用とコスト削減効果、またROIの計算は以下の方法で簡潔に行いましょう。

  

コスト削減効果 = 社内全体コスト × 削減余地割合 × プロジェクト内での着手度合い

プロジェクトに用いる予算 = 人数 × 作業時間 × 賃率 + 外注費

   

②「何を」購買しているのか把握する

予算とコスト削減効果を明確にできたら、社内の全費用やまだ「見える化」できていない費用を、費目単位で集計します。「費目」とは、支出が何に使われていたか、用途ごとに把握するための区分です。

多くの企業は、財務諸表などで用いられる「勘定科目」で支出を把握しています。勘定科目は、会計を処理するための区分として一般的ですが、どんな用途で費用を使ったかまでを特定することはできないため、コスト削減を行う際にはあまり適していません。

例えば、勘定科目の1つである「通信費」を考えてみます。この場合、「通信費」とひと口に言っても、インターネット回線もあれば携帯電話料金もあり、それぞれにいくら支払われていて、どれくらいの余地があるのかどうかは、勘定科目では判断できません。

そこで、「通信費」を「固定電話、インターネット回線、携帯電話、サーバー費」のように費目単位に分けて集計することで、どこに無駄があるのかを可視化することができます。

また費目単位で経費削減策を検討することにより、費目ごとの特徴に応じて削減案を実施できるため、効率よく、且つ大きな削減効果を期待できるでしょう。

   

③「どこから」調達しているのか、把握する

次に、どこから調達しているのか把握しましょう。支払先を特定し、確認したいポイントは以下の2点です。

  1. 同じ費目を、複数の支払い先(サプライヤー)に発注しているケース
  2. 同じ支払先でも、支払いの時期が分散しているケース

1)の場合、支払先(サプライヤー)を安価なベンダー1つに集約することによって単価を下げ、コスト削減できることが多いです。

また、サプライヤーの製品提供にかかるコストは、大きく固定費と変動費の2つに大別することができます。図の通り、変動費は販売数量に対して比例的に増加する特徴があり、逆に固定費は、販売数量に関わらず一定です。したがって、販売数量が増えるにつれ、1つのサービスあたりにかかる固定費は減っていきます。そのため、1つの支払先における発注数量を増やすことで、支払い単価を下げることができるかもしれません。

   

   

また2) の場合、支払い時期をまとめることでコスト削減できる可能性があります。これも一回の発注契約につき発注数量を増やすことができるので、単価を落とすことができます。

このように、支払先を全ての費目に対して特定することで、コスト削減策の手段が幅広くなります。

   

   

④「誰のために」調達しているのか、把握する

次に、どの部門・部署が材を調達しているのかを把握しましょう。「誰のために」支出しているのかがわかれば、社内で無駄を抑制したいときに協力を得る必要のある人が、明確にわかるようになります。

また、部門をまたいで同じ費目を、同じ支払先から調達しているケースも見受けられます。このような場合にも、支出を集約することにより、一回あたりの発注数量を増やすことができ、コスト削減が可能となる場合があります。

このように、「誰のために」支出しているのかを「見える化」することで、コスト削減をスムーズに進めることができるようになります。

   

   

コスト削減はまず、支出管理ツールを導入するところからはじめよう

「見える化」を行うにあたってオススメしたいのが、支出管理ツールを導入することです。

支出管理ツールとは、企業の支出をコスト削減で必要なあらゆる軸で整理することができるソフトウェアです。これによって、Excelなどを用いた属人的な支出データの管理ではなく、ソフトウェアに任せることによって、効率的にコストを「見える化」することが可能です。

まずは、支出管理ツールを試してみてはいかがでしょうか?