2020.06.12

法人向けパソコンにコストをかけすぎていませんか?見逃しがちなコスト削減のポイントを紹介

法人向けパソコンにコストをかけすぎていませんか?見逃しがちなコスト削減のポイントを紹介

皆さんは、PCの費用を抑えようとする際に、どのような方法を取りますか?

PCは、コスト削減の余地がなく、高価格な印象を持っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、機能を厳選した少し安めの製品に変えるなど、コスト削減のために目を付けるべき方法はいくつかあります。

PCのイメージからコスト削減を諦めてしまう前に、見逃している視点はないか確認してみましょう。

本記事が、皆さんのPCのコスト削減の一助となれば幸いです。

TEXT BY Leaner Magazine編集部

パソコンのコストはどのように構成されているのか

企業がPCを調達する際、大きく「購入」「リース契約」「レンタル契約」の3つのパターンがあります。

PC費の大部分を占めるのは、それぞれの契約パターンで以下に示す費用です。

・購入:「購入費用(機器代金)」+「保守費用」

・リース:「月額費用(機器代金)と手数料」+「保守費用」

・レンタル:「月額レンタル料金(機器代金)」

これらPC費の大部分を占める、購入費用などの機器代金と、保守費用を削減する打ち手を紹介します。

購入費用の削減方法

購入費用を削減する打ち手は3つあります。

単価の交渉を行う

まずは、価格交渉から始めましょう。コスト削減の取り組みでは、まずサプライヤーマネジメントの取り組みを行い、その後にユーザーマネジメントを進めることが一般的ですが、価格交渉は、サプライヤーマネジメントの代表的な手法の1つです。

価格交渉の大まかな手順として、まずは現在の契約情報を確認し、同じ条件でいくつかのサプライヤーに相見積もりをとります。可能であれば原価積算や、ベンチマーク比較といった手法を使うことで適正価格を見極め、実際に交渉を行います。

ポイントは、まずはじめに契約形態や契約期間、支払い方法、また、現在使用しているPCの基本情報など、契約情報を細かく把握することです。特に、PCの基本情報には以下のようなものがあるため、これらを確認します。

PCにおける要件の項目例:
・OS:Microsoft WindowsやmacOSなど複数の種類が存在
・プロセッサ周波数の高さ(GHz):高いほど単位時間内により多くの処理が可能
・メモリ(GB)
・ストレージ容量(GB)
・モニターのインチ数 

利用形態を見直す

ユーザーマネジメントの手法で、「利用形態を適切に見直す」ことも効果的です。PCは、利用形態が複数存在することから、これを変更することがコスト削減につながることも少なくありません。PCの利用形態としては、購入・リース・レンタルの3つがあります。

他の利用形態で使用した場合どれくらいのコストがかかりそうかを確認し、形態の変更によるコスト削減の余地を概算します。

購入・リース・レンタルの違いをコストの観点でまとめると、以下のようになります。

購入 リース レンタル
保守費用(点検等) 自社負担 自社負担 レンタル会社持ち
単位期間あたりのコスト 安い 購入とレンタルの間 高い
支払い方法 一括 月額等 月額等
会計扱い 売買処理(オンバランス) 売買処理(オンバランス) 賃貸借処理(オフバランス)

※短期のリース・少額のリースはオフバランス処理が可能です。
(参考:https://www.leasing.or.jp/toppage/docs/20190201top.pdf

短期間の使用ならレンタルで十分かもしれませんし、使用する機器・期間・台数により、どの利用形態が最もコスト削減に繋がるかは変わります。

一度情報を集め、試算してみることで、自社に合った利用形態を選びましょう。

機能を見直す

スペックの見直しには、2つのアプローチがあります。機能数を少なくすることと、それぞれの機能のスペックを下げることです。

PCは、用途に応じて必要となる機能数・スペックが異なります。たとえば、プログラム開発やデザイン業務に当たる社員と、営業社員とでは、求められるPCの機能は全く異なるでしょう。

したがって、まずは現在どれくらいのPC機能を使用しているかを整理し、PCに元々備わっている機能と照らし合わせます。必要な機能を選定しながら、各機能にどのくらいのスペックが必要かを精査します。

この際、気を付けるべきポイントが2つあります。

1つ目は、必要な機能を役職・部門・人で分けて考えることです。前述の例の通り、必ずしも全社員が同じ機能を備えたPCを使う必要はありません。各所が必要とするスペックを別々に検討し、オーバースペックなものは見直しをかけるとよいでしょう。

2つ目のポイントは、MUST(なくては困るもの)とWANT(あれば嬉しいもの)を区別することです。これらを区別することで、本来必要な機能を見極めることができ、製品選定がスムーズになります。また中長期的には、自社社員のPCスキルをあげることによりWANTの機能をカバーできないか、についても見てみると良いでしょう。

保守費用の削減方法

原価積算

購入費用と並んで価格の大部分を占める保守費用は、原価積算を用いて削減します。原価積算とは、サプライヤーが材を提供する際にかかっているコストを項目ごとに積み上げ、適正な価格を概算し比較するアプローチです。

保守費用の内訳は、主に以下の項目から成っています。

保守費用=部品代+人件費+経費・管理費

これら保守費用の内訳をサプライヤー側に開示してもらい、それぞれが適切な価格であるかを試算していきます。

  • 部品代
    かかっているであろう部品の単価を積算資料などを用いて推計し、価格の妥当性を確認

  • 人件費
    要員数や要員単価が適切かどうかを確認

  • 経費・管理費
    上記以外にかかっている、サービス提供にかかわるその他の費用を概算
    また、ベンチマーク比較するなどしてこれらが適切な価格かどうか確認

上記のプロセスを踏んだ上で、価格の高さが気になる費用があれば、サプライヤーに値下げを打診してみると良いでしょう。

また、保守頻度が高すぎないかを確認することも1つの手です。頻繁に保守が行われていると判断される場合には、頻度を減らすことで保守費用の削減を図ることができるかもしれません。

最後に

PC費用は、費用の大部分を占める購入費用などの機器代金と保守費用を見直すことで削減できます。

購入費用は価格交渉や、スペックや利用形態の見直し、保守費用は原価積算するなどの打ち手があります。

自社の状況に合わせて、できることから一つずつ実践していきましょう。