2020.06.08

“Procurement-to-Pay”とは?意味やビジネスとの関係、調達をスムーズにする購買プロセスを徹底解説

“Procurement-to-Pay”とは?意味やビジネスとの関係、調達をスムーズにする購買プロセスを徹底解説

デジタル化、DXを自社でも取り入れようとしている企業の皆さん。購買活動や営業活動だけでなく、調達に関してもデータドリブンな手法で管理できていますか?

海外で話題の調達管理プロセスの1つに、Procurement-to-Payがあります。これは、支払いから調達までのプロセスを全て自動化し、単一のソフトウェアで可視化するものです。

調達行動で生じるエラーや、手作業の業務を減らすにはどうするべきか。

このような課題を解決する手法として、Procurement-to-Payの全貌をお伝えします。

TEXT BY Leaner Magazine編集部

Procurement-to-Payとは何か?

Procurement-to-Pay(以下、P2P)とは、企業で間接材などを調達する際に必要な、サプライヤーの選定からサプライヤーへの支払い行動まで、自動化するプロセスです。

ほとんどの企業では、調達部門・財務部門というように、相見積もりを含む調達を行う部門と、財務管理を行う部門が分かれています。個々の活動を包括的に管理できていないため、無駄なプロセスが発生してしまっている場合も多いです。

P2P関連ソリューションにより、単一のインターフェースで管理することで、プロセスを一元化できます。主に以下の4つのプロセスが統合されます。

  

①見積依頼書・見積提案書の送信

間接材などを調達する際は、サプライヤーとの価格交渉のために、複数の会社に提案依頼書(RFP)や見積依頼書(RFQ)を送ります。P2Pツールは、これらの書類を送信し全ての取引データを管理することで、価格交渉の進捗状況を一目で把握できます。変更があった場合も柔軟に対応ができます。

  

②発注書(PO)の発行

相見積もりが終わると、コンプライアンスの条件とも照らし合わせながら、サプライヤーを横比較して評価します。このプロセスを行い、導入が決定した調達物については、発注書(PO)の発行が必要になってきます。その際によく起こってしまうのが、見積書の金額・配送条件の確認ミスがです。これによって、見積書とは異なる発注書を書いてしまうことがあります。P2Pソリューションは、金額と配送要件を見積書と照らし合わせながら発注書を作成・確認してくれます。これによって、属人的な発注書などの経理作業を自動化できます。

  

③受領書・請求書照合

商品の受け取り情報、サプライヤーからの請求書と発注書の3つを照合します。これによって、ミスなくサービスの調達ができているのかを確認します。

  

④支払いが承認される

支払いが承認された請求書のみが、会計システムに送信されます。これによって支払いが完了します。

  

これらの機能を持った、海外のP2P関連ソリューションの例としては、SAP Ariba Buy and Invoicing などが挙げられます。

  

Procurement-to-Payのメリット

P2Pは、従来の購買行動と調達活動を同じツールにまとめただけ、と思う方もいるかもしれません。しかし、実際海外には導入する企業多く、P2Pのソフトウェアも多く出てきています。P2Pが持つメリットの中でも特に注目すべきものを3つ挙げます。

  

①業務プロセスで発生しやすいミスが減少する

 書類の承認や支払い、サプライヤーの選定などを属人的に行っている会社は日本では多いのが現状です。従来のERPでも、発注書の作成などは手入力、もしくは異なるERP間での互換などが存在し、部分的に属人的になっていることがあります。これによって、様々な問題が出てきます。担当する人によって作業工数にばらつきが出てしまい調達が遅れてしまったり、担当できる人が限られてしまい人材育成の必要が出てくるケースが少なくありません。また、場合によっては手作業によるミスも起こる可能性があり、重複支払いやコスト管理の不備など、企業の財務にも影響が出てきてしまいます。

P2Pは、このような問題を限りなく排除します。

調達プロセスを最初から最後まで一括りにして取り扱うため、ほとんどの手作業や人が携わる業務が減り、ミスを減らします。

  

②サプライヤーとの関係管理のスムーズ化

調達を行う際は、費用を抑えるために、契約条件をその時の最安価格に下げる価格交渉を行うことが大事です。しかしながら、調達費目が多い会社では取引しているサプライヤーが複数いるため、部分的に契約状況が長期間に渡って見直されずに更新されている場合があります。

P2Pでは、契約条件の見直しが必要なサプライヤーを表示してくれることで、戦略的にサプライヤーを管理できます。具体的には、今まで取引していたサプライヤーの契約条件を見直す機会を多くし、価格が安価に済む上、サプライヤー間も常に競争関係が生まれます。

また、契約成立後もスケジュール管理がスムーズになりやすいため、サプライヤーとの関係を良好化することができます。これにより、より確実で円滑なコミュニケーションが可能になるでしょう。

  

③書類作成など調達にかかるコストを削減する

いままで部署ごとに管理方法変えていたり、作成に人員を割いていた会社にとって、契約書類の管理はコストがかかるものです。P2Pは、これらの業務の工数を大幅に減らしてくれるため、今までの属人化していた業務のコストやそもそもの調達コスト自体を最適化することができます。

  

Procurement-to-Payでデータドリブンな調達に挑戦しよう

Procurement-to-Payという海外の企業で取り入れられている最先端の調達を取り上げました。全てのプロセスを管理するということにより、業務の効率も上がり、コストも下がります。

売上を上げるだけではなく、調達を最適化することで、会社の収益向上に貢献してみてはいかがでしょうか?

RECOMMEND

こちらの記事も人気です。