2020.04.23
“顧客に憑依”し、求められるサービスを創り上げる―Leanerプロダクトマネジャーが語る開発へのこだわりと想い
2019年5月にリリースされた、コスト削減のための支出管理プラットフォーム「Leaner」。その開発を担うのは、リクルートジョブズでプロダクトマネジメントに従事した経験を持つ小野亨也です。
小野の役割は、プロダクトの開発から販売までの戦略を立て、実行を統括するPdM(プロダクトマネージャー)。作り手として日々どのようなことを心がけて、開発しているのか。
本記事では、PdMとしてプロダクト開発に懸けるこだわりを聞きました。
TEXT BY Leaner Magazine編集部
最もこだわっているのは「顧客目線」のサービス開発
—小野さんはLeanerのプロダクトマネジャー(以下PdM)として、創業期から事業に携わっていると聞いています。まず、簡単にサービスについて教えてください。
Leanerは、企業の支出管理をサポートするクラウドツールです。具体的には、企業が日々使用している間接コストを自動で解析し、クラウド上で分析。費用別の分類や、調達条件の他社比較、進捗状況のモニタリングといった機能を提供しています。
目指しているのは、「コストが適切に管理され、維持され続ける状態」と「コスト削減の結果が適切に評価される状態」を実現するプロダクトです。Leanerを使うことで、コスト削減担当者の方が活き活きと業務を行えるようになってほしいと思っています。
—PdMとして、具体的にどのような役割を担っているのでしょうか?
「プロダクトの開発から販売までの戦略を立て、実行を統括」しています。
ただ、その中でも個人的には「お客様のリアルな声を聞き、プロダクトを磨き込む」ことが私の役割だと思っています。
前職のリクルートで教えられたことの1つに、「プロダクトを考える際は“顧客に憑依せよ”」という言葉があります。「顧客のことを考える」「声を聞く」といった行為のもう一歩先へ踏み込み、「自らが顧客と同じレベルで課題に向き合う」という意味だと解釈しています。
特にLeanerのように、近い領域のプロダクトが日本マーケットにおいてほとんど存在せず、自分たちが作るものが顧客にとって新しいプロダクトである場合、真に必要なものが何かをより高い次元で考え抜かなければなりません。すでに地盤を固めているサービス以上に「顧客に憑依する」必要があると思っています。必然的に、LeanerにおいてPdMに求められる役割は「顧客の声を直接聞き、同じ目線で課題を捉えること」になるのです。
そのため、Leanerでは「カスタマーサクセス」という役割も兼任しています。カスタマーサクセスとは、契約後のお客様がプロダクトを使いこなし、成功するまでをアシストする職種です。お客様先を訪問させていただくことも多く、実際に対話を重ねながらお客様の言動、機微1つ1つから得られる情報すべてを、プロダクトに活かしています。
—顧客目線を大事にされているんですね。
はい。特に僕らのような初期のスタートアップにおいては、メンバー全員が顧客のことを理解していることが非常に重要だと思います。
そのため、ビジネスサイドのメンバーは、基本的に全員が顧客と接点を持つような組織体制にしています。それぞれの部門で実務をこなしながら、そこから得られるフィードバックを共有し合い、議論することでプロダクトを磨き込んでいます。
国内の支出管理領域を発展させ、「日本中の経営をLeanにする」
—Leanerについてもう少し詳しく教えてください。具体的に、どのようなことを解決してくれるサービスなのでしょうか?
企業がコストを管理する際に生じる、「どの間接費にいくら使っているのか分からない」「自社のコストが高いのか安いのか分からない」「取り組みをしたものの振り返りが行えず継続ができない」といった悩みを解消するサービスです。
—国内に類似のサービスは存在しないのでしょうか?
SAP Aribaのように、一部のグローバル企業向けに提供されているサービスは存在します。しかし、日本のマーケットを中心にビジネスをしている多くの企業にとって課題とソリューションがマッチしたクラウドサービスは、存在しないのが現状です。
一方で、グローバルの支出管理領域は市場規模6,000億円に到達するなど、急成長しています。
—海外ではトレンドになっているのですね。
その通りです。時価総額1兆円(2020年3月時点)を突破した米国のCoupaを筆頭に、多くのクラウドサービスが誕生し、利用されています。特に欧米各国は元々コスト意識が高く、クラウドのみならず様々なコスト削減ソリューションが生まれています。「削減した支出を投資の原資に回す」。これを当たり前にやっている企業が多いんです。
海外に比べると、日本市場は出遅れていると言わざるを得ません。私たちが支出管理市場をリードする存在になることで、ひいては日本中の企業経営を筋肉質なものに変えていきたいと思っています。
—最後に、今後の展望について教えてください。
ありがたいことに、Leanerはすでに数十社の企業様に有料でご利用いただいています。
開発者としてまずやるべきことは、今ご利用いただいているお客様にきちんと満足していただけるサービスを作り上げることだと思っています。現在は、お客様が間接コストをより様々な切り口で分析したり、目標管理したりできるよう、機能拡充を進めています。
コロナウイルスの流行で景況も不安定な中、本格的にコスト削減への取り組みを検討している企業は少なくないでしょう。私たちは、より多くの企業の皆様にサービスを使っていただけるように、今後もより良いプロダクトを開発・提供していきます。
どうぞご期待ください。
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