【後編】スタートアップへの投資は「3つの軸」で決める。投資家・菊川航希氏の投資哲学と「Leaner」へ出資を決めた理由

OYOの日本人第一号社員であり、「OYO LIFE」の事業開発責任者として知られる菊川航希氏。実はコスト管理SaaS「Leaner」の投資家兼アドバイザーという顔も持っています。

投資家として、どのような観点でスタートアップ企業を見ているのか。またどのような経緯、判断、思いで、Leanerに投資するに至ったのか。

本記事では、菊川氏に「投資家として大事にしていること」や「Leanerの魅力」を語っていただきました。

TEXT BY Leaner Magazine編集部

投資を通じて”ゼロイチ”に携わりたい

ーまず、菊川さんは「OYO LIFE」の事業開発責任者としてビジネスの第一線で活躍されています。その傍ら、なぜ投資もされているんですか?

菊川:”ゼロイチ”に携わりたいと思ったからです。

現在はコミットすべき本業があるので、積極的に投資はしていません。ただ、昔から事業づくりが好きで、学生時代も2社創業で携わったり、前職のコンサル時代も友人のスタートアップの立ち上げを手伝ったりしていました。

様々な事業作りに携わっていくうちに、大きくスケールしそうな事業については、「自己資金を投じてでも、企業価値を上げることにコミットしたい」と思うようになりました。

 

ー事業をつくる「当事者」として投資するということですね。

菊川:そうです。「株主」というより、「共同創業者」だと思っています。

事業領域・ビジネスモデルの相談、ピッチへの参加など、創業支援から一緒にコミットして、「上手くいく」という確信が持てたら出資する。そして可能な限り、事業づくりに携わり続けるようにしています。

  

投資は「市場規模」「事業」「起業家」の3つで決める

ー創業期から関わって投資をする際、どのような基準で投資を決めていますか?

菊川:「市場規模が大きい」、「事業として伸びる余地がある」、「人がいい」という3つの基準で判断しています。

中でも重視しているのが「人」です。起業家・創業者は、事業作りの最も根本的な土台となります。素晴らしい起業家になると感じた人には、自ら起業の提案をすることも少なくありません。

 

ー特にシード期のスタートアップは、事業よりも起業家で投資を判断されるという話はよく聞きます。菊川さんは「いい起業家」をどのように見分けられているのでしょうか?

菊川:ほとんど経験をベースに判断していますね。

あえて言語化するなら、「やり遂げる力がある」「目線が高く人を惹きつける力がある」「事業分野について基本的な知識がある人」がいいと思います。どれも重要で、起業家としては欠かせない素養ではないでしょうか。全てを兼ね備えた「最強」な人であれば、大抵なことは乗り越えられると考えています。

 

菊川氏が思う「Leanerの魅力」

ーここからは、投資先である「Leaner」についてお話を伺いたいと思います。まずはじめに、投資された経緯を教えていただけますか?

菊川:私がコンサルを辞めた頃、会社の後輩で当時まだコンサルタントだった大平さんと「何か事業をやりたいね」と話していました。学生時代に起業の経験があった彼とは、当時から馬が合ったんです。その頃は事業領域も特定せず、何かビジネスを起こしたいという志で話をしていました。

その後、成田(株式会社クラウドワークス取締役副社長兼COO)や野口(株式会社Unlimited代表取締役)といった多様なバックグラウンドのメンバーとも話していくうちに、現在のLeanerのビジネスにたどり着きました。議論の過程で、コンサルタント時代に当たり前に接してきた「コスト削減」領域で、新しい市場を作り出せると確信したのです。

 

ー「コスト削減」は、コンサルタントにとって馴染みのある領域なのですか?

菊川:はい。コスト削減はコンサルタントが属人的に行っている業務の1つです。

コンサルタントは、属人的にやっていることを疑問視してはいても、それをプロダクトにしよう、という発想にはなかなか至りません。ましてや、起業してまで変えようと思う人はこれまでいなかったのが現実です。それを、大平さんを中心としたメンバーが変えようと、乗り出してくれました。

  

ーお話を聞いていると、コスト削減がご自身にとって馴染みのある領域であったことも、投資の決め手の1つになったのではないかと思います。先ほど言及された「3つの投資基準」では、Leanerをどう評価されたのでしょうか?

菊川:全てにおいて、私が考える水準を大きく上回っていました。

まず「市場規模」ですが、コストは全ての企業に共通するテーマです。日本国内だけで見ても、TAMは大きい。

「事業の成長性」という意味でも、日本には海外と比べて、コスト削減のシステム・製品がほとんどありません。業界のトッププレイヤーになることも、十分可能だと思っています。

 
https://mag.leaner.jp/1392

そして「人」に関しても、創業者の大平さんはもちろん、戦略コンサルやリクルートといった様々なバックグラウンドを持つ、良いメンバーが揃っています。

 

ー特に「人」が重要とのことでしたが、菊川さんから見てLeanerのチームメンバーをどう思っていますか?

菊川:とにかく熱量が高いですね。また、公私問わず言いたいことを言える環境があり、「心理的安全性が高い組織」だと感じます。

今後組織を拡大していくと思いますが、平等な立場で議論できる環境は大切にしてほしいな、と思っています。

 

ー最後に、今後どのような形でLeanerに関わっていかれるのか、教えてください。

菊川:できることはなんでもやるつもりです。(笑)

事業領域の特殊性もあり、現時点では私も議論に入る形で貢献していますが、少しずつ私の仕事が減っていった方が健全だとは思います。

将来的には、今のような形で貢献を続けながら、今後入ってくるメンバーの相談に乗れるような存在になれればいいのではないでしょうか。