職場で気を付けたい「コスト削減ハラスメント」の実態

「セクシャルハラスメント」「パワーハラスメント」「モラルハラスメント」——現在、ハラスメントの種類は数十種類にのぼり、多くの企業が防止に尽力しています。

そのような中、コスト削減の世界でも「これはハラスメントでは?」と思われるような言動が目に付くことがあります。

本記事では、そんな「コスト削減ハラスメント」を、実例を用いてご紹介します。

TEXT BY Leaner Magazine編集部

  

“本当にあった”コスト削減ハラスメントの例

Leaner Magazine編集部は、総務部、管理部、経理部の方に匿名で「コスト削減ハラスメントを受けた経験」を調査しました。

以下で調査結果を5つのカテゴリーに分けて紹介します。

   

人前での叱責

朝礼や会議での進捗確認・現状共有は必要なことですが、その場で担当者を叱責したり、怒鳴り散らす行為はハラスメントに当たる可能性があります。

特に上司という立場を利用し、権力を主張するかの如く人前で叱責したり、特定の人を非難するために周囲から支援を仰ぐような悪質な行為は「コスト削減ハラスメント」と言ってよいでしょう。

朝礼や様々の会議体で到達不可能な販管費削減の進捗を求められ、しんどかった。

コスト削減の一環で、社員個々人の社用携帯の使用料が全社メールで共有されることになった。その際に、営業成績が良い社員は10万円近く使っていても何も言われないが、営業成績の悪い社員には、利用料1万円でも、「どこにかけているのか、電話している割には数字が出ていないですね」と社長自ら全社メールで注意してくる。 

他部署の上席が、多くの社員から注目されている状況下で、コスト削減担当者に対して業務内容の否定を行い他者からの支援を仰いでいた。

理不尽な叱責

「意図が不明な叱責」「勘違いによる叱責」。コスト削減は、関係部署を巻き込みながら仕事を進めていく必要があります。それゆえ、他部署からいわれもない叱責を受けることも少なくありません。

特に、権力を笠に着た叱責は、ハラスメントに抵触することがあります。

経費削減の一環で、接待交際費、出張旅費の事前申請制の導入が管理部門主導でまとまった。それまでは領収書があれば精算OKの状態だった。その後、役員も参加する経営会議へ案をあげたが、社長及び役員からは「営業の仕事を制限する気か」と当該案を取りまとめてあげた管理部門が叱責された。

他部門が作成してきた文章チェックを行っているとき、人件費削減のため対応人数を半減させられたが、業務の質を保つよう言われた。効率化のためにチェック業務のルール改定を試みるもルール改定には役員決裁が必要であり、さまざま根回しをしなければならず、時間がかかることを上司に報告したところ「仕事ができないのではないか」と叱責された。

            

現場の職場環境を悪化させる

職場環境の悪化は、社員のモチベーションを低下させる要因になります。止むを得ない場合はあっても、役職者が意図的にこれを強いることは、ハラスメントに該当する可能性があります。

経費削減の一環で、接待交際費、出張旅費の事前申請・上長承認システムを導入した。 しかし、交際費等の大半を使う役員達は「もちろん承認得る必要はない」という特例が設けられたので、経費削減は社員たちが自腹を切って交際費を抑えたり、出張をマイレージを利用したりして取り組むことになった。その結果社員が疲弊し、社内の雰囲気がかなり悪くなってしまった。

       

嫌味

当然のことですが、コスト削減の担当者は会社のためにコスト削減という役割を負い、これを果たそうと奔走しています。

しかし、コストを削減された関係部署からは「嫌われ者」になってしまうことが構造上少なくありません。

このとき、高圧的な発言や、担当者の気持ちを害するような発言の中には、ハラスメントに当たると思われるものも散見されます。

電気基本料金の削減が決まり、4年連続成功した。しかし、4半期毎の比較報告にて「君の人件費のが削減しやすいな」「電気代を削減しやすい経費に変更するか」など毎回同じようなことを言われた。 

外注から内製化して外注コストの削減を実施した際、外注コストが下がる代わりに現場のリーダーや作業者への負担が上がる事から散々嫌味やクレームを言われ精神的にきつかった。 現場の人達は会社全体の収支といった大きな視野で捉えていない為、「自分たちの仕事がきつくなる事をする=悪い奴」といった狭い視野でしか物事をとらえていない為きつく当たられた。

      

業務内容の否定

管理部門は、重要な役割を担っているものの直接的に企業の売上に直結する業務を行っているわけではありません。

これに対して、業務内容を否定したり、嫌味や暴言を浴びせることはしてはならない「ハラスメント」行為だと言えるでしょう。

コスト削減プロジェクト進行中、各営業所を回っている際に「コストばかり気にしやがって」と業務内容自体を否定されるような非難を受けた。

管理部門に対して、社長が「稼いでいないだろ」と部門自体を軽視する発言が会議で目立つようになった。

             

最後に

「コスト削減へ取り組んでいる時にこのような経験をしたことがある・・・」

「意識せず、コスト削減ハラスメントしてたかも・・・」

実例を見て、そう思われた方もいるのではないでしょうか。

コスト削減ハラスメントが起きてしまう原因として、「経営陣・上席者のコスト削減に対する知識のなさ」や「現場社員への配慮不足」が挙げられます。

知識がないために削減効果が出るまでの時間がわからない、適切な目標設定ができない。その仕事や成果を過小評価し、ないがしろにてしまう。

こういったことがないよう、コスト削減の正しいやり方を理解し、全社一丸となって取り組むことが肝要です。

※以下参考記事