2020.01.08
「間接費のコスト削減」が重要な3つの理由

皆さんは企業で「コスト削減」を検討する際、まずどの費用を削減しようと考えますか?
まず槍玉に挙がることが多いのが、「製造原価」のような目につきやすい費用です。一方で、真っ先に「間接費を削減しよう」と考えることは、決して多くないのではないでしょうか。
しかし、実際には「間接費のコスト削減」が収益改善に及ぼすインパクトは大きいと言えます。また売上高への影響が少なく、短期で成果を出しやすいケースも多いため、場合によっては利益創出の金脈となるかもしれません。
本記事では、間接費のコスト削減が企業にとって重要な理由について解説します。
間接費とは?
「間接費」とは、「製造原材料を除く、あらゆるモノ・サービスの調達費用」を指します。
金融庁(企業会計審議会)が出している原価計算基準によると、間接費は大きく3つの種類に分類することができます。
- 間接材料費(補助材料費、工場消耗品費など)
- 間接労務費(間接作業賃金、間接工賃金など)
- 間接経費(電力量、ガス代、通信費、旅費交通費など)
この中でも特に間接経費は、多種多様な費目の積み上げで構成されるため、1つひとつを正確に把握し、適切に管理することが難しいとされています。
一方で、間接経費は企業の業界・業種等に関わらず、事業運営上必ず発生する「共通」の費用です。そのため、第三者の目線を通して管理・適正化しやすいという特徴があります。
具体的には、以下のような費目が該当します。
間接経費の例
- 事務消耗品費(複合機・コピー費、事務用品費など)
- 旅費交通費 (出張費、交通費など)
- 通信費(携帯電話料金、固定電話料金、固定回線など)
- 水道光熱費(水道代、電気代など)
- 施設関連費(清掃費、警備費、ビル管理費、廃棄物処理費用など)
- 各種手数料(クレジットカード手数料、銀行振込手数料など)
参考:原価計算基準

企業が間接費のコスト削減に取り組むべき3つの理由
その他の費用群と比べて、間接費のコスト削減に優先的に取り組むべき理由は3つあります。
1.本業の売上高にマイナスの影響を与えるリスクが低い
人件費や製造原価は、コスト削減によって売上に影響を与えるリスクが大きい費目です。
これらの費用を削減することは、場合によっては販売数の減少・製品の品質低下といった問題を引き起こしかねません。間接費の削減は、こういった本業の売上高に悪影響を与えるリスクが低いことが特徴です。
勿論、適切な削減アプローチを取らなければ、従業員のモチベーション低下といった問題を招いてしまう可能性も0ではありません。
しかし、適切な取り組みを進めることでこれらの問題は回避できる可能性が高く、相対的にリスクは低いと言えるでしょう。
2.コスト削減のインパクトが大きい
間接費は細かな費目の集合体であり、1費目当たりの金額は小さいため、“間接費の総額も小さい”という印象を持ってしまいがちです。
しかし、実際には費用の総額は大きく、多くの企業において売上の10-20%に相当します。日本全体では、その流通総額は200兆円に及ぶと言われるほど。
また、原価の見直し・BPR/RPAによる業務効率化といった取り組みが注目される一方で、間接費は全く見直しができていない企業も少なくありません。未だ手付かずであることも多く、結果的に削減の余地が大きいケースも。
このように、1費目当たりの金額が小さいからといって、間接費総額を軽視してしまうことは誤りと言わざるを得ないでしょう。実際にはコスト削減のインパクトが大きいケースがほとんどです。
3.正しいアプローチさえとれば、削減の難易度は高くない
間接費の削減方法は、サプライヤーに働きかけて調達条件を改善する「サプライヤーマネジメント」と、自社内の無駄を抑制する「ユーザーマネジメント」の2つに分けることができます。
このうちサプライヤーマネジメントは、自社の調達状況を可視化し、他社と比較することで自社の水準を正しく把握することが重要です。ツールを導入する、または外部のコンサルタントを雇うことで、比較的早期にコスト削減を実現できることも。
またユーザーマネジメントは、自社内の経費の無駄を可視化し、関連部署に働きかけていくことが基本的なアプローチとなります。その成否が自社内での意思決定・取り組みにより決定されるため、外部要因に左右されやすい他の施策と比べ取り組みがしやすいケースがほとんどです。
(原材料の場合、為替など外部要因の影響を受けやすい)
当然、どの取り組みにおいても実現のハードルは存在します。ただ、経営陣がコミットし、しかるべき取り組み体制を構築することで、成功確率を大きく高めることができます。

間接費のコスト削減は利益創出に効果的
間接費は、費用の種類の多さ・専門性の高さなどから、敬遠されがちな領域です。
しかし、企業のPLに占める間接費の割合は大きく、削減余地も大きいことから、取り組み次第では早期の利益創出が可能な領域でもあります。
仮に、営業利益率5%の企業において、年間5,000万円のコスト削減効果を創出した場合、既存事業で同等の利益を創出するためには、年間10億円の売上増加が必要な計算になります。
購買・調達部門は、利益創出に寄与するポテンシャルを秘めているのです。
最後に
間接費のコスト削減に取り組むべき理由について、理解いただけましたか?
本記事を、間接費の見直しに着手する契機としていただければ幸いです。
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