2020.03.11

これが分かればプロ!?超上級コスト削減用語10選

これが分かればプロ!?超上級コスト削減用語10選

みなさんはコスト削減について調べているとき、謎の横文字に面食らったこと、ありませんか?安心してください。私もそのひとりです。

周知の通り、コスト削減の手法や考え方の多くが、欧米で考案され、日本に入ってきたもの。必然的に、コスト削減にまつわるキーワードは、カタカナが多くなります。

そこで、本記事では数あるキーワードの中でも特に難解なものを10語厳選。

「全て分かった」という方は、もはや“コスト削減のプロ”と言って良いでしょう!

TEXT BY Leaner Magazine編集部

1. ROSMA

「ROSMA(Return on Supply Management Asset)」とは、調達部門の費用対効果を定量的に表す指標です。ROSMAを期間ごとに計算することで、調達部門の成果と改善余地を定量的に測定、パフォーマンスを改善することができます。

■計算方法

調達活動によってもたらされた財務的なインパクト

=部門が関与しているコストの割合×調達見直し活動の頻度×削減成果×調達ルールの遵守割合

サプライマネージメント資産への投下費用

=人件費等の期間ごとにかかる費用×調達機能の基盤整備のための投資

出展:野田武著『最強の調達戦略』、東洋経済新報社出版

 

2. OPEX/CAPEX

「OPEX(Operating Expenditure)」は、「運用費用・営業費用」のことです。

具体的には、人件費、消耗品費、オフィス家賃等の定期的に発生する経費が入ります。

一方、「CAPEX(Capital Expenditure)」とは、「設備投資」のことです。

ある設備の購入費、または維持費のことを言います。新規事業をする際に必要となる初期費用を指すときにも用いる場合が多いです。

CAPEXは一般的に一度に多額の支出となるため、固定資産として計上された後、少しずつ償却されていきます。中長期目線でCAPEXの支出を回収できる計画を立てながら、コスト削減に取り組みましょう。

 

3. ゼロ・ベースド・バジェッティング(ZBB)

「ゼロ・ベースド・バジェッティング(以下ZBB)」は、前年度と比較しながら予算を編成するのではなく、全て白紙(=ゼロ・ベース)の状態からその期間に最適な予算を構成するコスト削減戦略における考え方の1つです。

ZBBは、「調達品目の必要性」と「単価の可視化」を行うところから始まります。費目ごとの市場価格・必要性度合いと照らし合わせながら予算を決めることで、達成可能かつ、アグレッシブな目標を設定することができます。

また、企業内の全費目を対象とするため、部署を横断したチームによる取り組みが前提となります。

全社を巻き込むことで、企業全体のコスト意識を上げるきっかけになるでしょう。

https://mag.leaner.jp/posts/1420/

 

4. バリューターゲティング

「バリューターゲティング」とは、「どの費目を」「どのくらい削減するのか」を明確にする、コスト削減の目標設定方法の1つです。

各費目の削減可能額とそれに伴う施策の難易度を総合的にみて、それぞれの目標を立てます。

バリューターゲティングは、コスト削減の取り組みを社内全体で行うための鍵となるプロセスです。目標設定の段階で、かならず現場社員と協議し、会社全体を巻き込んだコスト削減ができるようにしましょう。

 

5. ハードセービング/ソフトセービング(コストアボイダンス)

「ハードセービング」とは、現在発生している支出を下げて、直接的な利益をもたらすアクションのことです。

たとえば、「取引コストの削減」「人員の削減」等が挙げられます。現在の支出と比較することにより、比較的定量的に数値として成果を可視化しやすいという特徴があります。

一方、「ソフトセービング(コストアボイダンス)」は、将来の支出発生を防ぐアクションのことを指します。

たとえば、「需要管理によるコスト管理」「新しい費目の市場価格よりも低い単価での発注」などが挙げられます。どれも将来のコストが抑制されるものであるゆえに、定量化することが難しいのが特徴です。より細かな粒度でデータを分析し、確からしい仮説を立てる手腕が必要になります。

 

6. パッケージオーナーシップ

「パッケージオーナーシップ」とは、費目ごとに取り組みを管轄するリーダーを設置し、コスト削減に取り組む体制のことです。

それぞれのリーダーは、可視化された費目の分析や現場社員からの削減アイデアをまとめる役割を果たします。その上で、各部署に自らの施策を導入し、定期的に進捗状況をモニタリングしなければいけません。

この体制では権限を委譲するため、リーダーの業務負荷が高くなる一方で、経営陣以外にコスト削減意識の高い存在を創出することができます。このメリットから、活動をより組織的に推進しやすい体制であると言えるでしょう。

 

7. マーベリック支出

「マーベリック支出」とは、部署によって調達ルールを守らないことにより、「分散発注してしまっている支出」のことです。

たとえば、ある会社がA社のペンを月1,000本購入する契約をしたとします。しかし、ある部署が契約した業者とは別の業者から同時にペンを発注しているといったケースがあります。このような意図しない支出のことを「マーベリック支出」と呼びます。

分散発注をしてしまうと、一括で発注する場合に比べ1回あたりの調達量は少なくなります。これによって、本来獲得できたはずのディスカウントが効かず、結果的にコストが膨らんでしまうという状態が起こります。

このような状況は、現場社員の調達に関する理解不足や、部署間での調達プロセスの不一致によって多くの企業で発生しています。

 

8. 複合コスト戦略

「複合コスト戦略」とは、製品の価格構造を把握した上で、その構成要素ごとの適正価格を調べて見積もりを取る戦略です。

構成要素の価格水準がわかることで、その製品の正しい価格を把握できます。

間接材の構成要素を把握し、要素ごとに価格交渉をすることで、サプライヤー側もディスカウントの判断をしやすくなります。

 

9. 見積プロセス整備

「見積もりプロセス整備」とは、RFI(情報提供依頼)、RFP(提案依頼)の策定、発送とサプライヤーの評価基準・提案要請を全て一元的に管理することです。

見積もりの情報が管理されていないと、どのサプライヤーが最適か判断ができず、何度も相見積もりを取る羽目に。

見積もりプロセス整備では、費目ごとの相見積もり状況を定期的に報告し合うことで、一元的に管理します。

出展:野田武著『最強の調達戦略』、東洋経済新報社出版

 

10. ライフサイクル協業

「ライフサイクル協業」とは、発注者側が自社の通常業務やプロダクトをアップデートする際に、「どの調達物をどのくらいの時期に新しくすればいいのかを中長期目線で考えていくこと」です。

頻繁にアップデートをする製品の場合、調達物全て最新版にしていたら、コストが膨らんでしまいます。

ライフサイクル協業を行うことで、無駄なコストを省きながら、新しいプロダクトを生み出し続けることができるのです。

出展:野田武著『最強の調達戦略』、東洋経済新報社出版

まとめ

みなさんは、何個のキーワードをご存知でしたか?

「数個しか知らなかった」という方は、「コスト削減をするなら絶対に抑えておきたいキーワード10選」という記事も併せて読んでみると良いかもしれません。

コスト削減に特有のキーワードを把握することは、特定の事象を言い表すコミュニケーションに役立つほか、コスト削減の取り組み方を整理することにもつながります。

是非、キーワードを自社内で用いて、コスト削減のプロを目指してみてはいかがでしょうか。

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