2020.03.09
「サプライヤー見直しでできるコスト削減」のお悩み5選をプロがQ&A解説!
コスト削減の手法のうち、サプライヤーに働きかけ、契約を見直すことで経費を適正化する方法を「サプライヤーマネジメント」と言います。
本記事では、前回の「社内是正編」に続き、コスト削減のお悩みをプロがQ&A形式で回答するシリーズの「サプライヤーマネジメント」編をお届けいたします。
是非コスト削減に取り組む際、参考にしてみてはいかがでしょうか。
TEXT BY Leaner Magazine編集部
Q1 相見積もりを行うべき業者はどのように決めればよいでしょうか?
相見積もりを行う業者は、既存のサプライヤーに加え、その市場の中で競争上の優位性を持つ大手サプライヤーから選定すると良いでしょう。
間接材においては、規模の経済性から取引量の多いサプライヤーほど単価、質ともに優位にあることが多いためです。
調べ方としてはインターネット検索が主流ですが、外部の専門家へのヒアリングなども参考にするとより望ましいです。
相見積もりの正しい取り方については以下の記事をご参照ください。
Q2 業者見直しによる、コスト削減が会社にもたらすインパクトはどのように予測すればよいでしょうか?
基本的には、以下3つの数式によりそれぞれ算定することが可能です。
- 「単価の見直し」による効果を算定する場合
(現行の価格ー見直し後の価格)×過去実績の数量=単価の見直しによるコスト削減効果
- 「数量の見直し」による効果を算定する場合
見直し後の単価×(過去実績の数量ー見直し後の数量)=数量の見直しによるコスト削減効果
- コスト削減効果を「売上効果」に換算して算出する場合
コスト削減効果÷営業利益率≒売上効果(同程度の利益貢献効果を得るために必要な売上高)
単価の見直しによる効果、数量の見直しによる効果は、算定した数値が絶対値としてコスト削減の成果と言ってよいでしょう。
また、3つ目の計算方法により「売上換算」することは、コスト削減の成果を相対値として適切に捉え、取り組みが過小評価されることを避けるためにおすすめの手法です。
Q3 価格交渉によって離れていく業者がいるか心配で、踏み込んで交渉を進めることができません。アドバイスをください。
やみくもに値下げを行うのではなく、市場価格や自社の調達状況を踏まえた「適正な水準」を見極め、交渉するように心がけましょう。
サプライヤーにとっても魅力的な取引となるよう、「調達量を集約する」「調達条件を緩和し、サプライヤ側のメリットを創出する」といった工夫を検討するといいかもしれません。
価格交渉をうまく進める方法は、以下の記事をご参照ください。
Q4 様々な業者との打ち合わせで、時間と人件費がかかり焦ってしまいます。解決策はありませんか?
削減費目に優先順位を付けることが有効です。
すべての取引について相見積もりをするとなると、大変な工数・負荷がかかってしまいます。
自社の中で費用が大きく、また一般的に交渉がしやすいと言われているもの(コピー費、通信費、備品・什器など)をリストアップし、優先順位をつけてみてはいかがでしょうか。
コスト削減対象の決め方は、以下の記事をご参照ください。
Q5 結局、自社にとって無駄なものを削減できたのか、また契約の見直しが正しかったのかどうか、不安になることがあります。
実際のところ、自社のみで完璧な購買を実現することは難しいと言えます。そのため、費用を適切にモニタリングし、定常的に調達条件を見直すことが重要です。
また、同じ会社であっても組織、事業のステージによって、「最適な調達条件」は日々変化していきます。仮に一度適切に見直しができたとしても、その条件が未来永劫適正であるということはあり得ないのです。
調達条件を見直す際の1つのアプローチとして「現場社員が求める条件をヒアリング・アンケートで精査し、調達条件に反映する」という方法があります。
以下に具体的な手法を例示しますので、検討してみてはいかがでしょうか。
- 実際の利用者である部門に対して、調達する財・サービスに「求める条件」およびその「理由」を列挙してもらう
- 1の条件、理由について管理部門で精査し、事業運営上必要と思われるものを調達条件に反映する
- 2の条件にて発注した上で、半年後など、一定の期間が経過した後に調達状況を振り返る。問題となっている箇所があれば、次回の発注条件に反映する
以上の3つを実施することで、自社にとって無駄なものを省きつつ、その時に最適な条件で調達することが可能です。
詳細に相談したい場合は、外部の専門家に頼るのもおすすめ
サプライヤーの管理は、ある程度の工数がかかってしまうため、自社の人員だけではつまずいてしまうこともあるでしょう。また自社だけで品目ごとの適正価格を知ることは難しいです。
このため、「サプライヤーマネジメント」に本格的に取り組みたい場合、コンサルティングファームやLeanerのようなシステムなど、外部の専門家をうまく活用することが有効です。
サービスによって提供内容に違いはあるものの、多くで集計作業を外注したり、ノウハウを享受することが可能です。
「今すぐコスト削減がしたい」「サプライヤーマネジメントに困っている」という方は、一度問い合わせてみると良いかもしれません。
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