2020.03.09
コスト削減に関する5つの質問にプロが答えます!【社内のムダ編】

コスト削減には、主に2つの取り組み方法があります。
1つ目は、社内に働きかけて支出を最適化、使いすぎを是正する方法である「ユーザーマネジメント」。
2つ目は、サプライヤーに働きかけ、契約を見直すことで経費を適正化する「サプライヤーマネジメント」です。
Leaner Magazine編集部は、日本のコスト削減担当者に、それぞれにおける悩みを独自調査しました。
その中で特に多かった質問を5つ選び、Q&A形式で回答いたします。
本記事は、「ユーザーマネジメント」編です。コスト削減に取り組む際、どのように社内に働きかけるべきなのか、お伝えします。
TEXT BY Leaner Magazine編集部
Q1. 具体的に「どこに」無駄があって、「何から」「どのように」手をつけて良いのか分かりません。何から取り組めば良いでしょうか?
コスト削減を始める際は、まず「コストを可視化」することが重要です。
コストを可視化するためには、以下の3つのステップを着実に踏んでいく必要があります。
- 社内のコストを「消耗品費」「通信費」などのカテゴリごとに分ける
- 部門等の組織ごとに、「どのカテゴリ」を「どのくらい」使っているのか明らかにする
- 部門ごと、カテゴリごとに、コストの支出先を明らかにする
以上のステップを踏むことで「どの部署が、どの業者にどの費用をどのくらい発注しているか」を可視化することができ、コストの無駄がある箇所を把握することが可能になります。
コストの削減余地がある費目を明確にし、それぞれの費目に優先順位をつけてみてはいかがでしょうか。
詳しいコスト削減の取り組み方を知りたい方は以下の記事を参照ください。
Q2. 現状を変えたがらない社員が反発し、私が見ていないところで取り組みを実施しません。どうしたらそのような社員の協力を得られますか?
コスト削減において、現場社員の反発は頻繁に発生します。
そこで重要なのは「経営陣がコミットすること」と「成果を可視化し、適切に評価すること」の2つです。
コスト削減は部署をまたいで行動する必要があるため、成功させるには全社一丸となっての取り組みが肝要です。
現場社員に取り組みを丸投げしてしまうと、施策の重要性への理解が広がらないことが多く、指示通り行動してくれません。結果的に、コスト削減担当者のモチベーションも下がり、取り組みに消極的になってしまうことがあります。
そこで、経営陣が積極的に取り組みに関わることで、施策の重要性が全ての社員に伝わることでしょう。現場従業員の行動を促すためには、このようにトップマネジメントが主体的に関わり、発信することが重要です。
また、成果を目に見える状態にし、成果を出せば確実に評価される仕組みをつくることも大切です。定量的な成果が見えれば、現場社員のコスト削減に対するモチベーション低下を防ぐことにつながります。
以上の2つを実施することで、社員の協力を得やすくなるのではないでしょうか。
Q3. 仕事量を増やし、頑張ってコスト削減に取り組んでも評価が上がらず、社員から不満が続出です。この問題を解決したいので、アドバイスをください。
今回のアンケート調査では、「コスト削減の取り組みが査定に影響せず、社員からの不満が絶えない」という悩みが非常に多くみられました。
解決方法として、「成果指標を明確に定義し、適切に評価できる仕組みを作る」ことが挙げられます。
たとえば、「一定期間内のコスト削減額」を成果指標とする方法があります。
取り組み対象になっているカテゴリ数、取り組んでいるアクション数や進捗をプロセス指標として定期的にトラックし、レポーティングすることで成果を目に見える状態にする。
上記のような仕組みをつくり、コスト削減の成果を評価してみてはいかがでしょうか。
Q4. 社員のモチベーションを継続的に保つ方法はありますか?
社員のモチベーションを保つ方法としては、評価制度をつくることはもちろん、社内全体で成果を共有できる場を作ることも有効です。
今、誰がコスト削減に取り組んでいるのか。具体的にどのような取り組みをし、どのくらいの結果がでているのか。
「朝会や全社総会などの会議体で共有する」「企業ポータルサイトや社内報、SNSに掲載する」「表彰する」など、取り組みの成果を全社に共有できる状態にしておくことで、現場社員は「常に成果を求められている」「成果が出せば評価される」という意識を持つことができます。
これにより、社員のモチベーションを継続的に保つことにつながるのです。
Q5.実現可能な削減目標を立てるポイントを教えてください。
目標を立てる前段階として、Q1で回答した通り「どの費目にどの部署が、どの業者にどのくらい費用を使っているか」を要素分解し、可視化することが重要になります。
その上で、類似企業との支払金額の比較や、市場価格と自社の契約価格との比較を行うことで、「どの要素」に削減余地があるのか、それは「どの程度の金額か」検討します。
これらを経てはじめて、適切なゴールを設定することが可能になります。
しかし、上記を自社単独で実現することは、工数・ノウハウの観点から難しい場合が少なくありません。このようなケースでは、コンサルティングファームやクラウドサービスといった外部の専門家を活用することも検討してみるといいかもしれません。
目標の決め方について詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
おわりに
コスト削減は、ノウハウを理解し、正しく取り組むことさえできれば、成果が出るケースが多いです。
本記事と同じ、Q&A「サプライヤーマネジメント」編も併せてお役立ていただければと思います。
これらの記事を参考に、ぜひ「正しいコスト削減」を実践してみてください。
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