2020.03.03
中小企業がコスト削減に取り組むべき理由と進め方のポイント
多くの企業は、売上向上を図るだけでなくコストを削減しようと試行錯誤していることと思います。
しかし、本格的に取り組むのは難易度が高いと考え、「こまめに電気を消す」「コピーは1日〇枚まで」といった「節約」に留まっている企業が多いのではないでしょうか。
中小企業がコスト削減に本格的に取り組むには、「成功報酬型コンサルティングファームに依頼する」か「自社でコスト削減に取り組む」かの、大きく2つの方法があります。
本記事では、中小企業がコスト削減に取り組むにあたり、「なぜ取り組むべきなのか」と「進め方のポイント」をお伝えします。
TEXT BY Leaner Magazine編集部
中小企業はコスト削減を意識するべき?
財務会計上、売上から原価や販管費、税金など諸々を引いた分が純利益になります。売上向上は企業成長にとって当然重要ですが、コストに関しても、削減額がそのまま利益剰余を生み出すことに直結するため、きちんとコントロールすることが重要です。
「アメーバ経営」で有名な稲盛和夫氏も、「売上極大」「経費極小」を“同等に重要”と説きます。
経営とは非常にシンプルなもので、その基本はいかにして売上を大きくし、いかにして使う経費を小さくするかということに尽きます。利益とはその差であって、結果として出てくるものにすぎません。したがって私たちはいつも売上をより大きくすること、経費をより小さくすることを考えていればよいのです。
ですから、〔原材料費〕は〔総生産〕の何パーセントでなければならない、とか〔販促費〕はこれくらい必要だろうといった常識や固定概念にとらわれてはなりません。
売上極大、経費極小のための努力を、日々創意工夫をこらしながら粘り強く続けていくことが大切なのです。
「うちは中小企業だから、まだ取り組むタイミングではない」「成長を優先し、コスト管理は後回しでよい」。
もちろん、成長に必要な投資は行うべきですが、こういった思考で無駄の垂れ流しを見過ごしてしまっては、本来投資に回せるはずの原資を逃すことになりかねません。
よって、企業規模の大きさはコスト削減に取り組まない理由にはならないと言えるでしょう。
※中小企業庁の定める中小企業の定義は業種によって異なりますが、およそ「常時使用する従業員数が50人〜300人以下の会社および個人」とされています。本記事ではこの定義を参照します。
実は中小企業の方がコスト削減に取り組みやすい?
大企業ではコスト削減に取り組む際、部署をまたいで社内に働きかけ、体制を整えることが重要です。
このため、部署間の調整に手間がかかったり、膨大な人数をまとめてコスト削減を推進していく必要があるため「取り組みがなかなか進まない」といったことが少なくありません。
一方で、中小企業は社員数・部署数ともに限定的で、大企業と比べてスピーディに取り組みを推進することができます。
そのため、コスト削減を推し進める意思決定者を明確にすれば、全社的な取り組みとしてコスト削減を実現しやすいと言えるでしょう。
中小企業のコスト削減は、大きく2通りの取り組み方がある
コスト削減の取り組みといえば、よくイメージされるのはコンサルティングファームに依頼する形式です。
しかし固定報酬型の場合、その相場は3ヶ月でおよそ3,000万円~5,000万円と高額。多くの中小企業にとって選択肢になり得ません。
中小企業にとって、ROI(Return On Investment)の観点で合理的と言える取り組みは、大きく2つあります。
成果報酬型コンサルティングファームに依頼する
成果が出たコスト削減額の何割かを支払う形式で、コンサルティングファームにコスト削減を依頼する方法です。
成果報酬型では、成果が出た分の一定割合を支払う形態となっているため、依頼企業側にとって比較的低リスクで取り組みを始めることができます。
コスト削減額が報酬を下回るということがないため、成果を見込みづらい企業でも選択肢に入れやすい方法です。
また、固定報酬型同様、プロジェクト形式で進めるため「短期で成果を出したい」という方に合った手法と言えるでしょう。
一方で、社内にノウハウを残す工夫を怠ると、プロジェクト終了後にリバウンドが起こりやすいというデメリットもあります。
うまく活用できれば大きな成果を出すことができる可能性もあるため、担当のコンサルタントと相談しながら、プロジェクト後を見据えた取り組みを進めていけるとよいでしょう。
代表的な成果報酬型コンサルティングファームの例
自社内で取り組む
外部委託せず、自社内でコスト削減に取り組む方法です。
成果報酬型とはいえ、コンサルティングファームに発注をすれば当然コストがかかります。自社内で推進出来る場合には、コストをかけずに取り組みができることになります。
また工数はかかるものの、削減に成功すればトライ&エラーで得た知見や、その結果構築した運用は企業に残り続けます。言い換えればリバウンドしにくい、持続的なコスト削減が可能になるのです。
ただ、工数がかかる点は、コンサルティングファームへ依頼する場合と比べ、デメリットと言えるでしょう。
工数を最小化し、効率的なコスト削減を実践するためのノウハウについては、Leaner Magazine上でもご紹介しています。これらを参考にしながら、進めていくと良いでしょう。
おわりに
これまでご紹介してきたように、成果報酬型のコンサルティング、自社内で取り組みを進める方法には、それぞれにメリットとデメリットがあります。また、企業の支出状況や、組織文化によってもそれぞれ相性があるでしょう。
重要なことは、それぞれのメリット・デメリットを理解すること。そして、そのときの自社の状況を整理し、目的を明確化した上で、どちらのソリューションが適切かを判断することです。
そして、どちらの取り組みを選んだにせよ、コスト意識を高く持ち、継続的に取り組みを続けていくことこそが何より大切です。その過程で得たノウハウは、企業にとって財産となることでしょう。
本記事が、みなさんがコスト削減に取り組む一助となれば幸いです。
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